戦争の惨禍、次世代につなぐ旅=愛子さま、初めて沖縄へ

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2025年06月03日 07:31  時事通信社

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時事通信社

対馬丸犠牲者の慰霊碑「小桜の塔」で供花される上皇ご夫妻(当時・天皇、皇后両陛下)=2014年6月、那覇市〔代表撮影〕
 天皇、皇后両陛下は戦後80年に当たり、長女愛子さまを伴い、4〜5日に沖縄を訪問される。「次の世代に戦争の惨禍を引き継いでいきたい」(側近)との両陛下の意向を踏まえ、4月の硫黄島に続く戦没者慰霊の旅。愛子さまは初めて沖縄の地を踏む。

 大元帥だった昭和天皇の名の下に行われた先の大戦で、沖縄では民間人も含め20万人以上が亡くなり、戦後も皇室に対する複雑な感情が残った。昭和天皇は1987年、国体(現・国民スポーツ大会)を機に沖縄を訪れるはずだったが、体調を崩してかなわなかった。

 上皇ご夫妻は75年7月、沖縄国際海洋博覧会出席のため初訪問。「ひめゆりの塔」で過激派に火炎瓶を投げられる事件が起きたが、上皇さまは「この地に心を寄せ続けていく」との談話を出した。即位後の6回を含め、ご夫妻で11回沖縄を訪問。ご夫妻の側近は「沖縄に寄せる思いは形だけではないと伝わって、沖縄の人たちが温かく迎えるようになった」と話す。

 天皇陛下は87年の国体夏季大会を最初に、過去6回沖縄を訪問。このうち、97年と即位後の2022年10月は皇后さまと一緒に訪れた。同年5月の沖縄復帰50周年記念式典にはオンラインで出席。陛下は式典のあいさつで、沖縄には今なおさまざまな課題が残されていると指摘し、「若い世代を含め、広く国民の沖縄に対する理解がさらに深まることを希望する」と語った。

 側近によると、愛子さまは同式典に先立ち、陛下が小学生の時に「豆記者」から受け取った沖縄の歴史に関する本を借りて読み、沖縄への理解を深めたという。

 名古屋大大学院の河西秀哉准教授(日本近現代史)は、両陛下の愛子さまを伴っての沖縄訪問を「長年苦労してきた沖縄の人々の思いを、次の世代に受け継ぎたいという強いメッセージになる」と指摘。「愛子さまと同世代の若者にも、沖縄の歴史を訴え掛けることができるのではないか」と語った。 

沖縄を初めて訪れ、県平和祈念資料館で沖縄戦関連の展示資料を見学される天皇陛下(当時・浩宮さま)=1987年9月、沖縄県糸満市
沖縄を初めて訪れ、県平和祈念資料館で沖縄戦関連の展示資料を見学される天皇陛下(当時・浩宮さま)=1987年9月、沖縄県糸満市


「平和の礎(いしじ)」を視察される天皇、皇后両陛下(当時・皇太子ご夫妻)=1997年7月、沖縄県糸満市の平和祈念公園
「平和の礎(いしじ)」を視察される天皇、皇后両陛下(当時・皇太子ご夫妻)=1997年7月、沖縄県糸満市の平和祈念公園


初めて沖縄を訪れ、ひめゆりの塔に参拝される上皇ご夫妻(当時・皇太子ご夫妻)。この直後に過激派による火炎瓶事件が起きた=1975年7月、沖縄県糸満市
初めて沖縄を訪れ、ひめゆりの塔に参拝される上皇ご夫妻(当時・皇太子ご夫妻)。この直後に過激派による火炎瓶事件が起きた=1975年7月、沖縄県糸満市
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