今シーズン限りでの現役引退を発表したGKぺぺ・レイナ [写真]=Getty Images コモに所属するGKぺぺ・レイナが、今シーズン限りでの現役引退を発表した。23日に行われるセリエA最終節インテル戦がラストマッチとなる。
欧州を股に掛けた“PKストッパー”が、25年のプロキャリアに終止符を打つ。1982年8月31日生まれのぺぺ・レイナは現在42歳。バルセロナのカンテラ出身で、2000−01シーズンにトップチームデビューを飾ると、ビジャレアル、リヴァプール、ナポリ、バイエルン、ミラン、アストン・ヴィラ、ラツィオ、コモと4カ国・9クラブでプレーしてきた。とくに、功成り名遂げたビジャレアル時代の2004−05シーズンにおいては、PKストップ率62.5パーセント(8本中5本セーブ)という驚異的な数字を叩き出し、8年間在籍したリヴァプールでの印象的な活躍のひとつとして挙げられるのも、優勝した2005−06シーズンのFAカップ決勝戦のPK戦で見せた3本のPKストップだ。
また、2005年8月にデビューを飾ったスペイン代表では通算36キャップを保持しており、FIFAワールドカップを4度、EUROを3度経験。絶対的な守護神として君臨したイケル・カシージャスの控えに回ることが多くて出場数こそ伸びなかったが、南アフリカW杯の準々決勝パラグアイ戦では、相手FWのPK時の癖を伝授したカシージャスがPKを止めたという逸話を残すなど、前人未到の“3連覇(EURO2008、南アフリカW杯、EURO2012)”に貢献している。
昨夏に2度目のビジャレアル退団を経て、セスク・ファブレガス監督が率いるコモに加入したぺぺ・レイナ。ここまで公式戦12試合に出場しているなかで、19日に放送された『Movistar+』との独占インタビューにて、今シーズン限りで現役を引退する旨を発表。「とても美しいキャリアと、充実した日々が終わりを迎える」とし、以下のように続けている。
「本当に幸運だった。大きなケガに悩まされることがなかったのも救いだよ。長い間、こんなにも長く続くとは思わなかったんだ。27年間もトップレベルでプレーできた。バルセロナでデビューした日のことを昨日のように覚えている。とても楽しく、かけがえのない仲間たちに恵まれた素晴らしい時間だ」
また、引退を決めたタイミングについては「以前にも引退を考えたことはあったけど、そのときは妻が励ましてくれた。満足できているのは、引退のタイミングを選べたこと。去年の夏は苦しかった。まだプレーしたい、という思いが残っていたから」としつつ、「今年1月、自分が空っぽになり、すべてを捧げたことを悟ったよ。ロッカールームでの出来事が僕を傷つけ、別の役割を受け入れるようになったときにね。新しいゴールキーパーが加入し、スタメンを奪われてしまったんだ。妻と話し、今がそのタイミングだと伝えた」と冬以降に出場機会を失ったことを挙げた。
その一方で、「新しいことや将来のプロジェクトにワクワクしたいと思っている。こんなにも長く続けられたのはフットボールが大好きだからで、未来への不安はとても大きい。フットボールのない人生なんて想像できないから」と口にした同選手は、今後は指導者を志すようで、「今、別の形で続けられる選択肢があるから、それを目指すことにしたんだ。プロのアドバイスを聞いて、充実した人生を送れるよう移行期をサポートしてもらう。もちろん、寂しく思う瞬間もあるだろう」と告白した。
さらに「多くの素晴らしいコーチに恵まれ、異なる文化や国で指導を受けてきた。それが僕のフットボール観を深めてくれた。良い点は学び、悪い点は繰り返さないように努めていく」と披瀝。続けて「僕のチームは、(ハンジ・)フリック監督のようにハイライン戦術をとるかもしれないね(笑)。どんな選手がいるのかを見極め、彼らには僕のアイデアを理解しながらプレーしてもらいたい。それに、僕自身も学び続けていくつもり。とても賢くプレーするチームを作りたいんだ」と理想とするチーム像も明かしている。
欧州第一線で25年以上もプレーしてきたぺぺ・レイナ。そんな経験豊富な守護神がセカンドキャリアでどのような活躍を見せてくれるのかが、とても楽しみだ。