混乱続く兵庫県 私的情報漏えいで県職員を処分へ 死後も続く中傷に苦悩する 竹内元県議の妻 赤木俊夫さんの妻「力になりたい」【報道特集】

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2025年05月24日 20:49  TBS NEWS DIG

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兵庫県では、元県民局長の私的情報を漏えいした県職員に対する処分が検討されるなど混乱が続いています。誹謗中傷を受けた末、自殺した竹内英明元県議。4か月を経た遺族の思いを取材しました。

【写真を見る】「元県民局長をおとしめる私的情報を見せた?」元総務部長を直撃

私的情報漏えいで処分が検討される兵庫県の元総務部長を取材

いまだ混乱が続く兵庫県。5月23日、県職員の処分を検討する綱紀委員会が開かれた。

対象となったのは元総務部長の男性。県関係者によると、停職3か月とする案が示されたという。なぜ、処分が検討されているのか。

元総務部長は、2024年4月、県議らにある文書を見せて回ったという。

兵庫県議会 迎山志保 議員
「(元総務部長が)手提げ2つ分ですかね、持って来ていた。『大変なものが出てきてるんや』『見てくださいよ』」

中身は、斎藤知事の疑惑を告発した元県民局長をおとしめるプライバシー情報だったという。

兵庫県議会 迎山志保 議員
「(元県民局長の)人間性でありますとか、そういったことをおとしめるというか、こんな人物なんだということを印象付けるためのものしかなかった」

別の県議は、元総務部長から目の前で文書を読み上げられたと話す。

兵庫県議会 山口晋平 議員
「それは元県民局長のプライバシー情報だった。目的は、告発文書作成者はこういったことをする、信用できない人間だと印象付けることだったと思う」

県は2024年10月、元総務部長の問題を調査する第三者委員会を設置。2025年3月に調査は終了したが、結果は公表していない。

22日、元総務部長に聞くと…

Q.24日の放送で、情報漏えいについて放送しようと思ってますので、県議に元県民局長の私的情報を見せたというのは本当ですか?

元総務部長
「全社一緒です。取材は受けておりません」

死後も続く中傷 竹内元県議の妻の苦悩に赤木俊夫さんの妻「力になりたい」

2025年1月に亡くなった、兵庫県の竹内英明元県議。

立花孝志氏 YouTubeより(2024年11月15日)
「竹内県議が、たくさんデマ流しとるわ。悪い奴らだ」

誹謗中傷やデマが相次いだ末、自宅で命を絶った。

その2か月後、竹内元県議の妻が取材に応じ、生前、夫が苦しんでいた様子について、こう語った。

竹内元県議の妻
「自分の存在意義みたいなものを否定して、苦しむ様っていうのは、本当に見るに堪えなかったです。全身全霊をかけてやってきたことを失って、それまで築いてきたものも、人間関係であるとか、そういった社会との繋がりであるとかも絶たれて、何とも孤独な思いでいたのは、主人も私も強く思ったことです」

夫の死から4か月が経った5月18日、訪ねてきた女性がいる。

森友学園に関する公文書を改ざんさせられ、自殺した赤木俊夫さんの妻・雅子さん。竹内さんの妻に自らの姿を重ね、「力になりたい」と申し出てきたという。

赤木雅子さん
「お酒、お好きだったんですか?」

竹内元県議の妻
「そうなんです」

赤木雅子さん
「一緒に飲みたかったね」

この日は、4か月目の月命日。竹内さんの妻は、ようやく夫の死を実感できるようになったという。

竹内元県議の妻
「いよいよ本当に戻ってこないというか、ずっと現実のものと思えていないところがあったんですけど、生活が落ち着いてきて、本当に家族が居ないということを改めて思い知らされるというか。何でこうなったのかなというのは、常に考えてしまって…」
「主人は仕事も、特にこの1年ものすごく忙しくなって、私も一緒になって仕事を手伝ってやっていたので、半身が死んだような…」

赤木雅子さん
「夜、寝られてます?」

竹内元県議の妻
「まだ何が分からないのかも分からないというか、とにかく気がついたら、1日が終わっていて。1週間が過ぎていて、1か月が経って、3か月、4か月になったなって…」

立花孝志氏のYouTubeより(3月)
「政治家が中傷されたぐらいで死ぬなボケ」
「竹内を中傷してましたよ」

死後も続く、誹謗中傷。竹内さんの妻は、深く傷ついていた。

竹内元県議の妻
「主人は政治家だったから、誹謗中傷と批判はされてしかるべきだって。ただ『弱かったから追い込まれた』と言われるのが、非常にね」

赤木雅子さん
「私もそれが一番嫌だった。すごく悔しかった。友達に『ご主人は弱かったんやね』って言われた。違うんですよ、強かったんですよ。強いからね、追い詰められたんだと思います。弱い人だったら逃げてますよ。逃げなかったんですよ」

