フェラーリ499Pがワン・ツー・フィニッシュを飾ったWEC第3戦スパ・フランコルシャン6時間 FIA国際自動車連盟は、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスにおけるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)プロセスに、「マイナーチェンジ」を加えたと明らかにした。この変更は、5月上旬に行われたスパ・フランコルシャン戦から適用されている。
今シーズン、FIAとACOフランス西部自動車クラブはBoP算出方法を大幅に見直し、2月のカタール開幕前夜に、ハイパーカーとLMGT3の両方のクラスで、直近3レース(ル・マン24時間レースは除く)のラップタイムデータを用いて、BoPを算出することを明らかにしていた。
2024年のBoPシステムでは全車のパフォーマンスを±0.2%以内に抑えることが目標にされていたが、この2025年の変更により、参加メーカー間で『100%の収束』を達成することが目標とされた。
だが、第3戦スパ・フランコルシャンからはハイパーカークラスのBoPシステムに変更が加えられ、過去3レースのうち、各車両のベスト2レースのデータが、算出に使用されるようになった。
これは、スパにおけるBoPが何点かで大きな変動を見せた理由を、ある程度説明するだろう。スパでのBoPは、4月の第2戦イモララウンドと比較して、最低重量と250km/h以下の最高出力の両方で、2桁の変化がいくつか見られた。
FIAの広報担当者は、この変更を「プロセスの収束速度を加速させるための、小規模(マイナー)な改良」と表現した。
なお、この変更はLMGT3には適用されず、LMGT3は引き続き直近3レースすべてをBoPの決定基準として使用している。
競技参加者はBoPについて、つまりBoPの値そのものや、その決定プロセスについて公に意見を表明することは禁じられているが、それでもスパのシステムに不満を抱くメーカーが複数あることは明らかだった。
トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのテクニカルディレクター、デビッド・フルーリーは、トヨタとポルシェがフェラーリに勝利を挑む立場になかったレースの後、彼ら2メーカーが「仮想チャンピオンシップ」を戦っているように感じていると述べていた。
また、ポルシェ・モータースポーツのトーマス・ローデンバッハ代表も、スパでの厳しいレースを経て、ポルシェ963を再び競争力のある状態にするためには「組織外の取り組みも非常に必要だ」と述べ、BoPを明確に批判していた。
FIAとACOはカタールで、2025年仕様の新しいBoP方式はメーカーの大多数の支持を得て決定されたと強調していたが、今回の変更がメーカーの承認が求められたかどうかは不明だ。
なお、6月に開催される第4戦ル・マン24時間レースは独自のBoPを維持しており、理論上はシーズン開幕3レースのデータには影響されないことになっている。
[オートスポーツweb 2025年05月23日]