2025年F1第9戦スペインGP FIA会見 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) ヨーロッパラウンド3連戦の最終戦となる2025年F1第9戦スペインGP。しかし話題の中心は、1週間前の第8戦モナコGPだった。
Q:通常のペースより5秒も遅く走る行為を、多くのファンやドライバーが快く思っていなかったと思います。それでもこのやり方に賛成ですか?
ランド・ノリス:「モナコはこれまでもずっと、決勝レースはいつも退屈だった。これまで見た最高のレースでさえ、オーバーテイクはゼロだった。でも同時にすべてのF1ドライバーが勝ちたいと思うレースだし、最も楽しみにしているレースでもある。だから大きく変えるかどうかについて、意見は分かれる。でも何をやっても、素晴らしいレースになることはまずないと思う。レースの途中で雨が降ったりとか、そういうことがない限り、モナコはエキサイティングにならない。もしかしたら、土曜日の予選をもっと特別なイベントにすべきかもしれない。個別に1周だけのアタックにするとかね」
Q:ジョージ(・ラッセル/メルセデス)がイライラしてシケインを横切ったことについてはどう思いますか? あなたが彼の立場だったら、同じ行動を取りましたか?
ノリス:「ジョージはあの状況で、やりたいことをやった。それだけのことだよ」
Q:たとえばモナコをスプリントフォーマットにして、予選を2回行うのは?
ノリス:「どうだろう? 改善策は色々あると思うけど、でも一番重要なのはマシンの観点だ。マシンを今の半分の大きさにしない限り、モナコのレースを本当に変えることはできない。だからモナコの現状に満足するべきだと思うよ」
オリバー・ベアマン:「モナコの歴史を振り返れば、かつてはオーバーテイクが多かったのに、今はそうではないというわけじゃない。モナコのスリルは土曜日の予選にあるということを人々は受け入れるべきなんだ。あれだけ狭くて距離の短いサーキットでは、レースが退屈になるのはほとんど必然なんだ。マシンが大きくなった今は特にね。もっと小さいマシンの方がいいだろうけど、それですべてが解決するとは思わない。(マシンがもっと小さかった)20年、30年前も、オーバーテイクはほとんどなかったからね」
ポール・トゥ・ウインでモナコを初制覇したノリスにすれば、今のままで十分というところだろう。対照的に10位に終わったカルロス・サインツ(ウイリアムズ)は、悔しさと落胆をあらわにした。
サインツ:「ふたりの意見に同感だけど、ただ決勝レースをどう改善できるか、どんなアイデアが生まれるか、もう少しオープンマインドで検討してもいいんじゃないかな。正直言って、本当に辛いレースだった。僕の前や後ろでトレインにはまっていた中団のドライバーたちにとって、いい日曜日ではなかった。本当に、本当に酷くて、こんなにもがっかりしてクルマから飛び降りたことは今までなかった。あまりに遅かった。F1マシンで走ったなかで、一番遅かった。誰かをオーバーテイクして、ピットストップのプレッシャーを味わいたいと心から思ったよ。だから改善を検討する価値はあるね」
グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)会長のアレックス・ブルツはモナコGP終了後、ヘアピンのコース幅の拡張やヌーベルシケインをより後方に再配置する、ラスカスのコース幅を調整するといったコース改修案を提案した。
Q:これらはモナコを改善する解決策になると思いますか?
サインツ:「改善にはなるかもしれない。でもそれらは僕たちが抱えている問題の、1〜5%程度にしか過ぎない。モナコの1番の問題は、クルマをコースの真ん中に置きさえすれば、たとえ時速30kmで走っても追い抜かれない可能性があるということだ。なのでもっと工夫が必要だよ。とにかくマシンの車幅が広いので、どれだけゆっくり走っても追い抜かれない。もっと大きな変更が必要だろうね」
ペナルティ覚悟でシケインをショートカットし、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を抜いたラッセルは、その真意は何だったのだろう。
Q:モナコGPに刺激を与えるとレース前から言っていましたが、それを実際に行動に移したということだったのでしょうか。
ラッセル:「正直言って、ウイリアムズのリヤウイングの裏側を50周も見つめ続けるのに飽き飽きしていたんだ。その後は自分のレースをすることができたしね。とはいえあの状況では、11位でも20位でも同じだった。僕はただ、モナコを楽しみたかったんだ。予選ではそれができなかった。シーズンを通して最もアドレナリンが湧き上がる瞬間なのに、そのチャンスを逃してしまった。一方でレースは、少なくとも最後の25周は楽しめたよ。ただし反逆者としてコースをカットしたわけではなく、アレックスがまるでおばあちゃんのように運転しているのを見るのに飽きてしまっただけだ」
モナコの根本的な解決策は、ノリスやサインツが言うようなマシンの小型化なのだろうか。2001年に初めてモナコをF1マシンで走り、2度の優勝歴のあるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)はどう考えているのだろう。
Q:様々なF1マシンを運転してきたわけですが、モナコに限らず、どのグランプリでも通用するF1マシンの理想的なサイズはどれくらいだと思いますか?
アロンソ:「(隣に座る角田裕毅とラッセルをチラと見ながら)ユウキと僕が乗れるサイズだね。ジョージは、また別の問題だ(注:諸説あるがラッセルの身長は185cm、アロンソは170cm、角田は161cm)。バスケットボールとか、他にも挑戦できるスポーツはたくさんあるわけだし。それはともかく、僕はずっと2000年代初頭が自分にとって最高のマシンだったと言ってきた。でもこの答えは、少しロマンチックすぎるかもしれないね。だってF1にデビューしたばかりで、しかも成功を果たした時期だったからね。マシンは本当に運転しやすく、楽しかった。ただしモナコでは、それでもオーバーテイクはなかったよ」
[オートスポーツweb 2025年05月30日]