『夏の砂の上』上海国際映画祭に正式出品決定 オダギリジョー、高石あかり、玉田真也監督が参加へ

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2025年05月31日 21:10  クランクイン!

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映画『夏の砂の上』場面写真 (C)2025映画『夏の砂の上』製作委員会
 演出家の玉田真也が監督・脚本、オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを務める映画『夏の砂の上』が、6月13日より中国・上海で開催される第27回上海国際映画祭のコンペティション部門に、日本作品で唯一、招待されることが決まった。同映画祭にはオダギリジョー、高石あかり、玉田監督が参加する予定。

【写真】映画『夏の砂の上』新たに公開された場面写真

 本作は、長崎出身の松田正隆による読売文学賞 戯曲・シナリオ賞受賞の戯曲を映画化。

 物語は、息子を亡くした喪失感をきっかけに人生が止まってしまった主人公と、妹が置いていった17歳のめいとの突然の共同生活から始まる。愛を失った男、愛を見限った女、愛を知らない少女…それぞれの痛みと向き合いながら、彼らが夏の砂のように乾き切った心に、小さな希望の芽を見つけていく姿を描く。

 キャストには、主人公・小浦治を本作で共同プロデューサーも務めるオダギリジョー、治のめい・優子を高石あかり、治の妻・小浦恵子を松たか子、優子の母で治の妹・阿佐子を満島ひかり、優子へ好意を寄せる立山を高橋文哉、治が働いていた造船所の同僚・陣野をフォークシンガーの森山直太朗、同じく同僚・持田を光石研が演じている。

 1993年から始まった上海国際映画祭は、中国で唯一、国際映画製作者連盟公認の映画祭として、映画文化の普及と映画産業の発展とを目的に、毎年10日間の会期中に国内外の約500作品が上映されている。

 コンペティション部門には今年15本の作品が選出され、『夏の砂の上』は日本作品唯一の上映となる。

 選出理由について、上海国際映画祭プログラマーの徐昊辰氏は「本作は、かけがえのない家族を喪ったことで、まるで時が止まってしまったかのような空白の時間を、静謐なまなざしと繊細な映像美ですくい上げた作品です。長崎の変わらぬ町並み、記憶を抱えたような坂道、そして雨の降らない夏という設定が、登場人物たちの内面と静かに響き合いながら、観る者に深い余韻をもたらします。言葉少なに交わされる感情の揺らぎや、表情の奥に秘められた痛みと優しさが、俳優たちの抑制の効いた演技によって丁寧に表現され、物語にさらなる奥行きを与えています。静けさの中に潜む感情の機微をすくい取った本作が、このたび上海国際映画祭でワールドプレミアというかたちで初めて世界の観客と出会えることを、何よりも光栄に、そして心から嬉しく思っています」とコメント。

 玉田監督は「上海国際映画祭メインコンペティション部門に招待して頂き、たいへん光栄です。海外の観客に観ていただく場に立ち会うのはこれが初めてなので、とても楽しみにしています。文化を超えて伝わる人間の感情が映った映画になったと思っているので、早く観客の皆さんとこの作品を共有したいです」と喜んだ。

 審査員長を『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレが務めるメインコンペティション部門は、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞、最優秀女優賞などの賞の対象となり、最優秀男優賞を受賞すると、2005年第8回の三原光尋監督『村の写真集』で藤竜也が受賞して以来20年ぶりとなる。授賞式は6月21日。

 また、併せて新場面写真も到着。喪服姿で坂の多い街をさまよう治。別居中の妻・恵子のそばには治の元同僚である陣野の姿がある。また、突然やってきた治の妹・阿佐子が、娘の優子を預けにくる物語のはじまりを捉えたものや、治と恵子が言い争う場面に遭遇し、恵子が喪服を着るのを手伝う優子など、雨が降らない夏の長崎を舞台に、乾いた心を抱える人々の複雑な感情が交差する1枚になっている。

 映画『夏の砂の上』は、7月4日より全国公開。

※高石あかりの「高」は「はしごだか」が正式表記
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