スーパー耐久を使ってENEOSとST-Q参戦4メーカーが“共挑”。エタノール20%混合の低炭素ガソリンの開発実証実験をスタート

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2025年05月31日 13:20  AUTOSPORT web

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2025スーパー耐久第3戦富士24時間 共同記者会見を行ったENEOS、各自動車メーカー、STMO桑山晴美副理事長
 5月31日、ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦『富士24時間レース』が開催されている静岡県の富士スピードウェイで、ENEOSホールディングスと、スーパー耐久ST-Qクラスに参加しているトヨタ、スバル、マツダ、日産モータースポーツ&カスタマイズが共同記者会見を行い、ENEOSと自動車メーカーのオールジャパンで“共挑”し、燃料を“鍛え”、普及を加速していくと発表した。

 スーパー耐久シリーズでは、メーカーの開発車両が参戦することができるST-Qクラスが設けられており、トヨタ、スバル、マツダ、日産/ニスモ、ホンダという日本を代表する自動車メーカーが参画し、クルマづくりとともに“共挑 S耐ワイガヤクラブ”と題し、スーパー耐久やモータースポーツの盛り上げ、さらにカーボンニュートラルへの挑戦といったクルマ社会全体の取り組みに向けた議論、そして未来に向けた開発がレースという過酷な環境を使って行われている。

 そんなST-Qクラスでも最大のテーマのひとつであるのがカーボンニュートラルへの挑戦だ。自動車業界にとっては喫緊の課題であり、ST-Qクラスでも“マルチパスウェイ”の考え方で水素エンジンの挑戦を続けるトヨタ、そしてカーボンニュートラル燃料を活用してきたトヨタ、マツダ、スバル、ニッサン、ホンダ、バイオディーゼルを使用してきたマツダなど、さまざまなメーカーがそれぞれのアプローチで開発を進めており、今回、さらに新たな国産の選択肢が登場することになった。パートナーとしてもスーパー耐久シリーズを支えているENEOSが開発・実証する『低炭素ガソリン(E20)』だ。

 この『低炭素ガソリン(E20)』はガソリンにバイオエタノールを約20%混合した低炭素燃料とされる。バイオエタノールは、主にトウモロコシやサトウキビといった植物資源に含まれるグルコース、または草本系植物やパルプ、古紙などを原料とするセルロースを発酵させて製造するもので、原料の植物などが成長過程で大気中のCO2を吸収するため、化石燃料と比べて低炭素な燃料とされる。

 低炭素ガソリン(E20)は2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でもその期待が示されており、官民が協力して導入に向けた環境整備を進めている。2023年5月には、富士スピードウェイのモビリタで市販車でのデモランを行ったこともある。ENEOSでは、従来からE20の品質(JIS規格)が定義されていないこと、国内外での技術情報が不足しているという課題に取り組んでいく。今回、スーパー耐久を通じて自動車メーカーと燃料メーカーが協力し、過酷なレースという条件下での開発と実証を目指す。

 まず開発実証をスタートさせたのは、ST-Qクラスに参戦するTGRR GR86 Future FR concept、SUBARU HighPerformanceX Future Concept、MAZDA SPIRIT RACING RS Future conceptというトヨタ、スバル、マツダの3台で、第3戦富士から使用する。最大濃度20%の低炭素ガソリン供給に向けて知見を蓄積していくために、スーパー耐久参戦を通じて複数の低炭素ガソリン(E20)を評価。技術視点でのフィードバックを行っていく。

 また、ニッサン/NMCから出席した木賀新一専務執行役員は、「ニッサン/NMCではZニスモGT4の開発をさせていただいていて、今回のレースは欠席となっていますが、今後ENEOSさんの燃料を使って参戦することをお約束致します」と将来、低炭素ガソリンを使ったZニスモGT4の登場を宣言した。

 さらにこの記者会見では欠席となったホンダレーシング(HRC)については、ST-Qでの活動について今季はまだ行われていないが、2026年以降もこの取り組みが継続する際には「ぜひ参加したい」というメッセージが寄せられている。

 すでに第3戦富士から使用を開始している各メーカーからもフィードバックが進められ、これまで使用してきた海外製のカーボンニュートラル燃料との比較なども出はじめているという。今後も内燃機関を使ったクルマ社会、そしてモータースポーツが継続するためにも非常に重要な取り組みとなる。今後のスーパー耐久を使った活用、フィードバックには大いに期待したいところだろう。

[オートスポーツweb 2025年05月31日]

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