「入賞争いしてるなら言って」「見直してくれて感謝」「『入れ替える』と言われました」【SF Mix Voices 第5戦】

0

2025年05月19日 17:50  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

平良響(KDDI TGMGP TGR-DC) 2025スーパーフォーミュラ第5戦オートポリス
 5月18日に大分県のオートポリスで行われた2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第5戦は、前日の悪天候の影響により、予選と決勝が1日で行われるワンデー開催に変更された。決勝は、5番グリッドから抜群のスタートを決めた坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が、ピットイン後のアウトラップで野尻智紀(TEAM MUGEN)オーバーテイクし、見事今季初優勝を飾った。

 41周で争われたレース後、トップ3以外の全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちが第5戦の予選・決勝について語った内容をお届けする。


■サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選9番手/決勝17位

「僕にとっては約3年ぶりにオートポリスでのレースとなるから、昨日は天候不良の影響で走る時間がなくなったことで難しい週末になるだろうなと思った」

 そう語るのは、スーパーフォーミュラ復帰5戦目となるフェネストラズ。計時方式となった予選ではところどころで上位に食い込むタイムを記録し「トップ5に入れるくらいのパフォーマンスはあったと思う」と本人も手応えを感じていた。

 9番手につけた状態で最後のアタックに臨もうとしたが、最終コーナー手前のところでスピンを喫し、ランオフエリアにストップ。この時の状況については「最後のアタック前にトラフィックが起きて、最終コーナー手前でみんなスローダウンしていた。そこから加速しようとした時に、(スローダウンでタイヤが冷えて)リヤのグリップを失った。これは僕のミスでチームに申し訳ないことをした」と振り返った。

 心機一転で臨んだ決勝だが、スタートでアンチストールシステムが作動して大きく後退。「スタート練習を2回やったけど、問題はなかった。だけど、いざ本番になって突然起きてしまったんだ」とフェネストラズ。

 クリーンエアを求めて2周目にピットストップを済ませたほか、セーフティカー(SC)中に2度目のタイヤ交換を行い、新しいタイヤでの追い上げをここ見たものの、大きな順位アップは果たせず。最終的に17位でレースを終え、「詳しい原因は調べないと分からないけど、いずれにしても問題を解決しないと次に進めない。オートポリスはオーバーテイクが難しいコースだから、スタートをうまく決めるというのが最大の任務だった。それが厳しい結果になってしまった」と、いつになく悔しさを露わにしていた。


■阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING) 予選12番手/決勝5位

 40分間の計時方式へと変更された予選では、セッション冒頭にユーズドタイヤでチェック走行、その後ニュータイヤを3セット投入する計画だったという阪口。ただ、最初にニュータイヤを履いた時点で、周囲に対して劣っているという感覚を持ったという。

 阪口陣営としては「結構考え込んで、渾身のオートポリスだった」と準備を整えて乗り込んできた形だが、「気温や路面に左右されたり、自分たちがちょっと手法を間違えたりして」予選から苦戦を強いられた形だ。

「チームとしても(大湯都史樹と合わせて)2台とも苦戦してしまって、それを取り返せぬまま予選が終わってしまったかなと思います。最後のアタックもできたらよかったのですが、トレイン(渋滞)になってしまって、仮にサッシャ(・フェネストラズ)選手がスピンしていなくても、結構厳しかったと覆います」

 12番手からスタートした決勝では、ザック・オサリバン(KONDO RACING)のストップにより導入されたSCのタイミングでピット作業を行うことができ、ここで8番手へとポジションアップ。さらにフレッシュタイヤを活かして小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らをオーバーテイクし、2戦連続となる5位でフィニッシュした。

「スタートのクラッチミートは良かったのですが、その後の位置取りで失敗してしまいました。でもその後のペースは良かったし、ペースがあるから戦略の幅も持てたところがあります」と、結果的に中盤までピットインを引っ張ることができたことが、最善のタイミングでのピット戦略につながった、と強調。

「バランスも悪くなかったので、かなりいい決勝レースができたと思います」と、次戦に向けて弾みになる内容に、阪口の表情は明るかった。


■高星明誠(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL) 予選16番手/決勝11位

 今季“オールドルーキー”としてフル参戦を果たした高星は、オフのテストから苦戦が続いてきた。しかしながら毎回着実にデータを集め、セットアップも進化を続けているようで、オートポリスではそれが垣間見える瞬間もあった。

 16番グリッドからレースをスタートさせた高星は、中盤に導入されたSCが解除される時点では13番手を走行。そこからオーバーテイクも見せながら10番手までポジションを上げたが、最後の最後で大湯にパスされたことで、残念ながらポイント圏外の11位に脱落してチェッカーを迎えることとなった。

「前回の反省から、『こういう方向じゃないか』というセットがあり、ぶっつけ本番の予選にはなりましたが、良い感触があったので、それを進めたものを決勝に持っていきました。それが結構うまく機能しました。今年一番いいフィーリングで走れました」

 パフォーマンスを上げることを目指したセットアップは、タイヤのデグラデーションに対しても結果的にうまく作用したと高星は言う。

「今回の系統のセットを進めていけば、もっといいパフォーマンスを出せるのではないか、という期待はありますね」

 今回走らせたセットアップの方向性には確信が得られたようで、「それをもっと発展させて、ドライビングも合わせていかないといけない」と高星。その作業は、6月上旬の富士スピードウェイでの公式テストへと引き継がれることになる。


