「ものすごい不安だった」と明かした吉沢亮 (C)ORICON NewS inc. 俳優の吉沢亮が30日、京都・東寺で開かれた「映画『国宝』ジャパンプレミア」に登壇し、同作で主演を務めた重圧や覚悟を語った。
【ソロカット】ブラックスーツでビシッと登場したオーラあふれる吉沢亮 世界遺産にも登録されている真言宗総本山教王護国寺(東寺)は、映画の題名と同じく国宝の金堂、五重塔、御影堂をはじめ、重要文化財の講堂、南大門など貴重な堂宇が建つ。金堂に主演の吉沢をはじめ、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、見上愛、田中泯、渡辺謙ら出演者が登壇すると、会場に訪れたファンからは歓声とどよめきが響いた。
長崎の任侠の一門に生まれ、抗争で父を亡くした後、単身で歌舞伎の世界に飛び込んだ立花喜久雄を演じた吉沢は「1年半、歌舞伎と向き合ってきた。一つの役の準備の段階でそこまで期間を設けるのは初めての経験だった」と撮影を振り返り、「どんな体験をするのか未知数だったので、ものすごい大きな不安を抱えていた」と吐露した。
さらに、「でも、なにかこの作品で、わかりやすく言えば集大成みたいなことだったり、僕の代表作になってほしいという思いもすごい乗っかった撮影だった」と明かし、「ものすごい覚悟は持ってましたし、その分、すごく苦しみもした」と打ち明けた。
そうして苦労して完成した本作。「第78回カンヌ国際映画祭」での上映が好評を博したことを振り返り「本当にうれしかったですし、安心しましたね。日本の伝統芸能をベースにした作品がカンヌの地でどのような評価をいただくのかは、楽しみな反面不安も大きかった」と話した。実際には集中して映画を鑑賞する人たちが多く「我々が込めたものがしっかりと届いているなということをすごい実感し、胸が熱くなりました」と話した。
本作は、黒衣として3年間歌舞伎の世界に身を置き、その体験をもとに執筆した吉田修一氏による小説を、李相日監督の手により映画化したもの。任侠の一門に生まれながら、歌舞伎役者の家に引き取られた主人公・喜久雄(吉沢)が、芸の道に人生を捧げ、やがて“国宝”と称される存在になるまでの50年を描く、壮大な一代記。
物語は、抗争によって父を亡くした喜久雄が、上方歌舞伎の名門・花井家の当主である花井半二郎(渡辺)に引き取られたことから始まる。喜久雄は、半二郎の息子であり、名門の跡取りとして育てられた俊介(横浜)と出会い、兄弟のように、親友として、そしてライバルとして、ともに芸に青春を注いでいく。天賦の才を持つ喜久雄と、歌舞伎の血統を受け継ぐ俊介の対比も作品の見どころのひとつとなる。