
5月8日(木)の放送では、株式会社SPACE PRODUCEの代表取締役・小林佐理(こばやし・さり)さんをゲストにお迎えして、「オフィスのお悩み解決ラボ」のコーナーを実施。今回はオフィスデザインにおける「段差」に注目しました。
(左から)DJ Nobby、株式会社SPACE PRODUCEの小林佐理さん
◆意図的に段差を作るオフィスが増えている?
今回の放送では、デザインと機能性の観点から、オフィスの「段差」に注目します。高齢化が進む日本において、バリアフリーの重要性は年々高まっています。しかし、オフィス空間に限っては、あえて段差を設けたデザインを取り入れる企業も少なくありません。
小林さんは10年ほど前からその流れを感じているそうで、「大手広告代理店さんや勢いのあるIT企業さんが、あえて段差をデザイン的に取り入れています」と説明します。
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◆フリーアドレスのデメリットを考える
オフィスの段差では単なるデザイン性だけではなく、機能性も兼ね備えたものが求められます。小林さんが過去に提案した事例の1つに、あるIT企業の移転プロジェクトがありました。ビル側の都合で移転できなかったそうですが、オフィスデザインの案にクライアントは感動したといいます。
小林さんは約10年前、200〜300坪ほどの長方形のフロアにフリーアドレスを導入したいという要望を受けました。当時はフリーアドレスが注目され始めていた頃で、役職に関係なく好きな席に座れるという自由なスタイルが魅力とされていました。一見すると快適なオフィス空間がイメージできますが、「誰がどこにいるのかわかりにくい」という問題が浮かび上がってきました。
広いオフィスにおけるフリーアドレスの場合、緊急で相談したいことが起きたとき、なかなか上司が見つけられないなどの状況が想定されます。業務効率にも大きく影響するため、小林さんが考えたのは「緊急性に対して決裁できるシニアマネージャークラスの人が常に見える場所にいる」という仕組みをつくることでした。
◆機能性とデザイン性を両立させた段差テクニック
小林さんの提案は、「オフィスの中央に段差を設けて丸型のフロアを作る」ことでした。階段でいえば2段ほど上がった位置で、そこに各部署のシニアマネージャー以上が集まるようにすれば、フロア全体のどこからでも視認しやすくなると考えたそうです。
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この段差構造は、木材を用いて物理的に床を上げるだけなので、施工コストとしても材料費・施工費はかかるものの投資対効果の方が大きいと思いますし、バリアフリーの観点からも、車椅子対応のスロープを併設すれば対応可能です。さらに、中央の円形スペースには、部署を超えたシニアマネージャー同士の交流も自然と生まれます。小林さんは「上長たちのトラブルを回避できますし、会社の方向性を見定める管理者に限定したスペースを提案しました」と補足しました。
今では見た目重視で段差を取り入れるオフィスも多いですが、そこに明確な機能を持たせることで、空間の価値は格段に上がります。説明を受け、DJ Nobbyは「段差を作ることでコミュニケーションも活発化して、みんなも仕事がしやすくなる環境になるという意外な発想の転換でした」と感想を語りました。
<番組概要>
番組名:週刊Nobbyタイムズ
放送日時:毎週木曜日 19:00-20:55
出演者:DJ Nobby(パーソナリティ)、宮田リコ(アシスタント)、高橋里実(アシスタント)
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