DeNA・蝦名達夫(写真:萩原孝弘) 中日相手に快勝劇を演じたベイスターズ。序盤に流れを掴んだポイントとなったのは、蝦名達夫の溌剌プレーだった。
まず初回、1点先行後の二死一・二塁から打席に立った蝦名は、初球をレフトへ弾き返すタイムリーで貢献。その直後の守りでは、先頭のカリステのライトへ放った強烈な打球をフェンスに直撃しながらもキャッチし、先発の石田裕太郎を勇気付けた。4回にも無死から田中幹也の打球に飛びつきピンチの芽を摘むと、打っても4回にセンター前、6回にもレフト前に運び猛打賞を記録。さらに1死からセカンドに進むと、三森大貴のレフト線へフラフラと上がった打球に判断よくスタートし、貴重な4点目のホームを踏んだ。
お立ち台にも上がった蝦名は「やっとスタメンで使ってもらえるチャンスだったので、とにかく思い切ってプレーしようと思って試合に臨みました」と5月5日以来のスタメンに気合十分で挑んだと告白。守備でも「裕太郎も良いピッチングしてましたし、しっかり先頭アウト取ろうと思ってフェンス気にせずに突っ込んでいきました」と胸を張った。
三浦監督もタイムリーに「1球目から思い切ってタイムリー決めてくれました。久しぶりのスタメンでしたけれども、初球からしっかりと振れるということは、準備ができて、アタマの整理がついて、打席に向かって行く中で行動に移せた。その結果ですね」と高評価。再三の好守備には「点を取ったすぐ次の回の先頭でしたからね。あれが抜けていたらノーアウト2塁となっていたので、あれは裕太郎にもチームにも大きなプレーでした」と称えた。
また6回の走塁にも「レフト線の打球への判断力、走力というところ。キャンプから取り組んでいるところを見せてくれたプレーですね」と頷いた。
ベースコーチと外野守備を担当している河田雄祐コーチも「確実にグローブに入れるというところを、本当によくやってくれたね。あれで裕太郎も乗っていけたというのもあるよ」と称賛。走塁には「エビの技術からすれば、当然スタート切ってくれるところだよね」と能力的に不思議ではないとしながらも「バント失敗したあとだったから、よく判断して動いてくれたね」と流れを断ち切らない足技に目を細めた。
桑原将志の復帰もあり、ベンチスタートが増えていた蝦名。しかし巡ってきたチャンスをモノにした原動力は、弛まぬ努力と準備力に他ならない。
取材・文・写真 / 萩原孝弘