画像はイメージです社員旅行や修学旅行など、大人数で新幹線を利用するケースは多々ある。節度を守って乗車する人が大多数だと思われるが、集団心理が働き、知らず知らずのうちにマナー違反をする人物もいるようだ。森田光さん(仮名・30代)は、新幹線でとんでもない集団を見かけたことがあるという。
◆社員旅行の集団が大騒ぎ
出張のため、東京から広島に向かっていた森田さん。異変は、名古屋を過ぎたところで発生した。
「12人ぐらいでしょうか、社員旅行と思われる男女の集団が乗ってきました。60代ぐらいの男が、『おまえはここ』とそれぞれに座席を指示していたのですが、『ここは嫌だ』と駄々をこねる人物がいて、発車してから5分ぐらい、誰がどこに座るかで揉めていました。この時点でかなり鬱陶しくて。
全員が着席するかしないかのタイミングで、男が得意気に『こうすればいいんだよ』とつぶやき、椅子を回転させて向かい合わせにしたんです。許されている行為ではあるけれど、当時は新型コロナウイルスのこともあったし、すごく嫌でした」
◆酔いがまわるにつれ、周囲の不快指数も上昇
席を回転させ、向かい合わせに座った集団は、はた迷惑な行為をはじめる。
「席に座ると、リーダー的な男がビールを配りだして、一斉に『乾杯!』と。ここは居酒屋なのかと思いましたよ。私は酒が飲めず、ビールのニオイも嫌いなので、鼻呼吸をあきらめました。こっちは、仕事で嫌々広島に向かっているのに。同じ料金を支払って、なぜ私がこんなにも我慢をしなければいけないのかと……」
さらに暴走はつづく。
「新神戸を過ぎたあたりで、集団の口調が荒くなり、『酒に酔っている』と感じました。すると女性に対してリーダー的な男が大声でセクハラまがいの発言をし始めたんです。周りもその人間には強く言えないのか、ヘラヘラしているのみで……。とにかく声がでかいし、内容は卑猥だし。セクハラをされた女性は、席を立ってどこかに行ってしまいました。かわいそうでしたね」
◆車掌に対しても逆切れし、手がつけられない
注意するか迷っていると、車掌が声をかけにきた。
「おそらく私以外の誰かが呼んだのでしょう。何を言ったかは聞こえなかったのですが、『酒を飲んだらいかんって、どこに書いてあるんだよ。自由だろ』と逆ギレして。車掌も大声で『他のお客様にご迷惑になることはご遠慮ください』と声を荒げるも、『酒を飲むことが迷惑行為なのか? 話をせず、黙って乗れなんてルールがどこにあるんだよ』と譲る様子はありませんでした。結局、車掌は『迷惑行為はご遠慮ください』と繰り返すのみで、あきらめたのか去っていきました」
結局どうなったのだろうか。
「周りにいた人間は空気を読んであまり話さないようにしているようにも見えましたが、車掌とやりやっていた男が強引に話しかけて、結局うるさかった。自分が注意するしかないかと思っていましたが、岡山で降りていきました」
森田さんは憤りを口にする。
「イスが回転できるのは、折り返しに対応するためだと思うんです。4人で向かい合って座り会話をするのは、当事者は楽しいと思いますが、周りはほぼ100%迷惑をしていると思う。席を回転させるのを、鉄道会社が禁止にしてもいいんじゃないでしょうか」
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禁止にはなっていなくとも、周囲を不愉快させてしまう行為は数多ある。なんらかのルールを設けて制限したほうが軋轢は生まれないかもしれない。とはいえ、一部の迷惑客のせいで窮屈な世の中になってしまうのも癪である。いったい何が正解なのだろうか……。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など