6年ぶりの全国ツアー『サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025「THANK YOU SO MUCH!!」』より 写真/西槇太一 ■全28曲、圧巻の千秋楽
人気ロックバンド・サザンオールスターズが29日、6年ぶりとなる全国ツアー『サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025「THANK YOU SO MUCH!!」』の千秋楽を東京ドームで開催。アンコールを含む28曲を熱演した。
【写真】熱気が伝わってくる…サザンオールスターズ6年ぶりの全国ツアー『THANK YOU SO MUCH』の模様 約5万人の拍手が湧き上がるなか「逢いたさ見たさ 病めるMy Mind」でライブがスタートし、桑田佳祐の「東京ドームに帰ってきました!千秋楽でうれしいような寂しいような気持ちです。延長したい!」というあいさつのあと、「せつない胸に風が吹いてた」「愛する女性(ひと)とのすれ違い」など往年の名曲が続く。ライブが進むごとにどんどん会場の熱気が高まっていき、「愛の言霊(ことだま)〜Spiritual Message〜」ではハイライトといえる圧巻のステージを見せつけた。
新曲コーナーでは「10年ぶりのアルバムをリリースいたしました!大きな声じゃ言えないんですが、オ、オ、オ、オリコン1位をいただきました」と紹介。オリコン週間アルバムランキング(3/31付)で初登場1位を獲得した『THANK YOU SO MUCH』のジャケットが映し出され、「桜、ひらり」「神様からの贈り物」「史上最恐のモンスター」「暮れゆく街のふたり」「風のタイムマシンにのって」と続けて披露された。
後半はアコースティックセットで幻の未発表曲「悲しみはブギの彼方に」も披露。そして「ミツコとカンジ」「夢の宇宙旅行」などの新作収録曲から「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」などのヒット曲、そして本編最後は「マンピーのG★SPOT」で大盛りあがりを見せた。
アンコールでは東京公演ならではの「東京VICTORY」も披露され、最後はジャビットも登場し、「勝手にシンドバッド」で大団円を迎えた。全国47都道府県のライブビューイング参加者(15万人)を含めた約75万人を動員した全国ツアーは幕を閉じた。
■バンドとしての圧倒的な技術力&魅力
今回のオープニングでは、桑田が軽くギターの音を鳴らしてからライブがスタート。東京ドームという大舞台でも、バンドマンらしい自然な仕草に心をつかまれ、「ジャンヌ・ダルクによろしく」などでスライドギターを楽しそうに弾く姿も、やはり楽器好きなバンドマンらしい姿が存分に現れていた。いつまでもピュアに音楽に向き合い続けている桑田の姿は、ステージ上で圧倒的な魅力を放っていた。
ベース・関口和之とドラム・松田 弘のリズム隊は、ダンサブルなナンバーから、バラード、疾走感のある8ビートまで、どんな曲調においても安定した心地よいグルーヴを生み出していた。「海」などのミドルテンポのナンバーでは野沢秀行のパーカッションの存在感が特に際立ち、3人のアンサンブルがバンド特有の爽やか&甘酸っぱい世界観を一層引き立てていることを感じさせた。原 由子の歌声の魅力は言うまでもなく、キーボードのフレージングも見事。楽曲の世界観を作り上げるために必要な音を瞬時に繰り出し、その難解さにも驚かされる場面もあった。
ライブ全体を通して、迫力を出すためだけの不必要な低音は感じさせず、桑田の歌声を中心に、各帯域に絶妙に楽器の音が配置されていた。耳当たりも抜群で、名曲たちがすっと自然に耳に入ってくる。桑田のギター演奏のわずかなストローク音まで聴き取れた瞬間は驚きで、そんな音響の素晴らしさもあり、サポートメンバーを含めた名うてプレイヤーたちのフレーズ&楽器の音作りのかっこよさ、そして桑田の歌声と歌詞の力を全身で浴びることができた。
ライブ中、サポートメンバーの演奏シーンがスクリーンに映し出される場面も多く、サポートミュージシャンや裏方スタッフを含めた“チーム・サザンオールスターズ”全体で作り上げたライブであることも改めて伝わってくるライブとなった。観終えたころには自分も“チーム・サザンオールスターズ”の一員のような気分になれた、夢みたいな時間だった。
最後に桑田は「(デビューから)47年、ありがとう!これからもみなさんに楽しんでいただけるように、サザンオールスターズ、頑張ります!」とコメントし、笑顔でフィナーレを迎えた。これからも日本の音楽界の頂点から、最高峰のバンド演奏を届け続けてほしい。