「誰跳べ」も「JOYFUL LOVE」もなくても――日向坂46、新体制ライブで見せた“変わらないもの”と“変えていくもの”

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2025年06月01日 20:10  クランクイン!

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クランクイン!

日向坂46「BRAND NEW LIVE 2025 『OVER THE RAINBOW』」  写真:上山陽介
 日向坂46のステージが、イメージを新たにした。一期生全員が卒業したグループで、27〜29日の3日間にわたって行われた東京・国立代々木競技場第一体育館の公演。3月に加入した五期生による単独公演「おもてなし会」ではじまり、2日間に及ぶ二〜五期生が総出演の「BRAND NEW LIVE 2025『OVER THE RAINBOW』」を作り上げた最終日には、新体制への覚悟がにじんでいた。

【写真】日向坂46が見せた“変わらないもの”と“変えていくもの” ライブフォト(37枚)

■過去のライブと比較して見られた“ステージングの変化”

 最新の14thシングル「Love yourself!」の活動をもっての卒業を発表している二期生・富田鈴花は、ステージ終盤に「はじめてこんなにリハーサルで全員で密にからめあえた」と当日までを振り返り、「ダンストラックだったり、曲がリミックスされてたり」という挑戦がたくさんあったと語っていた。

 約2時間20分にわたって展開したライブは、過去のメンバー総出演による“全体ライブ”とは雰囲気が異なり、グループの“挑戦”がたしかな形として伝わってきた。
 
 実際、当日に披露した複数の曲で、センターを務めるメンバーが、アレンジされた長尺のイントロに合わせて舞う姿は、ステージングの変化を象徴していた。
 
 「月と星が踊るMidnight」のイントロでは、センターを託された二期生・金村美玖がステージ下で灯るスポットライトの光を受けて、しなやかに舞う。まっすぐな視線で踊る姿には、グッと引き込まれた。
 
 さらに、メドレーパートでは二期生の金村と小坂菜緒が「キュン」「ってか」「君しか勝たん」で各曲のセンターを務め、アレンジしたイントロに合わせたダンスで、パフォーマンスへの期待感を高めた。

■高橋未来虹の「全員、騒げー!」で継がれたキャプテンの歴史


 グループの挑戦はまだあった。現メンバーによる、一期生曲のパフォーマンスだ。
 
 アンコールで二〜四期生が披露した一期生曲「愛はこっちのものだ」の曲中で、現キャプテンの三期生・高橋未来虹が「全員、騒げー!」と叫んだ場面では、初代キャプテンの一期生・佐々木久美が「誰よりも高く跳べ!2020」で観客を鼓舞する面影が自然と連想された。
 
 一期生全員が卒業しても、歴史は受け継がれる。そしてまた、歴史は塗り替えられる。
 
 笑顔を浮かべる五期生は、日向坂46の未来そのものだった。MCでは緊張した面持ちだった五期生のメンバーも、パフォーマンスとなると凛とした表情を見せていた。
 
 大野愛実をセンターにしたグループ初の五期生曲「ジャーマンアイリス」ではメンバーが可憐に舞い、「絶対的第六感」では四期生の正源司陽子と藤嶌果歩に代わるWセンターとして、大野と松尾桜が加入2ヵ月とは思えない、余裕すら感じさせる笑顔を浮かべた。
 
 本編中盤では、二〜四期生の期別曲に数名の五期生がそれぞれ加わってパフォーマンス。「青春の馬」「君はハニーデュー」や「僕に続け」では、現体制の全メンバー30人が力をひとつにした。
 
 日向坂46の前身“けやき坂46”を継ぐ「誰よりも高く跳べ!2020」「NO WAR in the future 2020」や、客席が虹色に染まる「JOYFUL LOVE」など、これまでの定番曲はセットリストになかった。しかし、ステージ終盤で高橋が「虹の向こうに一筋の光のような、そんなものが見えた感覚でした」と語っていたように、あるべきものは守りつつ、変わろうとする新体制の意気込みは十分に伝わってきた。
 
 当日発表された9〜11月に開催されるさらなる挑戦の舞台である全国ツアーに向けて、グループはますます進化していく。(文:カネコシュウヘイ)

※高橋未来虹の高は正式には「はしごだか」
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