
東京都内で、インバウンド旅行者向けに英語で教えるお弁当レッスン「Bento Making Class in Tokyo」を2024年9月から実施しているYukiさんに話を聞きました。
少人数でアットホームなお弁当作り
Yukiさんが行っているのは、伝統的な日本のお弁当作りを学ぶ2時間のレッスンです。メニューは、おにぎりとおかず3品。おかずは、唐揚げ、卵焼き、きんびら(ニンジン)。どれも日本人にとっては定番のほっと落ち着く家庭の味です。
最大6人までの少人数制で、参加者は見ているだけでなく自分の手で料理します。Yukiさんはお米と食材を準備するだけ。野菜を切ったり卵を割ったりは、全て参加者が行います。
「教わったことを持ち帰って、自分の国でも作ってほしいので、メニューは海外でも手に入りやすい食材で作れるものにしました」とYukiさん。きんぴらは本来ゴボウを使いますが、あえてニンジンだけにしているのは、ゴボウになじみのない人にとっては味の好みが分かれること、また自分の国では手に入りにくい人も多いからだそう。
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お弁当作りのハイライトは「卵焼き」

レッスンで一番盛り上がるのは、卵焼きを作る工程だそう。友人や家族で動画を撮り合う人も多いといいます。参加者からはよく「家でも作りたいけれど、卵焼き用フライパンが必要なんだよね?」と聞かれるそうですが、低価格なものだと、1000円以下で購入できることを伝えると、みなさん「買いに行く」と喜ぶそうです。
料理が完成したら、いよいよお弁当箱に詰める作業です。小さな箱にきれいに詰めようとするのは、なかなか難しいですが、人によって詰め方に個性が出るのも楽しいところ。
作った後は、記念写真を撮り、その場で試食タイム。食事中はいろいろな話で盛り上がります。
「日本で行った場所を教えてくれたり、逆におすすめのスナックバーを聞かれたりすることもありますね(笑)」
世界中から集まる日本食ファン

Yukiさんがこのプログラムを始めたのは、旅行者に日本の家庭料理を気軽に体験してほしいという思いから。以前は、料理教室でインバウンド旅行者向けに手毬寿司づくりを教えていたこともあり、今回はよりアットホームな雰囲気と家庭の味にしたそうです。
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参加者の多くは日本通で、なかには7回目の来日という熱心な人も。留学や仕事で日本に住んだ経験があり、「懐かしい日本の家庭料理を自分で作れるようになりたい」と参加する人もいるそうです。共通しているのは、みんな食べるのが大好きなこと。
ある家族連れの参加者は、手作りの大切さを体験してほしいと子どもたちを連れて参加。「日本の食文化や素材を生かす料理法、食に対する思いなどは、欧米人も学ぶべきところが多いと思う」という言葉は、Yukiさんの心に深く残っているそうです。
改めて「BENTO」の魅力は?

BENTOという言葉は多くの外国人が知っていて、実際に目にした機会がある人も増えていますが、自分で作った経験のある人はほとんどいません。
「日本人は親が子どものために早起きして、栄養バランスを考えて作ることも多いですよね。お弁当には作り手の気持ちも詰まっていますし、食を大切にする日本人の心が表現されていると感じます。彩り豊かに詰めたお弁当は、見た目もかわいらしくて美しく、目で見て楽しいのも魅力です」とYukiさんはその魅力を語ります。
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和食はユネスコ無形文化遺産にも登録された日本が誇る文化の1つ。寿司や天ぷらといった有名料理だけでなく、こうした家庭料理にも外国人が興味を持ってくれるのは、なんだか嬉しい気持ちになりますね。
古屋 江美子プロフィール
子連れ旅行やおでかけ、アウトドア、習い事、受験などをテーマにウェブ媒体を中心に執筆。子ども向け雑誌や新聞への取材協力・監修も多数。これまでに訪れた国は海外50カ国以上、子連れでは10カ国以上。All About 旅行ガイド。(文:古屋 江美子(ライター))