ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)/2025MotoGP第7戦イギリスGP 5月24日、2025年MotoGP第7戦イギリスGP MotoGPクラスのスプリントがシルバーストン・サーキットで行われ、ホンダHRCカストロールのルカ・マリーニは10位、ジョアン・ミルは12位でフィニッシュした。また、ワイルドカードで参戦しているホンダHRCテスト・チームのアレイシ・エスパルガロは17位となっている。
土曜日の最初のセッションとなるフリー走行2回目は、太陽が完全に雲に覆われ、気温17度、路面温度23度のコンディションで行われた。この条件に対して、全てのライダーが前後ソフトタイヤを選択した。
まず最初に印象的な走りを見せたのはミルで、計測2周目に3番手タイムを記録。また、同じタイミングでマリーニも17番手から8番手まで浮上し、2台揃ってトップ10圏内に名を連ねた。
他車の転倒により赤旗中断を挟んで臨んだ2回目のランで2台はさらにポジションを上げ、セッション折り返しの時点でミルが2番手、残りおよそ8分になるとマリーニが4番手につけた。
セッション残り4分を切ると各車が最後のランに向かうが、ここまで連続周回を重ねていたホンダの2台はピットイン。そのままコースに復帰することなく、マリーニが7番手、ミルが8番手でセッションを終えた。
続いて行われた予選Q1にも2台は前後ソフトタイヤを採用。前半のランでは各車2周のアタックを行い、ミルが2番手、マリーニが5番手でガレージに戻った。
リヤにニュータイヤを投入した後半のランは残りおよそ4分ごろからの走行となり、計測ラップは2周確保できるかどうかというタイミングだ。ここでマリーニは1分58秒209を叩き出し、1周のアタックでQ1トップ通過を決めた。
また、ミルは計測1周目で3番手タイムを記録すると、そのまま最終アタックに突入。セクター1、2で全体ベストを刻んだが、2番手のフランコ・モルビデリ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)にわずか0.023秒およばず、惜しくも3番手でQ1敗退となった。
そのまま行われたQ2でマリーニは2回のアタックを敢行した。1回目のアタックは1分59秒196で12番手に終わり、リヤをニュータイヤに交換。アウトラップを挟んで臨んだ2回目のアタックは1秒以上タイムを縮め、1分58秒135をマークし暫定6番手に浮上した。その後2台のマシンにかわされたが、チェッカーフラッグが振られて他車が最後のフライングラップに入ったあたりでクラッシュが発生。イエローフラッグが振られ、マリーニは予選総合8番手を獲得した。
午後のスプリントは少し空が明るくなったものの曇天のまま。路面温度は27度までしか上がらず、ほぼ全車が前後ソフトタイヤを選択した。
3列目からスタートしたマリーニは、混戦のなかでもポジションをキープしたまま最初のコーナーを通過。しかし最終コーナーでヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)に先行を許し、9番手でオープニングラップを終えた。
そのまま着実にラップを重ねたマリーニだったが、後方からはスタートで大きく順位を落としたマルコ・ベゼッチ(アプリリア・レーシング)が先頭集団に匹敵するペースで急接近。4周目にバトルになると、半周以上にわたって粘ったマリーニだったが、最終セクターで先行を許し10番手に下がった。
さらには6周目にペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)もマリーニに襲いかかり11番手まで後退。しかしファイナルラップで前方のフェルミン・アルデグエル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)が他車との接触の影響でポジションを落とし、マリーニは10位でチェッカーを受けた。
チームメイトのミルは直近の数レースで転倒が続いていたが、このスプリントでは着実な走りを見せた。5列目13番グリッドからレースに臨んだミルは混戦のなかで一時は15番手までポジションを落としたが、最終セクターで順位を回復して13番手で最初のコントロールラインを通過。
2周目、前を走るブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が転倒し順位を上げたが、強烈なペースを見せるベゼッチにかわされ再び13番手に戻った。そして続く3周目、今度はアレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)が大きくコースオフし、12番手に浮上。しばらくこの順位を保ったままレースを進めた。
残すところ2周となった9周目、背後を走るモルビデリがミルとの差を急激に詰め、最終セクターでオーバーテイクを許したミルは13番手に後退。しかしファイナルラップでアルデグエルがポジションを落としたことにより、ミルはスタートからひとつ順位を上げた12位でフィニッシュした。
ジョアン・ミル(予選:13番手、スプリント:12位)
「スプリントまでのあいだは、予選で最後のコンマ数秒を稼ぐことに全力を注いでいた。必要だったのはほんの0.05秒足らずで、それがあればQ2に進出できた」
「とはいえ、週末をとおしてペースは好調で、スプリントでも良い結果を出せると思っていたが、実際には厳しいレースだった。思っていたほどのペースが出せず、期待していたポジションまで順位を上げることができなかった。次のチャレンジに向かう前に、明日まだ何かを試す機会が残っている」
ルカ・マリーニ(予選:8番手、スプリント:10位)
「午前中にチームとともに取り組んだことにはすごく満足している。昨晩は予選に向けてバイクのセットアップをかなり改善する作業を行って、それが実を結んだと思う。1周のタイムアタックではすごく快適にプッシュできて、掲げていた目標をひとつ達成できた」
「スプリントでは同じフィーリングが得られず、通常、前に行われるMoto2セッションの影響でコース状況が変わって苦戦する。レース中はほかのライダーと良いバトルができたが、正直もっと上を狙いたかった。日曜日のほうが常に調子が良いので、今回の良いグリッドポジションを活かして、しっかり勝負したいと思う」
アレイシ・エスパルガロ(予選:21番手、スプリント:17位)
「今日は引き続きいくつかの項目に取り組み、必要な作業を進めることができた。僕たちの目的は、ファクトリーライダーの助けになる点を見つけることであり、確実に前進している」
「スプリントのスタート直後、序盤でワイドにふくらんでしまい、大きくタイムをロスしたが、その後は良いリズムを取り戻せたので、明日へ向けてもポジティブに捉えている。予選であまり成果を出せなかったのは残念だが、テストチームとしても、僕自身も周回ごとに進歩しているので明日が楽しみだ」
[オートスポーツweb 2025年05月25日]