2025スーパー耐久第3戦富士24時間 トップを走行しながらリタイアに終わったCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3。太田格之進がマシンを手押しする 5月31日〜6月1日に決勝レースが行われたENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦『NAPAC富士24時間レース』。総合優勝を争うST-Xクラスでトップを走行していた33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(リー・ジェフリー/太田格之進/チェン・ディーン/トム・カレンダー/元嶋成弥)は、レース残り3時間半で無念のリタイアとなってしまった。
昨年の富士24時間からスーパー耐久シリーズへの参戦を開始し、初年度から優勝2回、表彰台2回とポールポジション3回を獲得してランキング2位に輝いているクラフト・バンブー・レーシング。今年の富士24時間では金曜日の予選で2年連続ポールポジションを獲得し、昨年果たせなかった総合優勝に向けて、幸先良い出だしを切っていた。
迎えた決勝では、序盤こそ一時トップを明け渡す場面があったが、31日の夜間走行から1日の日中までライバルを引き離して総合トップを快走していた。しかし、残り4時間を切り始めたころ突如としてペースダウン。数周の走行を続けていたが、その後左側エキゾーストから出火しリタイアとなった。
チームの畠山修一ゼネラルマネージャーによると、ペースダウンの原因は太田の前にディーンがドライブしていたときに起きた他クラス車両との接触が影響しているとのこと。車両は出火したエキゾーストだけではなく、その他の部分にも「二次被害」でダメージを負ってしまいリタイアを決断せざるを得なかったと言う。
スローダウン時にステアリングを握っていた太田は「接触を受けてエキゾーストが曲がり、リヤのセンサー類が燃えてしまったことでシフト操作ができなかったですし、ABS(アンチロックブレーキシステム)もおかしいし、挙句の果てに火が出るという……」と悔しさをのぞかせる。
「僕は運転していたので分からなかったのですけど、クルマの後ろは熱でライトが溶けるくらいの状態で、ピットを出たときから音が変でした。ペースが落ちたときも遅かったですがギリギリで走ることはできたので、いろいろな手段を試しながら走行を続けました」
「走行しているときは原因が分かりきっていなかったので『なんとか直すことはできないのか』という思いで走行しましたけど、そんな次元の話ではありませんでした。もう明らかに“打つ手がない”状況でした」
トラブルを抱えたマシンで富士24時間初優勝に向けて走行を続けた太田だったが、エキゾーストから炎と煙が出たことで緊急ピットイン。ピットレーン手前のファイヤーステーションで消火作業が行われたが、マシンから降りるしかなかった。
消火作業終了後には自身でマシンを手押しする映像も捉えられていた太田。その後メカニックが引き継いでピットガレージまでマシンが戻されたものの、ダメージ範囲が大きく、チームはレース中にリタイア届けを提出した。
「ピットに入るタイミングやジェントルマンドライバーたちの順番など、あそこまでのレースペースは良かったですし、正直、勝てるチャンスは十分にあったと思っています。むしろフィニッシュに向けて『どうマネージメントしようかな』と考えるくらいの余力はありましたからね」と最後に語った太田は、レースフィニッシュ前にサーキットを後にしたようだ。
[オートスポーツweb 2025年06月02日]