2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) 2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP。前日の予選ではほとんどの走行をミディアムタイヤで行い、Q3に進んだことで話題になったアストンマーティン勢だったが、レースでは順位を落とすことになってしまった。エミリア・ロマーニャGP前半を無線とともに振り返る。
────────────────────
路面温度が45度近くまで上がった決勝レース。去年より一段階ずつ柔らかくなったタイヤをいかに持たせるかが、勝負のカギを握ることは間違いなかった。
スタート直前、予選Q1でクラッシュを喫し、マシンを大破させたフランコ・コラピント(ウイリアムズ)が、修理作業を終えたばかりのメカニックへ謝意を述べた。
コラピント:みんな、昨夜と今日のハードワーク、本当に感謝している。車体をひとつにまとめてくれて、本当にありがとう。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は今季ベストの5番グリッドを獲得。しかし予選アタックでミディアムタイヤを使い果たしたため、新品は1セットもない。
クリス・クローニン(→アロンソ):最後のチェックだ。2分半後にスタートする。君の周りは全員がミディアム装着だ。ハードは5台。そのなかで一番前にいるのは(ルイス・)ハミルトンで12番手だ。
スタート直後のタンブレロ。ポールシッター、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)のブレーキングは、レース後に本人も認めたように明らかに早すぎた。スタートダッシュを決めてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)をかわし、ピアストリの真後ろにつけていたジョージ・ラッセル(メルセデス)は、追突寸前だった
1周目ラッセル:ピアストリ、何してるんだ!
ラッセルはなんとか3番手にとどまったが、ピアストリはフェルスタッペンに首位を奪われた。
ラッセルの背後からは、ペースに勝るランド・ノリス(マクラーレン)が猛追してきた。防戦一方のラッセルは「これではタイヤが持たない」と、すっかり弱気だ。
10周目ラッセル:これだけプッシュし続けたら、ターゲットラップまでたどり着けるかどうかわからないよ。マーカス・ダドリー:ジョージ、後ろはかなり詰まっている。ターゲットラップまで行くことが重要だ。
11周目ウィル・ジョゼフ(→ノリス):ラッセルはリヤタイヤのタレを訴えている。プッシュし続けるんだ。
この直後にノリスに抜かれて4番手に後退したラッセルは、12周目にピットに向かった。この短いスティントだと、2ストップ必至だ。
ダドリー(→ラッセル):ピット出口で(シャルル・)ルクレールを抜けるぞ。
しかしわずかに及ばず。11番手スタートだったシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、早めの10周目にピットインしたことで、ラッセルをアンダーカットすることに成功した。
ジョゼフ(→ノリス):ランド、ルクレールは僕たちもアンダーカットしている。このままステイアウトしよう。
この時点で3番手ノリスと15番手ルクレールのタイム差は26秒を切っていた。ピットロスは26秒強なので、ここでノリスがピットインしたらルクレールに先行されてしまう。それを防ぐべく、ジョゼフはステイアウトを指示した。
一方、2番手のピアストリは1ストップ戦略に不安を抱えていた。
12周目ピアストリ:プランAはかなり大胆な戦略だと思う。
プランAは1回ストップ作戦なのだろう。チームは2回ストップへの切り替えを決断して、13周目にピットイン。ピアストリは12番手まで後退した。前を行く角田裕毅(レッドブル)との差は4秒以上あったが、みるみる迫っていった。
18周目リチャード・ウッド(→角田):後ろはピアストリだ。1秒5。マックスはピアストリとレースしているから、抑えるんだ。
しかしペース差の違いは歴然としており、あっという間に抜かれて行った。
21周目ガエタン・イエゴ:アレックス(アレクサンダー・アルボン)は21秒8だカルロス・サインツ:21秒8で走れば、1ストップでいけるよね。
サインツは早めの11周目にピットイン。チームメイトのアルボンはこの時点でまだスタートタイヤで走り続けており、両者が作戦を分けた形だ。
23周目ラッセル:リヤのトラックロッドが壊れているか、なんかそんな感じだ。ダドリー:チェックしているが、データ上は特に見えない。
結局トラブルはなかったようで、ラッセルは特にペースも落ちることなく走り続けた。
27周目アルボン:おおい、バカなことはやめよう。ジェームズ・アーウィン:大丈夫だ。いい仕事をしている。(アイザック・)ハジャーとアロンソを引き離してる。
3番手を快走するアルボン。しかしそろそろタイヤを換えたいという訴えだったのだろう。しかしペースは落ちていない、もうちょっと頑張れと返された。
29周目、19番手を走っていたエステバン・オコン(ハース)がコース脇にマシンを止めた。
ローラ・ミュラー(→オコン):問題が出た。クルマを止めて。
これでバーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。
30周目ルクレール:信じられないよ。いつも肝心な時に、止まるクルマが出てくる。僕たち、どうする?ブライアン・ボッツィ:ボックスだ。ポジションは4つ失う。ルクレール:XXXXボッツィ:フラップ(調整)必要か?ルクレール:どうでもいい。……マイナス2だ。
ハードタイヤに履き替えて19周しか走っていなかっただけに、ルクレールはタイミングの悪さを呪った。それはアロンソも同様だった。
アロンソ:僕らのレースは終わりだ。なんて不運なんだ。今年は何もかも上手くいかないね。
この時点でアロンソは14番手まで順位を落としていた。ハードタイヤに履き替えて、まだ17周しか走っていない。ここでピットインすれば、入賞の可能性はない。一か八か、ステイアウトする決断を下した。これでいったん8番手まで順位を戻したが、アロンソはあくまで悲観的だった。
31周目、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)が12番手の角田をかわそうとした際に、2台は軽く接触した。
サインツ:こいつ、またぶつかってきた。バーレーンと同じだ。イエゴ:タイヤの内圧は問題ない。そのまま走り続けて、5秒前のラッセルを追うんだ。
第4戦バーレーンGPでの接触事故では、サインツはサイドポッドに穴を開けられ、リタイアを余儀無くされた。「また、こいつか」という思いだったのだろう。
────────────────────
F1第7戦無線レビュー(2)に続く
[オートスポーツweb 2025年05月23日]