『特捜9 final season』Interview Relay:羽田美智子「“愛”があふれる現場で育んだ20年」

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2025年06月04日 11:00  ORICON NEWS

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村瀬(小宮山)志保役(演:羽田美智子)=『特捜9 final season』より(C)テレビ朝日
 テレビ朝日系で放送中のドラマ『特捜9 final season』(毎週水曜・午後9時〜)。ORICON NEWSでは、レギュラーキャストが「ファイナル」に寄せる想いを語るインタビューリレーを実施。最終回まであと2回となった今回は、2006年放送開始の『警視庁捜査一課9係』からのレギュラーメンバー、村瀬志保(旧姓:小宮山)役の羽田美智子に、これまでの歩みと今の想いを聞いた。

【画像】伊東四朗&宮近海斗が登場する第9話の場面写真

この20年は“人生そのもの”のような時間でした

――『final season』を迎えたお気持ちは?

【羽田】毎年、年が明けると「そろそろ『特捜9』が始まるな」という気持ちになって、脚本が上がってきて、衣装合わせがあって……撮影が始まるのが2月の頭くらい。終わった頃には「もう今年の半分が終わったね」なんて言い合ってきたので、「来年どうなるんだろう」とちょっと不安もあります。でも、「面白いものを届けるのが私たちの仕事」という信念があるから、一区切りつけるならきちんと終わらせよう、という思いも強い。ほかのキャストやスタッフからも、そうした潔さを感じていました。

――通算20作目ですが、あっという間でしたか?

【羽田】生まれた子どもが成人式を迎える年月ですし、人生80年と考えると、その4分の1を一緒に過ごしたことになります。昔の映像を見ると「こんなことしてたんだ」と驚くこともあって。振り返れば長いけど、気づけばあっという間だったなと思います。うれしいことも悲しいこともたくさん共有してきた仲間との時間は、私にとって人生そのものです。

奇跡のような出会いで始まり、今も続く“家族のような現場”

――井ノ原さんや、その他のレギュラーメンバーの皆さんとは、どのような関係性だったのでしょうか?

【羽田】『警視庁捜査一課9係』が始まる時、レギュラーキャストは「初めまして」の集まりでした。バックボーンもバラバラで、うまくやれるのか不安を抱えていました。そんな最初の頃、「一緒にお昼ごはん食べませんか?」って。たぶんイノッチ(井ノ原快彦)が言い出したんだと思いますが、みんなで昼食をとるようになったんです。食べながら「こういう演技でいいのかな」「ああしたほうがいいかな」と話し合って、日々の撮影を乗り越えていきました。

 それがすっかり習慣になって、20年間、ずっとお昼は一緒。新しいメンバーが入ってきても、自然と加わって一緒に食べていました。若い共演者の方から「家族みたいです」と言ってもらえるのがすごくうれしいんです。本当に奇跡のような出会いだったと思います。

――20年もほぼ同じメンバーが続く現場って、珍しいですよね。

【羽田】まさに学友のようでもあり、修羅場をくぐり抜けた戦友でもあり、他では得がたい仲間たちです。本当に稀有なチームです。シリーズを重ねるうちに、結婚したり、子どもが生まれたり、その子どもの名前を一緒に考えたり。プライベートでも、お互いに関心を寄せつつ、干渉しすぎない、ちょうどいい距離感で支え合ってきましたね。作品作りにもそれが活きていたと思います。

 とはいえ、決して馴れ合いにはならず、「それは違うんじゃない?」「こういうふうにしてみたら?」と役者同士でアドバイスし合えることが心強くて。他の現場ではほとんどないことです。カットがかかった後、「どうだった?」って気軽に聞ける仲なんです。役者同士でそんなことを言い合える現場って、本当にないと思います。

――「関心は持つけれど、干渉しない」という関係性、すごく大事ですね。

【羽田】そうですね。みんなお互いに興味はあるし、話も聞きたいけれど、言いたくないことは言わなくていい、というスタンスですね。

――皆さんプロフェッショナルだからこそ、成り立つ関係性ですね。

【羽田】そう思います。それに、皆さん、本当に仕事に対しては厳しい目を持っている。甘えたり妥協したりすることは絶対にない。だからこそ続いたんだと思います。このドラマの撮影をしていない残りの半年、何をしていたか、次のシーズンに問われる気がするんですよね。だから、ちゃんと成長した自分でいないと置いていかれるような不安もありましたし、次に会ったときにわかるんです。みんな、それぞれに別の現場で経験を積んで、新しい顔で戻ってくる。その刺激がたまらなくよかったし、ちょっと怖かったけど、それもまた財産でした。

年に一度会える“愛しい人”、志保という存在

――羽田さんにとって志保はどんな存在ですか?

【羽田】1年に1回会える、愛しい人です。志保と私は、似ているようで全然違うんです。特に初期の“イケイケ”な志保は、歯に衣着せぬ物言いをしていましたし、男性陣の中で紅一点として、皆に歩調を合わせなくては…という思いもあって、とにかくがむしゃらに頑張っていたんですよね。私自身、必死に立っていたと記憶しています。負けたくない、「だから女は…」と言われなくないという思いもありました。20年前ですから、社会の雰囲気も今とは少し違っていました。

 でも、あるときから“私にしかできない役割”があるんじゃないかと思うようになって。たとえば女性の視点から事件を見るとか、犯人が女性だった場合とか。「私は私らしくいればいいんだ」と、志保なりに思えるようになっていきました。

最終回へ向けて――“愛”が届くように演じ切る

――最終回まであと2回。視聴者の方にメッセージをお願いします。

【羽田】これまで応援してくださった皆さんからの愛を日々感じながら、その期待を裏切りたくないという思い、そして感謝の気持ちをしっかりと届けたいという思いで、ここまでやってきました。『特捜9』は「愛」をテーマに掲げている作品ではありませんが、現場には常に愛があふれていたと感じています。

 刑事ドラマですから、毎回事件は起こりますが、『特捜9』が大切にしてきたのは、ただの勧善懲悪ではなく、犯人側の事情にも丁寧に目を向け、「なぜその選択をせざるを得なかったのか」という背景まで描くことでした。そこにも、やはり“愛”があると思っています。最終回に向けては、私たちから視聴者の皆さまへの“愛”を込めたメッセージになっているはずです。その思いを、どうかしっかりと受け取っていただけたらうれしいです。

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