2024年F1第8戦モナコGP スタート 2025年F1モナコGPでは、2回のピットストップが義務化されるが、それがレースの質を向上させる可能性について、関係者の多くがポジティブな見方をしていない。
FIA、F1、ピレリ、そして参戦する10チームというすべてのステークホルダーが、2024年のモナコGPの展開を受けて、今年の開催に向けて規則を変更することに同意した。しかしこの決定は、実際にはレース向上につながらない場当たり的な動きとも受け止められている。
昨年のモナコGP決勝では、1周目にケビン・マグヌッセン(ハース)とセルジオ・ペレス(レッドブル)がクラッシュ、その後、アルピーヌのチームメイト同士のエステバン・オコンとピエール・ガスリーの間でもインシデントが発生したため、レースは即座に赤旗中断となった。3台のマシンが危険な場所に停車し、最初の事故現場には非常に多くのデブリが散乱していたため、レースを中断する以外に選択肢はなかった。
その結果、ミディアムタイヤでレースを開始したドライバーたち、つまりフィールドの大多数は、ハードコンパウンドタイヤを装着して再スタートし、そのままフィニッシュまで走行した。事実上、ノンストップのレースになったわけだ。
こうした事態を避けるために、今年のモナコ決勝では、ドライバーは少なくとも3セットのタイヤを使用しなければならないと規則で定め、2ストップが義務化された。しかし、多くのドライバーたちがこの変更をポジティブにはとらえておらず、チーム代表からも否定的な意見が出ている。
フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、「我々は、昨年の冒頭の赤旗に対する反応として動いている」と認めた。
「(昨年の)モナコは少し奇妙なレースだったが、私にとっては非常にエキサイティングだった。非常に良い週末で、とてもポジティブだったと思う。ただし、ファンにとってはショーとしては少し物足りなかったことは理解できる」
「私は今年モナコでこのテストを実施することに賛成するが、注意を払う必要がある。例えば5周目にセーフティカーが出るようなことが起これば――モナコではそれは十分起こり得る――全員がピットインするだろう。そして、20台のマシンがモナコのピットレーンに殺到するわけだ。……そうすると何が起こるだろうか」
ザウバーのシグネチャープログラム&オペレーションズ・ディレクターの役割を担うベテラン、ビート・ツェンダーは、次のような見解を示した。
「もし通常のレースであれば、取るべき良い選択肢は多くない。なぜなら、ピットストップのウィンドウが実際には開かないからだ」
「このレースでは通常、ドライバーたちが非常にペースを抑えて走行し、タイヤを長持ちさせることを重視する。自分がミスをしない限り追い越されることがないと分かっているからだ。よって、ピットインして再びコースに戻った際に、前方がクリアな状態になるだけの大きなギャップが生まれることは決してない」
「つまり、誰もがほぼ同じ周回でピットストップをすることになる。異なることをしようとする者は不利になる可能性が高いのだ」
早い段階でセーフティカーが出動する可能性について、ツェンダーは、こう語った。
「そういうことが起こったら――そしてモナコでは起こる可能性は高い――、全員がセーフティカー中に2回ピットインすることになる。ルールに従い、2種類のコンパウンドを使用するためにだ。そうなると、残りのレースは結局、ノンストップで走行されることになるだろう」
[オートスポーツweb 2025年05月23日]