
【写真】名作「ドン・キホーテ」を新たに読みかえる! 作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ
劇作家、演出家、映画監督、音楽家として多方面で才能を発揮し、第32回読売演劇大賞優秀演出家賞など数々の賞を受賞しているケラリーノ・サンドロヴィッチが、約6年ぶりにKAATで新作を上演。
2019年に上演した『ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜』は、未発表のフランツ・カフカの長編小説の遺稿が見つかったという設定のもと、現代とカフカの居た時代、そしてカフカの小説世界が騙し絵のように交差していくという物語が好評を博した。今回は、現実と妄想の区別がつかなくなり荒唐無稽な行動を繰り広げる男の顛末を描いた、セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」をもとに新たな冒険奇譚(たん)を書き下ろす。
自らを遍歴の騎士(ドン・キホーテ)と思い込み、世直しの旅に出る初老の郷士。彼のお供をするサンチョ・パンサや空想上のドルシネア姫といった原作から引き継がれるキャラクターたちと、新たに描かれるドン・キホーテを取り巻く登場人物たちによる群像劇が紡がれる。
主役のドン・キホーテを演じるのは、劇団「ナイロン100℃」に所属し、KERAの信頼も厚く、数々の舞台・映像作品で存在感を放つ大倉孝二。共演には、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で第31回読売演劇大賞優秀女優賞受賞など退団後も数多くの作品で活躍する咲妃みゆ、『ハリー・ポッターと呪いの子』や『ボニー&クライド』など話題作への出演が続く矢崎広、俳優として長年にわたり活躍し続け近年は舞台の演出も手がける須賀健太。さらに土屋佑壱、浅野千鶴といった舞台を中心に多岐にわたる活躍が光る俳優がKERA作品に初参加する。
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個性と実力を兼ね備える俳優陣が、生演奏を交えて縦横無尽に舞台を駆け巡ります。夢と妄想と正義感に取りつかれた人間の狂気が、原作のエッセンスとKERA独自の不条理さを交えどのようにリメイクされるのか、期待が高まる。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』は、KAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて年9月14日〜10月4日、富山・オーバード・ホール 大ホールにて10月12・13日、福岡・J:COM北九州芸術劇場 中劇場にて10月25日・26日、大阪・SkyシアターMBSにて11月1日〜3日上演。
KERA、大倉孝二、咲妃みゆのコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
「ドン・キホーテとカラフルメリィ」
いつか舞台でやりたいと考えていた文学はいくつかあって、セルバンテスの『ドン・キホーテ』もそのひとつだった。
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人間、思春期にあっては、やりたい事とやれる事の落差が大きい。無論どの年齢においても落差は大きく、歳をとると、単に落差に対する諦念が増すだけで、それを我々は成熟と呼んでいるのかもしれない。
そう考えると、本作も『カラフルメリィ〜』も、いかれていることは間違いないが、成熟できない爺さんの話でもあるのだ。
■大倉孝二
遡ること数年前、KERAさんに呼び出され「ドン・キホーテをやらないか」というような話しをされた。この界隈でも指折りの消極的人間である私にしては珍しく、「やらせてください」と即答したように記憶しています。なぜだろうか。恥ずかしながら、まともに読んだことも無い400年以上も前に書かれた物語、イカれたおじさんが無茶苦茶する話くらいの認識だった。何に惹かれての即答だったのか、我がことながら釈然としない。考えられるのは、イカれたおじさんの話が好きなのかもしれない。あ、イカれたおじさんの話しか好きじゃないのかもしれない。そうかもしれない。
気持ち悪いな。
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■咲妃みゆ
この度は大きな挑戦の機会をいただき、感謝の思いでいっぱいです。これまで幾つもの素晴らしい作品と出逢わせてくれたKAAT神奈川芸術劇場。一観客の私にとって憧れの場所でした。いよいよその舞台に立たせていただけることに深い喜びを感じています。そして私はケラリーノ・サンドロヴィッチさんの、観る側に問うような独創的な世界に長年惹かれ続けてきました。名作ドン・キホーテがKERAさんの魔法でどんな風に彩られるのかワクワクしています。大倉孝二さんを始め錚々たるお顔ぶれの共演者の方々に身の引き締まる思いですが、覚悟を持って楽しく創作に励みたいと思っております! ぜひ劇場にお越しくださいませ。お待ちしています。