井樫彩監督が南沙良&馬場ふみかの演技を絶賛『愛されなくても別に』

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2025年05月26日 12:31  cinemacafe.net

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『愛されなくても別に』Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会
武田綾乃の同名小説を映画化した『愛されなくても別に』より井樫彩監督のコメントが到着。印象深い“水”というモチーフについても語っている。

本作の監督を務める井樫彩監督は、学生時代に制作した短編映画『溶ける』が、ぴあフィルムフェスティバルをはじめとする国内の映画祭で高く評価され、さらに第70回カンヌ国際映画祭のシネフォンダシオン部門に正式出品。世界中の学生作品の中から選ばれたその実力は、早くから国際的な注目を集めてきた。

長編デビュー作『真っ赤な星』(2018)を皮切りに、『NO CALL NO LIFE』(2021)、『あの娘は知らない』(2022)など、現代に生きる若者たちの葛藤や希望を繊細に描き、観る者の心に深く響く作品を次々と生み出し、人気アーティストのミュージックビデオも手掛けるなど、その表現力の幅広さと映像センスは、映画の枠を超えて高く評価されている。

井樫監督は、主人公・宮田陽彩として主演を務める南沙良の魅力について「脚本を読んで色んなことをキャッチしているとは思うんですけど、そこで何を感じたかを言葉で語るのではなく演じることで出す。陽彩は目線ひとつで何となく感情がわかるような役なので、そこの表現力はものすごく信頼していますし、魅力的だなと思います」と絶賛。

また、陽彩と徐々に心を通わせていく江永雅を演じる共演の馬場ふみかについては「本人はさらっとしているけれど繊細な部分もあって、そのまま演じてもらえればまさに雅になるのではと思いました」と語る。

本作ではアクティングコーチの協力のもと、撮影前に南と馬場にそれぞれ異なるアプローチで役作りを依頼した。南には劇中では描かれない日常のワンシーンとして、共演者の堀口(基俊介)とコンビニで働く場面を演じてもらい、馬場には脚本にないエピソードを新たに書き下ろして実際に演じてもらったという。

井樫監督は「映像では描かれないけれど、シーンとシーンの間にもその人物は生きているので、そこを補填する意図もありました。監督というのは演出はできるけど、お芝居は教えられないと思っているんです。例えば、お芝居で泣いてもらうときに、泣けるように誘導することはできても、物理的にこうすれば泣けるよとは言えないというか。でもアクティングコーチはそこを言語化して説明してくれるからです」と語る。

さらに井樫作品にたびたび登場する“水”というモチーフについても、本作でも象徴的に扱われている。そのことについて、「水は表現として好きなモチーフではあります。水族館は原作にもあるんですけど、そこを増やしたのと、雅の家でも熱帯魚を買っていることにしました。枠(水槽)の中に二人も入っている、というイメージです。あらゆるものは海から来ていて、水はないと生きていけないものでもある一方で、命を奪うこともある。味方にもなるし敵にもなる存在としてとらえています」と明かした。

細やかな演出と確かな視点で、登場人物たちの感情を丁寧に描き出す本作に、観客は共感と感動を覚えるだろう。若き才能・井樫彩監督が全身全霊を込めて描く最新作に、ぜひ注目してほしい。

『愛されなくても別に』は7月4日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。





(シネマカフェ編集部)

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