『嬉しくて死にそう』 6・7月に渋谷2会場で開催される「第32回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜」の上映10作品が決定した。
LGBTQ+などの性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)をテーマに、国内外から選りすぐりの作品を上映する本映画祭は、今年で第32回目。
本年は、ユーロライブと東京ウィメンズプラザホールの2会場にて、計4日間にわたり、全6プログラム・10作品を上映。そのうち5作品は日本初上映(ジャパン・プレミア)となり、世界各国で高く評価され、受賞歴のある作品が揃う。
今回の上映作品には、移民あるいは人種的少数者が抱える疎外感を描いた『満ち汐』、エイジング(加齢・老化)とセクシュアリティに光を当てた『嬉しくて死にそう』、そして紛争地域における同性愛をテーマにした『カシミールのふたり ファヒームとカルン』など、性的少数者を扱う映画作品群の中にある多様性の豊かさにフォーカスした作品が含まれている。
〈上映プログラム〉
『チャクチャク・ベイビー』*日本初上映
[英題]Chuck Chuck Baby
[監督]ジャニス・ピュー
2023|イギリス|101分|英語
日中は養母の介護、夕方はチキン袋詰め作業という日々を送るヘレン。育ててくれた恩以上の絆がある養母グウェンの介護は苦ではないけれど、元夫とその若い妻が中心の家でヘレンが寛げる場所はグウェンの隣だけ。そんなとき町に20年ぶりに里帰りでやってきた1人の女性。それはヘレンが10代のときに恋をし、いまも忘れられずにいる相手だった…。BAFTAウェールズ2024 作品賞受賞。トロント国際映画祭2024上映。
『満ち汐』*日本初上映
[英題]High Tide
[監督]マルコ・カルヴァニ
2024|USA|101分|英語
ブラジル移民のロレンゾはアメリカ人彼氏から一方的に別れを告げられ、海辺のゲイ・リゾートとして知られるプロビンスタウンで清掃員として先の見えない暮らしをしていた。あるとき、ビーチでロレンゾはニューヨークから来たモーリスと出会う。それぞれに孤立感を抱える2人は寄り添い合うように親しくなり関係を持つが…。サウス・バイ・サウスウェスト映画祭2024選出。フィルムアウト・サンディエゴ2024主演男優賞、助演男優賞受賞。
『嬉しくて死にそう』*日本初上映
[英題]If I Die, It'll Be of Joy
[原題]Si je meurs, ce sera de joie
[監督]アレクシ・タイヤン
2024|フランス|80分|フランス語
フランス初のクィア・シニア団体「グレイ・プライド」を創設した70歳のフランシスはHIVとも長い付き合いだが、パートナーとはもう35年続いている。また、81歳にして尽きない性欲とオーガズムへの探求心について熱心に語るミシュリーヌなど、「グレイ・プライド」のメンバーを通して老いとセクシュアリティのテーマをパワフルに更新するドキュメンタリー。Roze Filmdagen(アムステルダムLGBTQ+映画祭)ベストドキュメンタリー賞。モントリオールLGBTQ映画祭 観客賞。
『ドラマクイーン・ポップスター』*日本初上映
[英題]Queens of Drama
[原題]Les reines du drame
[監督]アレクシ・ラングロア
2024|フランス・ベルギー|115分|フランス語
ミミはポップアイドルとしてデビューが決まり、同時にレズビアン・クラブでのパンキッシュなパフォーマンスが人気のビリーと恋愛関係になる。ミミは急速にポップスターとして売れ、元は憧れの存在だったビリーを一瞬で超えて有名になるが、セクシュアリティや恋人のことは世間に秘密で…。ゼロ年代ポップワールドを背景に繰り広げられるクィアでキャンプな愛憎ドラマ。カンヌ国際映画祭2024 批評家週間選出。BFIロンドン映画祭2024上映。
『カシミールのふたり ファヒームとカルン』*日本初上映
[英題]We Are Faheen and Karun
[監督]オニル
2024|インド|79分|カシミール語、ヒンディ語
カシミールの検問所に配置された南部インド出身のカルン。カシミールは紛争地域だが着任時は安定した状況。村の料理店でカルンは大学の休暇で村に帰省中のファヒームと出会う。瞬く間に惹かれ合うふたりだが、カルンは職業上、ファヒームは家の宗教により、彼らが恋を語れる場所はどこにもなく…。カシミール語を主言語とした初のLGBTQI+映画作品。BFIフレア・ロンドンLGBTQIA+映画祭2025 上映。UK アジアン映画祭2025 監督賞受賞。
※ブリティッシュ・カウンシル+BFIセレクション:トランスジェンダー短編集+『5時のチャイム』上映
英国映画協会(British Film Institute: BFI)の「BFIフレア・ロンドンLGBTQIA+映画祭」とブリティッシュ・カウンシルのパートナーシップに基づいて2015年から毎年優れたLGBTQIA+短編作品を世界に発信し続けているオンライン映画祭「Five Films for Freedom」およびその姉妹プロジェクト「More Films for Freedom」との共同企画によるトランスジェンダー短篇作品4本を紹介。
併せて英国人監督が日本で制作した日・英共同制作作品『5時のチャイム』も上映(協力:ブリティッシュ・カウンシル)。
『記憶の鳥』
[英題]A Bird Called Memory
[原題]Pássaro Memória
[監督]レオナルド・マルティネリ
2023|UK・ブラジル|15分|ポルトガル語
More Films For Freedom 2022/2023
いなくなった鳥を探すトランスジェンダー女性がリオの街を歩く。ロカルノ、トロントなど多数の国際映画祭で上映された短編。
『トランス・ハッピネス・イズ・リアル』
[英題]Trans Happiness Is Real
[監督]クイントン・ベイカー
2020|UK|8分|英語
Five Films for Freedom 2021
トランスジェンダーの活動家がオックスフォードの街に出て、グラフィティを通して反トランスの感情と戦う模様を扱った、8分間の短編作品。
『レッツゴーTRUKユナイテッド!』
[英題]We’ll Go Down in History
[監督]キャメロン・リチャーズ、チャーリー・ティドマス
2025|UK|25分|英語
Five Films for Freedom 2025
2021年に創設された英国のトランスジェンダー選手のサッカーチーム「TRUKユナイテッド」が、トランスヘイトの空気が高まる中、安全でインクルーシブなコミュニティを築こうとする苦難に満ちた歩みを2年間追い掛けたドキュメンタリー。
『おいしい水に捧ぐ祈り』
[英題]Prayers for Sweet Waters
[監督]イライジャ・ヌンベ
2021|UK・南アフリカ|16分|英語、フランス語、キルンディ語
More Films For Freedom 2021/2022
南アフリカ、ケープタウン。3人のトランスジェンダー女性セックスワーカーがコロナ禍での心情を語るドキュメンタリー作品。
『5時のチャイム』
[英題]The 5 O'Clock Chime
[監督]ジェイムズ・クーパー
2024|UK・日本|15分|日本語
防災行政無線の5時のチャイムが鳴り響く中、主人公のセイジはある青年との満たされなかった出会いに夢中になり、どんどん空想の世界に引き込まれていってしまう。
「第32回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜」は6月21日(土)〜6月22日(日)ユーロライブにて、7月12日(土)〜7月13日(日)東京ウィメンズプラザホールにて開催。
(シネマカフェ編集部)