河合優実「あんぱん」(C)NHK【モデルプレス=2025/05/21】NHK連続テレビ小説「あんぱん」(毎週月〜土あさ8時〜ほか)に朝田蘭子役として出演する女優の河合優実(かわい・ゆうみ/24)に、モデルプレスらがインタビュー。彼女の名を一躍世に轟かせたドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS/2024年)で父親役を演じた俳優の阿部サダヲとの再共演や交流エピソードについて聞いた。<Vol.3>
【写真】今田美桜・河合優実ら「あんぱん」3姉妹ショット◆今田美桜ヒロイン連続テレビ小説「あんぱん」
今作は、“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった2人が、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。
河合は、ヒロイン・朝田のぶ(今田)の妹・蘭子を演じる。
◆河合優実、阿部サダヲから粋な贈り物
― 風来坊のパン職人“ヤムおんちゃん”こと屋村草吉を演じる阿部サダヲさんとは「不適切にもほどがある!」ぶりの再共演となりますが、ご一緒してみていかがですか?
河合:阿部さんは「不適切にもほどがある!」の前に舞台(「フリムンシスターズ」「ドライブイン カリフォルニア」)でもご一緒したことがあって、4回目の共演なんです。ずっとお世話になってきた大先輩ですし、今回も皆を安心させてくれる力をすごく感じました。阿部さんがいらっしゃると本当に楽しいです。
― 特に思い出に残っているエピソードがあれば教えてください。
河合:「あんぱん」の撮影期間中に日本アカデミー賞で賞をいただいて、その時に阿部さんがシャンパンをくださったんです。すごく粋でした。
阿部さんは、実はとても静かで落ち着いている素敵な大人の方ですが、いつもいろいろなお話をしてくださって、本当に面白くて優しいです。
◆河合優実が感じた中園ミホ脚本の魅力
― 中園ミホさんが手掛けられる今作の脚本について、中園さんならではだと感じる魅力を教えてください。
河合:「あんぱん」の脚本を読んでいて、ハッとする一行やいいなと思うセリフは、やなせさん自身の言葉から取っているものが多いです。嵩(北村匠海)1人でやなせさんの人生をなぞるのではなく、物語全体にやなせさんの考え方や「アンパンマン」の要素がふんわり散りばめられているところが楽しくて、ドラマの一つの大きな味になっていると思います。また、戦争パートに限らず、生死が真っ直ぐ描かれていて、その切実さを強く感じました。
― 「あんぱん」に出演して気付いたやなせたかしさんの作品の魅力は?
河合:やなせさんの作品には哲学があり、戦争体験や幼少期の経験があったからこそ生まれたものなのだなと感じました。言葉で聞くと簡単ですが、やなせさんが描かれた「逆転しない正義とは何か?飢えて死にそうな人がいれば、一切れのパンをあげることだ」という言葉も、本当に実感していないと絶対出てこない言葉だと思いますし、現代の私にはとても言い切れないなと。やなせさんが身をもって体感されたからこそ言葉に嘘がないし、「アンパンマン」が生まれたんだと思います。
◆河合優実、作品の決め手・心が動く動機
― 本作に限らず、河合さんの役との向き合い方を教えてください。
河合:役によってそれぞれ違う作業もありますが、まずは台本を読んで受け取るイメージを大切にしています。例えば、この人は何歳から何歳までこういう時間を過ごして…と履歴書のように具体的に全てを作っていくというよりは、台本を読んだ時に画として浮かんでくる出で立ちや佇まいからヒントを得ている気がするので、具体的というよりかは抽象的なところから膨らませている気がします。
― 朝ドラのように1人の人物を長く演じることは他にはない経験だと思いますが、ご自身にとってどのような経験になると思いますか?
河合:本当に他にはない、朝ドラでしかできないことだと思うので、必ず自分にとって今後の糧になると思います。今撮影している段階では、まだ実年齢ぐらいまでしか演じていないので、これからどんどん新たな経験ができることがすごく楽しみです。
― 河合さんご自身が「この作品をやりたい」と心が動く動機は?
