野村康太Instagramより 今もっとも旬な若手俳優は? と聞かれたら、迷わず野村康太だと答えられる。ピチピチの若い逸材力はすごい。
2022年放送のドラマ『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ)で俳優デビューして、ネクストブレイク候補から売れっ子まで超特急で飛躍した。兄もすごい。モデルの兄・野村大貴も独自の魅力的スタイルを磨いて、世界を舞台に活躍しようとしている。
彼らの父・沢村一樹もすごい……。最旬の野村兄弟について、男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。
◆新人俳優役を演じる野村康太
『ディアマイベイビー〜私があなたを支配するまで〜』(テレビ東京系、毎週金曜日深夜放送、以下、『ディアマイベイビー』)で松下由樹が狂乱の芸能マネージャーを演じている。あるアイドルのマネジメント経験がある筆者からすると、えっ、こんなマネージャーいるの? いやいやいないよなと、その非現実的にぶっ飛んだキャラ設定にギョッとする。
でもこの狂乱のマネージャーは、一応敏腕とされる人物で、たしかに審美眼はある。彼女が半ばひと目惚れ的にスカウトして、狂おしいまでの愛情を込めて育てあげる新人俳優。瞬く間にスター俳優になるその様子は、役柄を超えて演じる俳優その人の現在と自然とオーバーラップする。
新人俳優役を演じるのは、野村康太。松本まりか主演ドラマ『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系、2024年)で高校生役を演じて以来、ネクストブレイク候補から一気に飛び抜けた逸材。2024年はドラマ7本、映画3本もの作品に出演した。
2025年5月2日からは初主演映画『6人ぼっち』が公開され、今、もっとも旬な売れっ子俳優である。
◆強烈なあだ名を上回る身近な同業者
『ディアマイベイビー』狂乱のマネージャーは、新人俳優にある呼び名をつけた。第2話の夕食場面で本人にこう言う。「バブちゃん」。マネージャーがアーティストを赤ん坊のように慈しむあまり、こんな呼び名をつけるなんて吹き出しそうになるが、でもそれだけに強烈。
同作のこの呼び名によって、バブちゃんイコール野村康太というパブリックイメージすら抱かせる。これを機にバブちゃん俳優とあだ名で呼ぼう。なんて冗談だけれど、強烈なあだ名を上回る存在が、野村康太の身近にいる。しかも同業者(!)。
その同業者がバラエティー番組などに出演すれば、必ずあだ名で呼ばれる。人呼んで「エロ男爵」。とてもフランクな下ネタを繰り出すキャラが人懐こい、沢村一樹である。実は野村康太は沢村一樹の次男。
◆令和初メンノンモデルの兄・野村大貴
待てよ、次男ということは長男がいる。2019年に『MEN’S NON-NO』誌モデルオーディションでグランプリを受賞して、令和初の専属モデルになった野村大貴。野村康太の兄である。野村康太もまた2023年から、メンノンモデル。
同誌WEB版には、所属モデルによるブログが公開されている。これがこのモデル兄弟を分析するには最適なテキスト。活躍の場を世界に見定めるために2021年に専属モデルを卒業した野村大貴には、全18回のブログがある。
初回と最終回を読み比べてみる。初回には「このブログは、冬の寒い朝に布団から出られずぬくぬくしながら書いています」と記述があり、最終回ブログには「今どこに行くわけでもなく電車に揺られ、スラックスにシワが入るのがイヤで椅子には座らず、車窓を眺めながら感傷に浸ってこのブログを書いている」とある。
いずれも自由な筆致が書き手本人のスタイルになっていて、「このブログ」を今まさに書いた状況説明を綴ることで、エッセイ的な読み物になっている。
◆最旬の野村兄弟
一方、野村康太はというと「元バスケ少年、野村康太です!」と題された初回ブログに、韓国ドラマや焼肉など自分が好きなもの、バスケなどの特技を簡潔に列挙するスタイル。一文の歯切れがよく、あぁこの人はほんとうにまっすぐな眼差しで世界を見ているんだなと思う。
簡潔な文体からさらに感じるのは、好きなものはとことんまで語れるよという余白というか、ポテンシャル。その余裕あるポテンシャルが、ネクストブレイク候補としての存在感を準備したのでは?
実際、『トークィーンズ』(フジテレビ系、2025年2月6日放送回)で初めてバラエティー番組に出演した野村康太は、大好きな韓国ドラマについて息継ぎも忘れるくらい熱心に語っていた。
最新ブログ(2025年5月19日公開)には、憧れのK-POPグループであるENHYPENのNI-KIが着用するものと同じパーカーを入手したことを報告。翻って、兄・野村大貴のブログにも「最近、韓国料理ばかり食べています。その理由は…。」(2020年7月27日公開)というタイトルの文章があり、こちらは楚々(そそ)とした韓国愛をにじませる。うーむ、最旬の野村兄弟の魅力にどんどんハマりそう……(!)。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu