2025年F1第9戦スペインGP 角田裕毅(レッドブル) 前戦モナコGPでF1のレースでの95回目のスタートを切って日本人のF1最多スタート記録を持つ片山右京の記録に並んだ角田裕毅(レッドブル)。今週末のF1第9戦スペインGPの予選を通過し、日曜日の決勝レースのスタートを切れば、25年ぶりに日本人のF1最多スタート記録を更新することになる。
しかし、いまの角田には95戦の過去を振り返る余裕はない。トップチームであるレッドブルに移籍して6レースを戦い、獲得ポイントは7点。一方、チームメイトのマックス・フェルスタッペンは2回の優勝を含め、100点を獲得している。
その差を角田は次のように分析する。
「VCARB(レーシングブルズ)にいたときは、クルマがどんな状況になっても対応できていたんですけど、レッドブルのクルマではそこまで対応できていない。まだクルマを100%理解していないというか、考えないで自然にクルマを操れる状態になっていない。それに対してチームメイトはこのチームに9年間いて、クルマを熟知している。ただ、移籍してすぐにできるとは思っていないので、焦らずに頑張っていきたい」
そのスペインGPにレッドブルはアップデートしたフロントウイングを持ち込んできた。この新しいフロントウイングはフェルスタッペンだけでなく、角田のマシンにも搭載されていた。スペアパーツ不足によって第7戦エミリア・ロマーニャGPから旧型のフロントウイングを使用してきた角田にとっていいニュースだが、これでフェルスタッペンとまったく同じスペックになったというわけではない。
今回レッドブルが投入したこのフロントウイングは、今回のスペインGPから適用されるウイングのたわみテストをクリアするために製造されたもの。フロアについてはエミリア・ロマーニャGPで新しいものを投入したが、角田が予選でクラッシュした後は旧型を使用し、このスペインGPでもその状況は続いている。
その状態で角田にフェルスタッペンと同等のスピードを求めることができないのは自明の理。フリー走行1回目ではフェルスタッペンから約コンマ5秒遅れの9番手。フリー走行2回目では約コンマ6秒遅れの13番手に終わった。
「大きなミスをしたわけではないし、ラップ自体は悪くなかったんですが、ライバルたちに比べてあまりにも遅い。それが問題。非常に厳しい状況です」
しかし、結果に一喜一憂する必要はない。なぜなら、いまチームが角田に期待していることはフェルスタッペンに追いつくことではなく、角田が走らせているマシンを理解することだ。新しいフロントウイングに旧型のフロアを組み合わせて走らせているのは、角田だけ。チームもこの組み合わせでRB21を走らせたことはない。走行データがないなかで、スペインGPではエンジニアたちも手探りでセットアップしていたはずだ。
そんなチームに、的確で詳細なフィードバックをいかに伝えられるか。
「今夜のエンジニアたちとのミーティングは長引きそうです。簡単ではないと思いますが、最善を尽くして解決策を見つけたい」
日本人最多出走を迎える角田の腕の見せ所だ。
[オートスポーツweb 2025年05月31日]