インテルを率いるシモーネ・インザーギ監督 [写真]=Getty Images アル・ヒラルが、インテルを率いるシモーネ・インザーギ監督の引き抜きを画策しているようだ。イタリアメディア『ガゼッタ・デロ・スポルト』が19日に報じている。
近年の大型補強により、欧州5大リーグに匹敵するような戦力を揃えるアル・ヒラル。現在のチームには、モロッコ代表GKボノ、セネガル代表DFカリドゥ・クリバリ、ポルトガル代表DFジョアン・カンセロ、同MFルベン・ネヴェス、セルビア代表MFセルゲイ・ミリンコヴィッチ・サヴィッチ、同FWアレクサンダル・ミトロヴィッチ、元ブラジル代表FWマルコムら錚々たる面々が集う。
昨季はサウジ・プロフェッショナルリーグ(SPL)、国王杯、そしてスーパーカップの国内3冠を達成したものの、今季のSPLではアル・イテハドにタイトルを譲り、国王杯でもアル・イテハドに敗れてベスト8敗退。優勝が期待されたAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)でも、後にトロフィーを掲げるアル・アハリ・サウジに屈し、ベスト4で大会を去ることとなった。
ACLE敗退直後の5月2日には、ジョルジェ・ジェズス監督と双方合意で契約解除に至ったことを発表。現在はアシスタントコーチのモハメド・アル・シャルフーブ氏が暫定首位を務めており、正式な指揮官が不在となっている。
アル・ヒラルは6月14日から7月13日まで開催されるFIFAクラブワールドカップ2025に参戦。同大会には新監督を迎え入れた上での参加を見込んでいるものの、現時点では後任が決まっていない。
だが、今回の報道によると、アル・ヒラルはS・インザーギ監督に猛アプローチを続けているという。アル・ヒラルのファハド・ビン・サード・ビン・ナフェル会長がS・インザーギ監督の招へいを熱望しており、今年4月には会長自らミラノへ出向き、S・インザーギ監督との交渉に臨んだとのこと。交渉の進展状況には満足感を示していたことが伝えられた。
アル・ヒラル側は既にS・インザーギ監督に条件を提示しており、1シーズンあたりで2000万ユーロ(約33億円)を上回る給与が保証されている模様。S・インザーギ監督はインテルとの契約を2026年夏まで残しているため、違約金が発生するものの、こちらもアル・ヒラルにとっては大きな障壁とはならないと見られる。S・インザーギ氏は近日中に、家族とともにサウジアラビアに渡航することが明るみに出ており、そこで交渉が行われる可能性も否定はできなさそうだ。
現在49歳のS・インザーギ監督は、ラツィオを経て、2021年夏にインテルの指揮官に就任。2年連続でコッパ・イタリアとスーペルコッパ・イタリアーナの“国内2冠”へ導くと、昨季は3年ぶりのセリエA制覇も実現。就任以降、これまでに無冠で終わったシーズンは1度もないが、今季はコッパ・イタリア、スーペルコッパ・イタリアーナともに“宿敵”ミランの前に敗れており、セリエAでも最終節を前にして2位につける。
既に自力優勝の可能性は消滅したが、諦めるような勝ち点差でもない。首位を走るナポリが最終節を引き分け以下で終えた上で、インテルが勝利すれば逆転で2連覇を決めることができる。ナポリが敗れ、インテルが引き分けた場合は、勝ち点で並ぶため、優勝決定プレーオフが開催。ナポリが躓くことが前提ではあるものの、まだスクデットのチャンスはある。
同時に、チャンピオンズリーグでも、S・インザーギ監督就任後2度目の決勝へ進出。31日に控えたファイナルではパリ・サンジェルマンとの対戦が決まっており、15年ぶりの“ビッグイヤー”を手にする可能性も残されている。
2冠か、それとも無冠か。インテルにとっては緊迫したシーズン最終盤となっているが、このタイミングで驚きのニュースが入っていることとなった。アル・ヒラルだけではなく、インテルもFIFAクラブワールドカップ2025の出場権も手にしているが、同大会でS・インザーギ監督が指揮を執るのは、どちらのクラブだろうか。