不安は「Hパターン」と「夜間の混走」。KTMS、S耐ルーキー2人と“先輩”平良のトリオで富士24時間決勝へ

0

2025年05月30日 21:40  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2025スーパー耐久第3戦富士24時間 KTMS GR YARIS(富下李央菜/鈴木斗輝哉/平良響)
 いよいよ5月30日〜6月1日に静岡県の富士スピードウェイで開催されるENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦『富士24時間レース』。全10クラス計60台のほとんどが24時間の長丁場を戦うために4〜6人のドライバーラインアップを敷いているが、ST-2クラスから参戦するKTMS GR YARISが富下李央菜/鈴木斗輝哉/平良響という数少ない3人体制でエントリーしている。しかもそのうち、富下と鈴木はスーパー耐久ではルーキーイヤー。まだ若手ながら豊富な24時間の経験をもつ平良“先輩”とともに、24時間レースを前に3人体制への不安とその解決法を聞いた。

 2024年のST-2クラスチャンピオンチームであり、今季も第1戦もてぎで優勝を飾っているKTMSは、参戦当初から若手育成を主眼として戦っているチーム。2025年はKTMS参戦開始当初からチームを引っ張る平良が“先輩”として富下と鈴木をリードする立場だ。迎える第3戦富士24時間は、平良にとっても2022年にはST-2クラスで優勝(この時もドライバー3人体制)、さらにST-Xでは2023年に中升 ROOKIE Racingの一員として総合優勝を飾るなど、合計2勝を飾っている。

 30日の予選後、平良とともにふたりの若手に24時間の決勝へ向け不安がないかを聞くと、TGR-DCの育成ドライバーとしてFIA-F4、フォーミュラ・リージョナルで優勝も飾っている鈴木は「3人体制での体力の問題と、Hパターンのシフト操作が不安ですね」という。

 しかし平良先輩は「ブレーキの踏力が強いクルマではないので、体力面は大丈夫」と不安を打ち消したが「でも反面、ヒール・アンド・トゥとHパターンのシフト操作は手も疲れますし、ミスがないようにかなり神経を使う」とアドバイスした。長いドライビングの中で安定したシフトチェンジをこなすことがひとつのポイントとなりそうだ。

 今季はKYOJO CUP、さらにFCR-VITAでKYOJOクラスを戦い総合優勝も飾っている富下は、これまでとは「クルマの動きが(他のレースと)違い、四輪駆動も初めてなので、少し難しさを感じています」という不安が。またスーパー耐久ならではとも言える、10クラス60台での混走もひと筋縄ではいかないと感じているよう。

「遅いクラスを抜くのも、速いクラスに抜かれるのも、タイミングが難しいと感じています。29日の夜間専有走行では暗いぶん、うしろのクルマとの車間距離が分かりづらかったですし、決勝はとにかく接触しないようにしたいです」

 5月8日に行われたスーパー耐久公式テストでは、夜間走行で富下のドライビング中、KTMS GR YARISは接触され、そのときのダメージで今回は以前使っていた個体を再投入している。富下の不安もさもありなんといったところだ。しかし平良は「まず大事なのは、速いタイムで走ろうとしないこと。特に夜は何か起きることが多いので、とにかく絶対にぶつからなければ大丈夫」とアドバイスした。

「ふたりはドキドキのはずですが、自分と近いタイムで走れていますし、ドライビング自体は言うことなしです。このチームの目的は若手育成なので、ふたりには決勝でもたくさん乗ってもらいたいと思います」と平良は笑顔でふたりの後輩たちを引っ張る。

「大事なのは安心、安全! 目指すべきはノーペナルティでの完走です。24時間レースでは、朝を迎えるまで攻めずに耐えることが重要だと思っているので、夜が明けてから、ラスト3時間のスパートにターゲットを絞って頑張ります」と、自身3度目の富士24時間制覇へ向けて意気込んだ。

 S耐デビューから2戦目で、未知の富士24時間レースに挑む富下、鈴木。そして2勝の経験をもとにチームを支える平良のトリオが挑む24時間レース。若さとともに3人がドライブする決勝レースは、どんな結末を迎えるだろうか。

[オートスポーツweb 2025年05月30日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定