夫は、なぜ死を選んだのか。竹内さんの妻は、知事選の期間中、夫を中傷した投稿の数々に、目を通し始めたという。

竹内元県議の妻
「本当にそれまで怖くて、中身までは見てとか、知ってとかということを、できずにいたんですけど。再度、精神が痛めつけられるような感じも覚えながらですけど、落ち着かない状態が収まるのはいつになるのかという思いで、常にそれも答えがまだ分からないままですけど」

赤木雅子さん
「時間が経つと絶対、光は見えてくる。自分の7年前のことを思い出すし、亡くなったことのショックもあるんだけど、亡くなる前の苦しんでいる姿が消えないんですよ。そこが私の生きる力になっていると思っていて。だって悔しいんだもん」

竹内元県議の妻
「そういう風に強さに変えられるときが、来るのかな…」

赤木雅子さん
「来るんですよ」
「いっぱい味方いると思うので」

竹内元県議の妻
「今、その悔しさとか、自分のなかで消化もできず。でも、何故こうなったとか考えていくうちに、このことを無駄にしたくないというか、何か意味を持たせたいというか。やっぱり、もう二度とあってはならないって思いますよね」

「違法」と指摘されるも…斎藤知事「県の対応は適切だった」の考え変えず

そもそも混乱の発端は、告発した元県民局長が「公益通報者」として守られなかったことにある。

「公益通報者保護法」は、自治体などに通報者を保護する体制の整備を義務づけている。

2025年3月、元県民局長の告発については第三者委員会が「外部への公益通報」と認定。県の告発者捜しを「違法」と結論づけたが、斎藤知事は、これと異なる見解を示し続けている。

兵庫県 斎藤元彦 知事
「(保護体制の対象は)内部通報に限定されるという考え方もある。違法性の認定については専門家でも意見が分かれている。我々としては、これまで会見や議会でも申し上げた通り、今回の対応については適切だった」

斎藤知事の発言の根拠は何なのか。神戸学院大学の上脇博之教授は県に対し、それを示す文書の開示請求を行った。すると…

神戸学院大学 法学部 上脇博之 教授
「専門家の意見を収集しているかどうか、情報公開請求の一つとしてやったが、これが『不存在』だった。つまり第三者委員会の結論をひっくり返すような、それに反対するような意見を当時持ってないにもかかわらず、『意見が分かれている』と」

公益通報者保護法に関する専門家の意見が書かれた文書は「作成・保有していないため不存在」だった。

さらに、上脇教授が追加で開示請求すると、斎藤知事が参考にしているのは、公益通報の専門家ではない弁護士の意見だということが分かった。

神戸学院大学 法学部 上脇博之 教授
「(公益通報に関する)著書とか論文を書いた専門家の意見ではない。悪い方向での解釈を認めてしまうと、結果的に守られない人たちが今後も生まれてしまう。第2、第3の犠牲者が出る可能性が出てくる」

4月、制度を所管する消費者庁は、斎藤知事の発言は「公式見解と異なる」と指摘するメールを県に送っている。

しかし、斎藤知事はその後も見解を変えていない。

兵庫県 斎藤元彦 知事 
「消費者庁の法解釈に関する一般論としての見解ですね。ここはしっかり受け止めていくことが重要」

Q.重く受け止めると言いながら見解は決して変えない、自らに誤りはなかったという主張をずっと貫かれているんですけども。

兵庫県 斎藤元彦 知事
「消費者庁や様々なご指摘というものは、真摯に受け止めるということは大事だと思いますけど」

Q.真摯に受けとめるのであれば、県の対応は適切でなかったとなるのが普通のロジックだと思うんですけど。

兵庫県 斎藤元彦 知事
「いや、これまでいろんな場で申しあげてきた通り、県の対応については適切だったという考えに変わりはありません」

5月22日、国会では…

立憲民主党 川内博史 衆院議員
「法令に違反した発言がずっと続いているわけですから、兵庫県に対して、さらなる対応を求めたいと思うが、いかがでしょうか」

消費者庁 藤本武士 政策立案総括審議官
「公益通報者保護法の内容や解釈について、地方自治体含めて全ての事業者に正しく理解されることは重要である。消費者庁において、どのような対応ができるのか、今検討している」

公益通報者保護法に詳しい上智大学の奥山教授は、斎藤知事の誤った法解釈に危機感を持っている。

上智大学 奥山俊宏 教授
「行政機関の長として言うのだとすれば、いろんな矛盾が生じることになる。自分たちの行為を正当化したいから、そう述べているのではないか。私利私欲のために県の行政を歪めていると言って過言ではない言動だと思います」

このニュースに関するつぶやき

  • 斎藤知事のパワハラは、役職を使い部下の女性性的搾取するセクハラよりも許されない、男性政治家は女性へのセクハラをプライバシーとし扱うのが常識
    • イイネ!1
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