山本尚貴がドライブするWhite Tiger SF23“⽩寅” 2025スーパーフォーミュラ第1回カーボンニュートラル開発テスト 全日本スーパーフォーミュラ選手権を開催する日本レースプロモーション(JRP)は、5月27〜28日にスポーツランドSUGOで行われた2025年第1回カーボンニュートラル開発テスト(CN開発テスト)の実施報告を5月29日に公開した。
2022年から行われているスーパーフォーミュラのCN開発テストは、JRPが掲げる『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトを通じ、『カーボンニュートラルへの対応』と『エンターテインメント性の向上』というふたつをテーマに、パワートレインを供給するトヨタ/ホンダをはじめとするメーカーの垣根を越えて繰り返し実施されているもの。
2023年からシリーズに導⼊された現行車両の『SF23』では、カーボンニュートラルの対応として、原材料および製造過程でのCO2排出量を約75%抑制したBcomp社のバイオコンポジット素材に加え、今季からは天然由来の配合剤やリサイクル素材など、再⽣可能原料の⽐率を45%まで向上させた横浜ゴムの“カーボンニュートラル対応レーシングタイヤ”などが採用されている。
今回スポーツランドSUGOで実施された2025年第1回目となるテストには、開発ドライバーに就任した山本尚貴と国本雄資の両チャンピオンが参加。ホンダエンジン搭載のWhite Tiger SF23“⽩寅”を山本が、トヨタエンジン搭載のRed Tiger SF23“赤寅”を国本が2日間ドライブした。
テストでは今季レギュラー使⽤されているレーシングタイヤのさらなる性能向上を⽬指したメニューや、各種ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)、センサー系、ステアリングの操作性確認などもあわせて行われた。
28日のテスト初日は11時から1時間の⾛⾏セッションがスタート。今季仕様のレギュラータイヤを装着し、3.586kmのSUGOレーシングコースを⾚寅の国本が20周、⽩寅の⼭本が19周の走行を重ねた。14時からの2時間セッションでは、今回新たに3種類持ち込まれたケーシング(タイヤ内部の構造部分)のテストが⾏われ、2台とも54周を走り、多くのデータ収集とパフォーマンスの確認が行われた。
2⽇⽬はウエット路⾯での⾛⾏テストを⾏うため、散⽔⾞によりサーキット全周にわたって⽔が撒かれ、午前3時間、午後2時間、計5時間のウエットタイヤテストを実施。国本が107周、⼭本が109周の周回を重ね、ウエットタイヤのコンパウンド、ケーシングそれぞれの評価を行ったとのことだ。
テストを終えた2013年、2018年、2020年王者の山本は「今季は計3回の開発テストが予定されているなか、基礎的な検討課題を⾒出すためのテストになりました。今季のレギュラータイヤの課題点と改善点をしっかり把握したうえで、その対⽐として開発タイヤのテストができ、今後に向けての検討材料は集まったと感じています」と開発テストを振り返る。
「その材料を横浜ゴムさんに解析していただきながら、全参戦ドライバーが安⼼して⾃分のパフォーマンスが最⼤限引き出せるように、⼀緒に開発できればと考えています。昨年の最終戦以来のスーパーフォーミュラでの⾛⾏でしたが、現⾏⾞両、現⾏タイヤで⾛ることで、より選⼿の⽬線で、より選⼿の感覚と近い状態で会話ができますし、せっかくこういった機会をいただいたので、選⼿権全体、選⼿ひとりひとりにフィードバックできるよう取り組んでいきたいと思います」
また、2016年チャンピオンの国本は「事前に今シーズン参戦しているレギュラードライバーにさまざまな要望をヒヤリングして臨みましたので、そのポイントにフォーカスしてテストを⾏いました」とコメントした。
「ドライタイヤもウエットタイヤもテストすることができ、どうすればもっと楽しいレースができるのかを考えながら、完璧ではないですが⽅向性は⾒えてきたのかなと思います」
「ひとつのタイヤスペックで戦うスーパーフォーミュラでは、⾼負荷のコースもあれば低負荷のサーキットもあるなか、何を重視するのかを⾒極めるのは難しい作業なのですが、特にレインタイヤについては多少⾬量が増えても安全に⾛れるといったことにフォーカスしていますので、このままテストを重ねれば良い⽅向にいくのかなと考えています」
次回となる2025年第2回目のカーボンニュートラル開発テストは、9⽉初旬に富⼠スピードウェイで実施される予定とのことだ。
[オートスポーツweb 2025年05月29日]