シーズン2勝目を飾ったセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第5戦ポルトガル 5月18日、WRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』の最終日、デイ4がポルトガル北西部のマトジニョスを起点に行なわれた。5台の『トヨタGRヤリス・ラリー1』で今大会に臨んだトヨタ・ガズー・レーシング・ワールドラリーチーム(TGR-WRT)はセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組が優勝したことにより開幕5連勝を達成。また、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が3位となりダブル表彰台を獲得している。
残る3台も全車が完走を果たし勝田貴元/アーロン・ジョンストン組が総合5位、チャンピオンシップリーダーのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が同6位、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組は同7位でラリーを終えた。
ビッグジャンプ・ポイントで有名な『ファフェ』を含む3つのステージを、ミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行するアイテナリーが組まれた第5戦ポルトガルのデイ4。この競技最終日を後続と27.6秒差の総合トップで迎えたオジエは、オープニングのSS18で総合2番手につける僚友ロバンペラに大きくギャップを削られ、朝のステージ2本を終えた時点で貯金を15.4秒まで減らしてしまう。
しかし8回のチャンピオン獲得経験を持つフランス人ドライバーはこれに動じず。朝のループ最後のSS21では2番手タイムを記録しロバンペラとの差を拡げると、その後も後続とのタイム差をマネジメントしながらラリーを進め、最終パワーステージを5番手タイムでフィニッシュ。結果、8.7秒のリードを守り今季2勝目を挙げるとともにラリー・ポルトガル通算7勝目を達成した。ポルトガルでの最多勝記録を更新したオジエは、今季ここまで5戦のうち3戦への出場ながら、ドライバー選手権でも2位のロバンペラと2ポイント差のランキング3位に順位を上げている。
一方のロバンペラはSS18でステージウインを飾って以降は思うようにペースが上がらず。デイ3でのマシントラブルの影響で総合首位から3番手に順位を落としていたオイット・タナック(ヒョンデi20 Nラリー1)に差を詰められ、SS23でついに逆転を許してしまう。
1.5秒差で2番手の座を争うふたりの戦いは、大観衆が見守る最終パワーステージの『ファフェ2』へと持ち越された。このステージでロバンペラは3番手の好タイムを記録したものの、SS19から4連続ベストと波に乗るタナックがふたたび最速タイムを刻んだことで決着。ロバンペラはわずか3.5秒およばず総合3位でラリーを終えた。なお、TGR-WRTはロバンペラの貢献もあり、マニュファクチャラー選手権におけるリードを55ポイントに拡大している。
デイ3で総合5番手につけた勝田は、最後まで順位を守り総合5位でのフィニッシュに。最終パワーステージでは4番手タイムを記録しボーナスポイント2点を獲得した。総合7番手で最終日に臨んだエバンスは、一日を通して総合6番手のパヤリを上まわるペースで走行。SS22でパヤリを逆転し6位でフィニッシュし、ドライバー選手権首位の座を堅守した。パヤリはエバンスにかわされたものの、最終日も安定した走りを続け、総合7位でラリーを終えている。
WRC2クラスではトヨタGRヤリス・ラリー2を駆るオリバー・ソルベルグが独走優勝を果たし、ラリー・スウェーデン以来となるシーズン2勝目をマークしている。
「ポルトガルの週末は、チームにとってまたしても良い結果になったが、今回勝利を手にすることができたのは、少し幸運に恵まれたためだと言えるかもしれない」と語るのは、TGR-WRTのチーム代表代行であるユハ・カンクネン。
4度のチャンピオン経験を持つベテランは次のように続けた。「なぜなら、今回我々は最速ではなかったと思えるためだ。ただし、それと同時にすべてのクルマが大きな問題に見舞われることなく、良い順位でフィニッシュすることができた。それこそが厳しいコンディションとなったラリーの本質でもある」
「チームはドライバーと協力し、新しいハンコックタイヤに最適化するためのセットアップに取り組んだ。そのなかでセブ(セバスチャン・オジエ)は今回も素晴らしい仕事でふたたび優勝してくれました。さらに、全車が充分なポイントを獲得できたことを我々は喜ぶべきだろう」
ドライバー選手権のトップ3を占め、マニュファクチャラー選手権でも首位に立っているTGR-WRTが挑むWRCの次回大会は、6月5日(木)から8日(日)にかけて開催される、第6戦『ラリー・イタリア・サルディニア』だ。
[オートスポーツweb 2025年05月19日]