F1スペインGPが行われてきたカタロニア・サーキット。2026年以降の同グランプリはマドリード市街地へと移る カタルーニャ州政府は、2026年末に期限が切れる現在のF1開催契約終了後も、同地でのグランプリをF1カレンダーに残す決意を固めている。スペインGPがカタロニア・サーキットからマドリードへ移ることにより、来季2026年のレースは法的理由から名称を変更しなければならず、現在のスペインGPは『バルセロナ市GP』として行われる予定だ。
新名称をカタルーニャGPと名付ける計画は、州政府と中央政府の間にほぼ緊張がない状況のなかでもあっても、そのグランプリ名を使用することが中央政府に対する政治的挑発と見なされる可能性があるため、却下された。
F1との交渉はほぼ1年前に始まったが、今年初めて行われた会合で地元のプロモーターたちは大きな衝撃を受けた。現在、商業権保有者に年間3400万ユーロ(約55億4700万円)の開催権料を支払っているグランプリの代表者らは、契約更新により年間6000万ユーロ(約97億9000万円)を要求されることになるとは予想していなかった。
レース主催者たちはステファノ・ドメニカリ会長兼CEOのチームの要求に打ちのめされ、必要な支援を得られる見込みはないと考えていた。しかし、カタルーニャ州政府と協議した結果、F1がどのような要求をしても『受け入れることができる』と言われ、彼らはふたたび驚くこととなった。グランプリをバルセロナで開催し続けることが、サルバドール・イジャ政権の最優先事項となったのだ。
この政策変更の理由は、スペインの内情を知る人にとっては非常に単純なものだ。マドリードがグランプリを開催するという現実的な脅威がない限り、地元当局はレースの開催継続についてそれほど懸念を抱いていなかった。6週間前までマドリードGPプロジェクトの実現可能性については多くの疑問があったため、彼らはスペインGPを失う心配をしていなかったのだ。
しかし、マドリードが取り組みを強化し、同レースが来年の暫定カレンダーに載ると、カタルーニャ側はグランプリレースを失うリスクが現実のものとなったことを理解した。マドリードとバルセロナの激しいライバル関係を考えると、首都にレースを奪われた場合、イジャ政権は多大な政治的損失を被ることになるため、開催権料とそれにともなう運営コストに関する考えを改めたのだ。
カタルーニャ州政府から与えられた“白紙委任状”は、レース主催者らに大いに歓迎されており、彼らは現在、近々発表される新たな契約を確保すべく時間との戦いを繰り広げている。
F1側は今のところ、バルセロナに提示できる最高のオファーは、スパ・フランコルシャンとの“ローテーション・システム”による開催枠だと主張している。一方、サーキットの経営陣は、マドリード側が2035年末まで新スペインGPの開催契約を結んでいるものの、バルセロナが開催権料を全額を支払えば毎年カレンダーに留まることができると確信している。
[オートスポーツweb 2025年05月30日]