犯罪組織が不正入手したクレジットカード情報を利用する際、「キャリア決済」と呼ばれる決済手段を使う手口が問題となっている。カードの明細に、身に覚えがないキャリア決済の請求や決済額が記載されている場合は、被害に遭っている可能性がある。警視庁幹部は、被害を防止するため「カードの利用明細をよく確認してほしい」と呼び掛けている。
キャリア決済は、商品購入代金を月々の携帯電話料金とまとめて支払うことができるサービス。インターネットでの買い物の際、カード番号を入力する手間がないことなどが利点だ。
警視庁は今月、キャリア決済でオンラインゲーム内の通貨を不正購入したとして、ベトナム国籍の男を電子計算機使用詐欺容疑で書類送検した。男は同決済の支払い方法に他人のカード情報をひも付けていた。
キャリア決済は、商品購入のたびにカードの名義人に利用通知が届く仕組みにはなっていない。男はベトナム人犯罪組織のメンバーで、同決済を悪用することで、不正利用の発覚を遅らせようとしたとみられる。
決済代行サービスなどを提供するSBペイメントサービスが2350人を対象にした調査によると、デジタルコンテンツ購入時に「最も利用する決済手段」について、約140人がキャリア決済と回答。カード決済、PayPay(ペイペイ)に続き、3番目に多い決済手段で、広く利用されていることが分かる。
ただ、トラブルも少なくない。国民生活センターなどによると、2024年度のキャリア決済に関する相談は5817件に上った。「半年間、キャリア決済を不正利用されていた。家族全員分の携帯電話料金をまとめて支払っており、気付くのが遅れてしまった」などの相談があったという。
警視庁幹部は「カードの月々の明細をよく確認し、不審なものがあればすぐにカード会社に問い合わせてほしい」と訴えている。