一千有余年の歴史ある「相馬野馬追」ってなに? 競馬ファンに伝えたい“2つのみどころ”

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2025年05月21日 18:45  netkeiba

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大井競馬場で行われた相馬野馬追の「甲冑競馬」(c)netkeiba
 今年も馬と縁深い伝統行事の季節がきた。相馬野馬追(そうまのまおい)が福島県南相馬市を中心に今月24日から26日にかけて行われる。国の重要無形民俗文化財であり、一千有余年の歴史を持つ祭典。近年は引退競走馬の新たな活躍先としても話題を集め、02年の皐月賞馬ノーリーズンも現役引退後に参加した。今年の開催が迫る中、相馬野馬追執行委員会事務局の徳沢さんに“競馬ファンに伝えたい見どころ”をテーマにその魅力を伺った。(取材・文=netkeiba編集部)

 野馬追の起源は平安時代中期。相馬氏の祖とされる平将門が下総国小金ヶ原(現在の千葉県北西部)に放した野馬を敵兵に見立て、軍事演習に応用したことにはじまったといわれている。3日間にわたる祭事では甲冑に身をかためた約400騎の騎馬武者が登場し、腰に太刀、背に旗指物をつけて野原を疾走する姿は時代絵巻さながらと言えよう。最近では大井競馬場やJRA馬事公苑でも披露され、競馬ファンにもその存在がより知られるようになった。 
 
 今回、徳沢さんは2つのポイントを挙げた。一つ目は「甲冑競馬」。25日に行われ約1200mの競馬場のようなコースを人馬一体になって競う疾走感が魅力である。現代の競馬と異なる大坪流という古馬術による手綱捌きが特徴で、先祖代々受け継ぐ「旗指物」という大きな旗を差して走ることもポイント。「使用されている甲冑はすべて本物で、戦国時代から現存するものもあります」と、まるでタイムスリップしたような光景も見ることができる。
 
 二つ目に挙がったのは「お行列」だ。こちらも25日の行事で、本陣となる雲雀ヶ原祭場地に向けて、約400騎の騎馬武者が3kmにわたって沿道を練り歩く行事。3つの神社に属する5つの騎馬会が集結し、約1000人が一直線に並ぶ様子は壮観である。「別名は旗祭りとも呼ばれるイベントで、私は一番好きな行事です。まさに勇壮華麗で豪華絢爛。競馬とはまた違った馬装にもぜひ注目してみてほしいです」と話した。
 
 上記以外にも、神旗争奪戦や出陣式、野馬懸などの行事が予定されている。神旗争奪戦は、2本の御神旗を騎馬武者たちが勇猛果敢に奪い合い大きく盛り上がる。出陣式は軍者の指揮旗の合図に螺役(かいやく)が螺を吹く厳かな儀式であり、3日間にわたって古式に則った、武士道精神溢れる貴重な祭事を見ることができる。
 
 相馬野馬追は観覧チケットが販売されており、現地での観覧が可能。安全に執り行うため、馬の背後に入らないことやフラッシュを焚かないなどのほか、「お行列」では馬の前を横切らないことや、馬や神輿を上から見下ろさない作法は忘れないようにしたい。また25日の祭事は無料LIVE配信を通じて見ることもできる。
 
 歴史と伝統が詰まった馬事文化であるとともに、SNSでの積極的な発信やPVの作成など、全国に魅力を広める活動を実施している相馬野馬追執行委員会。昨年開催時期が見直されたほか、今年は出場要件における性別や年齢の規制を廃止するなど、時代に沿った変化もあるという。

 また現在開催中の大阪・関西万博にも今月19日からブース出展を行っており、映像が見られる体験ができるなど、精力的な普及活動を行っている。現代に残る貴重な馬事文化に、現地へ足を運ぶもよし、配信を見るもよし、あなたも一度触れてみてはいかがだろうか。

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