米巨大IT企業5社のロゴ(AFP時事) トランプ米政権の関税措置を巡る日米交渉で、日本側が巨大IT企業への支払い増加による米国の「デジタル黒字」の問題を提起していることが28日、分かった。米国は、日本が巨額の対米貿易黒字を計上していることを問題視している。日本は、デジタル黒字を差し引きすれば影響が小さくなるとして、米国をけん制する考えだ。
赤沢亮正経済再生担当相は、過去3回の日米閣僚級交渉でも、米国が巨額のデジタル黒字を計上していることを指摘したもようだ。現地時間30日にも米国で行う4回目の交渉でも、改めてこの問題を提起する見通し。
日本は米国に対し、自動車への追加関税などの全面的な見直しを求めている。ただ、米国は相互関税の上乗せ分を主な交渉対象とする姿勢で、両国の隔たりは大きい。日本は、デジタル黒字を俎上(そじょう)に載せることで状況の打開を狙う。
デジタル分野では、米国のマイクロソフトやグーグルといった「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の影響力が大きい。日本は、音楽・動画配信サービスや、クラウドサービス使用料などで米国への支払いが大きくなっている。
日本の財務省が発表した2024年の貿易統計によると、日本の対米貿易黒字額は8兆6281億円だった。一方、国際収支速報によると、日本全体のデジタル赤字は過去最大の6兆6000億円規模。多くを占める米国にとっては黒字となる。生成AI(人工知能)の利用拡大などにより、日本のデジタル赤字は今後も増加が続く可能性がある。