河合:「あんぱん」もそうですが、「今皆さんに観てもらうべきものはなんだろう?」ということを考えています。今日1日そのドラマを観た後だけでも楽しかったと思えるものでも、子供の時に観たものが大人になってもずっと心に残っていて自分に影響を与えてくれるようなものでも、一括りに言ってもいろいろな種類があると思いますが、その時の自分が「これは自分が心と体を使って皆さんに観てほしい」と思ったものには心が動きます。
― ありがとうございました。
◆【こぼれ話】制作統括・倉崎憲氏が語る河合優実の凄み
同インタビュー前には制作統括・倉崎憲氏が記者の質疑応答に応じ、河合の起用理由や凄みを語った。
― 改めて、河合さんの起用理由を教えてください。
倉崎:河合さんはヒロインオーディションにも参加していて、3姉妹の次女・蘭子のキャラクターに非常にハマりそうだと感じたのが理由の一つです。オーディション時は、まだ「不適切にもほどがある!」の放送前だったので、オーディションで河合さんの芝居を対面では初めて見たスタッフも多かったのですが、一言で言うと「ずっと見ていたくなるような方」でした。お芝居はもちろん、雰囲気や仕草も含め全てにおいて「この人のことをずっと見ていたい」と思わせられました。良い意味で「“化け物”と出会えた」なと。だからこそ、河合さんの芝居を朝ドラという枠で視聴者の皆さんに観てほしいという純粋な思いでオファーさせていただきました。
現場でも河合さんの凄まじさを感じることがありました。不思議なことに、河合さんの芝居を見ていると10代を演じている時は10代に、20代の時は20代に見えるんです。仕草だったり、セリフの言い回しだったり、歩き方だったり、纏う空気だったり…全てを含め役そのもので、映像を通じて本当にその時代を生きているように見えるなと、特に強く感じました。きっと彼女しか持ち得ないパワーなんだと思います。
また、第6週の蘭子と豪(細田佳央太)の別れのシーンは我々スタッフも涙しました。大事なシーンの一つだと改めて感じています。二度と戻ってこない“今”という時間を河合さん、細田さんが表現してくれました。
― 阿部サダヲさんとの「不適切にもほどがある!」親子の再共演も話題ですが、これは意図的なキャスティングだったのでしょうか?
倉崎:全く狙っていません(笑)。阿部さんに関しては、かなり早い段階でオファーさせていただいていて、やなせ夫妻を題材にすることが決まる前からマネージャーさんにご一緒したいという想いをお伝えしていました。日本の朝には阿部サダヲさんが必要だとずっと考えていた中で、阿部さんの朝ドラ出演が20年以上ぶりということもあって、本作で絶対にご一緒したいなと。また、中園ミホさんが描いてくださったプロットでの、ジャムおじさんをモチーフにした屋村草吉の言い回しが阿部さんっぽいなと初期段階から感じていたので、中園さんとも話し合いながら正式にオファーさせていただきました。河合さんも「不適切にもほどがある!」の放送前にすでに「あんぱん」への出演が決まっていたので、偶然でした。
― 撮影裏で河合さんと阿部さんが特に仲が良さそうだなと感じることもありますか?
倉崎:前室では、阿部さんと河合さんだけに限らず、キャスト皆さんで和気あいあいと過ごしていますが、もしかしたら周りのキャストやスタッフは「『不適切にもほどがある!』コンビだな」と内心思っていたこともあるかもしれません。でも、あえてそこをフューチャーするようなことはなく、淡々と朝田家の日々を撮影しています。
(modelpress編集部)
◆河合優実(かわい・ゆうみ)プロフィール
2000年12月19日生まれ、東京都出身。2019年にデビュー後、数々の賞を受賞。2024年、ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)で阿部サダヲ演じる主人公の娘・純子役で注目を集める。主演を務めた映画「ナミビアの砂漠」「あんのこと」では数々の国内映画賞の主演女優賞を受賞し、第48回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞に輝いた。待機作に映画「ルノワール」(6月20日公開)、舞台「私を探さないで」(10月11日〜)がある。
◆「あんぱん」第39回あらすじ
休暇明け、のぶ(今田美桜)は教育勅語を暗唱する生徒らの姿に初めて辛くなる。同じころ、嵩(北村匠海)のもとに千尋(中沢元紀)から手紙が届く。豪(細田佳央太)が戦死したこと、そして、のぶに縁談が来ていることが書かれた手紙を読んだ嵩は…。
そんな中、朝田家に次郎(中島歩)が訪ねてくる。持参したのぶの写真に、感嘆の声をあげる釜次(吉田鋼太郎)たち。本当はお願いがあって来たと言う次郎の言葉に、のぶの答えとは。
【Not Sponsored 記事】