■平良響(KDDI TGMGP TGR-DC) 予選20番手/決勝16位

 初めてオートポリスでのスーパーフォーミュラに臨んだ平良。20番グリッドからスタートし、後半までピットストップを引っ張る作戦で走っていると、19周目にオサリバンがセクター3の上り区間でスピンしコースオフしたことでSCが導入され、直前にピットストップを済ませたことで、ポイント圏内も狙えそうな14番手まで順位を上げた。

「セクター3で止まっている車両を見て、僕から『入るよ!』と声をかけてピットの準備をしてもらいました。そこでタイヤ交換して出たところまでは、これ以上にないくらい完璧なシチュエーションでした」と平良。

 周りは早めにピットストップを終えたライバルばかりということで、新しいタイヤのグリップ力を活かして順位を上げる予定だったが、実際にはその逆の展開となってしまいズルズルと後退。最終的に16位でフィニッシュした。

「本来なら、あのピットストップから『(早めにピットインして)ユーズドタイヤの皆さんを抜けばOK』というシチュエーションでしたが、逆にユーズドタイヤの皆さんに抜かれるという……このペースのなさは、本当に情けないです」

「もう完敗です。為す術もないいう感じでした」と、どこか清々しい雰囲気もあった平良は、「話題の入れ替え制のことですよね?」と自ら話題を振ると、こう語った。

「先ほど『入れ替える』と言われました。そこは言われるのは承知の上なので、しょうがないです。ただ、トヨタ全体のリザーブドライバーというポジションになるので、スーパーフォーミュラのレースウイークは、しっかり帯同はします」


■小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC) 予選18番手/決勝12位

 予選では15番手タイムを記録したものの、福住仁嶺(Kids com Team KCMG)のアタックを妨害したとして3グリッド降格ペナルティで18番手スタートとなった小高。

 スタートでうまくポジションを上げ、1周目で11番手に浮上すると、そのまま順調なペースで走って17周目にタイヤ交換を済ませた。その後、SC導入で前後のギャップがリセットされ、レース再開後の29周目にポイント圏内となる10番手に浮上した。

 このままチーム初ポイントの期待も高まったが、32周目に高星に逆転されると、大湯の先行も許し、12位でのフィニッシュとなった。

 実は10番手に浮上した時、自身がポイント圏内にいることを知らなかったそうで「ずっと17位とか18位を走りすぎていたので後ろに(太田)格之進がいるって分かった時に、一瞬『僕、周回遅れかな?』と思ってしまって(苦笑)」と小高。

「実際に高星選手に抜かれてしまった1コーナーのポイントで、僕はOTS(オーバーテイクシステム)が使えるタイミングでした。使おうと思えば使えたんですけど、そこも迷ってしまったことで抜かれてしまいました。そこさえしのげれば多分ポイントは獲れたかもしれません。そこは『ポイント争いをしていると言って欲しい』と、(レース後)チームとも話をしました」と振り返った。

 そういう意味で、悔やまれる部分も少なからずあったというだが、「でも、やっとポイントが獲れるか獲れないかという順位で走れるようになってきたので、今回獲れなかったですけど、次回はしっかりともうひとつ上というか、抜かれてもポイントを獲れるくらいの場所で走れればなと思います」と、次の目標ができていた。


■佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING) 予選10番手/決勝4位

 10番グリッドから3台を抜く抜群のスタートを決めた佐藤。序盤から山下健太(KONDO RACING)の背後について、ピットインのタイミングを伺っていたところでSCが導入され、タイムを失わずにピットインを済ませることに成功する。

 7番手でコースに復帰すると、レース再開後の2周で3台抜き去る好走を見せたが、山下には届かず4位でフィニッシュ。開幕戦の3位表彰台に次ぐ好結果を残した。

「予選に関しては、消化不良な部分がありましたが、決勝では良いスタートで順位を大きく上げられました。ちょうどタイヤを変えたいタイミングでSCが出てくれたので、展開にも救われました」

「最序盤にタイヤを交換した車両は再開後はすぐ抜くことができて、チームとしても僕としても最大限できることができました」

 多くのオーバーテイクを見せた佐藤だが、決勝までに施したセットアップが功を奏していたようだ。

「ストレートスピードが伸びるセットアップに振っていたので、オーバーテイクはしやすい方向だったと思います」

 また、佐藤は第4戦でのピットロスからピット作業の改善を進めていたチームに対し、「タイヤ交換もいろいろと失敗があったなかで、今回に向けて見直してくれて感謝しています」と謝辞を送った。

「序盤は山下選手に少しずつ離される展開が続いていて、セカンドスティントでは、こちらの方がペースはあったのかなと。マシンのセットアップなどでどこにフォーカスするかの違いが出たのかなと思います」

 ノーポイントで終えたもてぎラウンドから一転、好結果を持ち帰った佐藤。「総合的に見るとトップ車両と比べると少し足りない部分があったと思うので、そこは見直したいと思います」とすでに富士テストと後半戦を見据えていた。

[オートスポーツweb 2025年05月19日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定