
「毒殺エリアで保護され オカラを食べて生き延びたジャミくん」
3年ほど前、外猫に餌やりさんが与えていたご飯などに毒がまかれていたというエリアから保護された、キジ白猫のジャミくん(雄・推定3歳)。多頭飼育の元飼い主さんのところから、大阪十三地区を中心にTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻す)活動や地域猫活動などに取り組む動物愛護団体「大阪さくらねこの会」のところへ引き取られました。
「元飼い主のAさんによると、ジャミくんは、近隣で猫嫌いの心ない人がご飯に毒をまくので、お知り合いの方が急きょ保護した猫だったんです。ところが、ご自分では飼えないとのことで、Aさんが引き取ることになりました。そのうちAさんは、同居していたお母様を亡くされ、体調不良でお仕事もままならず、さらに詐欺まがいの悪徳な宗教に次々とお金を取られ、借金まで作ってしまって…すっかり困窮。猫たちのフードが買えないどころか、自身の食料も賄えない状況でした。猫たちにはおからを水でゆるめて極少量の缶詰を混ぜて食べさせていたそうです」
猫の多頭飼育…飼い主の生活が困窮、人も猫も栄養失調に 動物保護団体が支援へ
ジャミくんを含め15匹ほどの猫を飼っていたというAさん。度重なる心労などで、猫を飼育するには困難な状況となり、そこで奈良の動物保護団体が支援に入りました。
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「奈良の団体の方がAさん宅に駆け付けると、猫たちは痩せて飢えている様子だったとか。Aさん自身も栄養失調で痩せていました。荒れ果てた家の中には長靴を履いて入り、床のあちこちに固まってしまっているふんはスコップで削り取らなければならない状態でした。電気も止まっており、明かりも暖房もない、冷え込んで寒く暗い部屋に15匹の猫たちが肩を寄せ合っていたそうです」
こうして団体のボランティアらが介入。しかしすぐに、Aさんが救急搬送され緊急入院に。慌てて全頭の猫を引き取ることになったといいます。その中の1匹がジャミくんでした。
「ジャミくんを私たち団体のところにお迎えしました。とても優しくデリケートな子。最初だけは緊張してカチンコチンに固まりますが、とても穏やかで社交的な性格です。他の猫さんたちやワンちゃんとも、控えめながら上手く距離を縮めて仲良く過ごせます。心を開いてくれると、人のお布団に入ってきて添い寝もしてくれる甘えん坊さんです」
子猫のころに毒殺エリアで怖い思いをし、保護された後は、オカラを食べて何とか生き抜いてきたジャミくん。今は、3年ほど一緒に暮らしたAさんと仲間たちと離れ、「大阪さくらねこの会」にいる猫たちとともに優しい里親さんを待っています。
代表は「オカラを食べてきたというお話を聞き、控えめなジャミくんを見て涙が止まりませんでした。『もう2度と、ひもじい思いも遠慮も我慢もせんでええで!』と思っています。健康診断の結果も、ウイルス検査の結果も全く問題なく、人馴れの度合いも性格も満点の良い子なので、良縁を結べるよう、頑張ります」と話してくれました。
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「大阪さくらねこの会」は、ジャミくんのことをX(旧Twitter)に投稿。激励コメントが寄せられるなど注目を集めました。
「どうかこの可愛らしいジャミ君を世界一幸せなジャミ君にしてあげて下さいね、よろしくお願いします」
「人も動物も、いろんな境遇で生きている ジャミくん、これからは楽しく過ごして欲しいですね」
「ジャミくんの幸せを願っています」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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