「僕を通して父親を見てる人が…」46歳お騒がせ俳優の長男が明かした“二世としてのホンネ”とは

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2025年05月29日 08:50  女子SPA!

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窪塚愛流instagramより
 窪塚洋介を父にもつ俳優・窪塚愛流は、俳優デビュー作『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年)や『麻希のいる世界』(2022年)など、映画的な佇まいと生々しい世界観を打ち出しつつある。

『アナザースカイ』(日本テレビ系)出演回(2025年5月3日放送)では、俳優デビューのきっかけになった場所である小笠原諸島へ。そこで海辺に座り、眼差す先に追想する演技の世界があった。

 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、『アナザースカイ』窪塚愛流出演回を解説する。

◆「窪塚」という名字

「僕を通して父親を見てる人がすごく多かったんですよね昔から」とカメラの前で話すのは、『アナザースカイ』に出演する窪塚愛流である。

「父親」とは、窪塚洋介のこと。「息子、二世 それは僕も重々承知だし 嬉しいのもあるんですよ」と窪塚洋介の息子であることの嬉しさと同時に噛み締める苦悩について、率直な言葉で説明する様子が、何とも清々しい。

 昨年には『ボクの穴、彼の穴。W』で初めて舞台を経験。『顔に泥を塗る』(テレビ朝日系、2024年)の可憐で繊細な高校生役など、着実に出演作を重ねる愛流だが、父・洋介の名前が常に自分の存在を超えて先行してきたことに等身大の葛藤を抱いてきたのである。

 筆者が以前、あるオーディオ機器メーカーのプロモーション映像を担当したとき、キャスティングリストに「窪塚愛流」の名前があったことを記憶している。「窪塚」という名字を見て、すぐに「あれ、息子さん?」と脊髄反射的に思った。まさに「僕を通して父親を見てる人」の一例である。

◆単独でそこにいる生々しさ

 だから窪塚愛流を見て、彼について語るときの視点には当然のように、父・洋介の存在が見え隠れすることになる。実際、『アナザースカイ』全編で窪塚洋介が冒頭から登場して、その話題を散りばめた番組構成になっている。

 にもかかわらず、番組冒頭から9等身以上(?)もの背丈でMC今田耕司を圧倒しながら、あくまで自分がこの番組の主役であるというジャブみたいなものを窪塚愛流らしい身振りで繰り出す。

 彼のアナザースカイは小笠原諸島。24時間の船旅で向かう。夜、デッキに立つ愛流が潮風を全身に感じ、カメラに夢中で話しかける。そのときばかりは、父の存在が見え隠れするわけでもなく、ただ窪塚愛流という存在が単独でそこにいる生々しさがある。

◆ドキュメンタリー映画『プラネティスト』での経験

 10年前の夏休み以来、再訪する小笠原諸島。俳優を夢見るきっかけになった場所である。小学5年生だった愛流は、父・洋介が出演したドキュメンタリー映画『プラネティスト』(2018年)ロケに同行した。

 現在の愛流が海辺で回想する。浜辺の先、海には第二次世界大戦の名残である沈没船が見える。海面ぎりぎりに船体の一部が浮き上がり、『プラネティスト』ではそこに洋介が乗って撮影していたと話す。

 愛流が視線を向ける。豊田利晃監督を筆頭に撮影クルーたちが父にカメラを向けていた現場の熱気に大いなる刺激を受けた。愛流は「父親がすごい仕事をしてるかっていう境目」と述懐する。カメラが捉えるフィクショナルな画面空間と現実のロケ地のあわいを感覚的に経験して、そこに不思議な演技の世界が立ち現れる時間を感じたのである。

◆独自の表現を磨く世界観

『アナザースカイ』窪塚愛流出演回は、そうしたあわいの時間を追想することで、現在の俳優・窪塚愛流が形成された過程を記録する意味合いがあると筆者は思う。彼は今、ひとりの俳優として力強く立とうとしている。

 さらに豊田監督から「俳優興味ないのか?」と聞かれた場所に座る。演技の世界に誘った豊田監督が捉えた、愛流14歳の俳優デビュー作『泣き虫しょったんの奇跡』でのみずみずしい名演から、塩田明彦監督がさらにポテンシャルを引き出した『麻希のいる世界』での映画的佇まい。

『アナザースカイ』ラストのインタビューで、愛流は自分のことを「自分はまだ自分の色がないし、それを探してる道中で」と謙遜するが、十分世界観をもっている。

 俳優とは、決して個性的な存在である必要はない。むしろ個性とされるものを明確な世界観として提示できるかが重要である。俳優としての大先輩であり、父である窪塚洋介とは違う世界観をもった存在として、「僕の道を僕なりに僕のペースで歩み続けたい」窪塚愛流は独自の表現を磨くのである。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu

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