『ぼくたちはChatGPTをどう使うか: 14歳から考えるAI時代の学び (単行本)』東大カルぺ・ディエム アメリカのOpenAI社が2022年11月に公開した、AI(人工知能)によるチャットサービス「ChatGPT」。すでに仕事などで使っている人は多いかと思いますが、学校の授業では、まだ十分に活用されていないのが現状です。この新しい技術とどう向き合えばよいのか、ChatGPTを活用して学力を伸ばす方法を中学生向けに紹介した書籍が『ぼくたちはChatGPTをどう使うか:14歳から考えるAI時代の学び』です。
同書は中学生男子の「ショウタ」、中学生女子の「アイ」、そして彼らの特別講師としてやってきた東大生「西岡先生」という3人の対話形式で展開されます。最初の「1時間目」の章で教わるのは、ズバリ「ChatGPTって何なの?」。ChatGPTの仕組み、ChatGPTが得意なこと、ChatGPTが誤った情報を提供する可能性など、基本的なことが解説されています。
続く実践編で学ぶのは、数学、英語、国語など実際の勉強での活用法です。たとえばChatGPTは数学のテスト対策にも効果的で、「二次方程式の解の公式を使った問題を3題出題してください」と入力すれば、ChatGPTはすぐに問題を提示してくれます。さらに、「偏差値55くらいの公立中学の中3で、確率のテストがあります。どんな問題が出そうか考えて、出題してもらえませんか?」と、自分の状況を細かく入力することで、より自分に合った問題を出してもらうことも可能。また、難易度を指示したり、ヒントをもらったりもできます。
「苦手な問題や応用問題、それらの類似の問題を作ってもらうという使い方がすごくおすすめ。普段勉強している内容の理解をより深めることもできるし、間違えた問題の正しい解答を定着させることもできるからね」(同書より)
英語や国語についてはどうでしょうか。現在の中学英語で必要となるのが、リスニング、ライティング、リーディング、スピーキングという4つの能力。これに対して、ChatGPTの人工音声でリスニングの勉強をしたり、英作文を採点してもらったりと、スピーキング以外の学習効果はかなり期待ができるといいます。国語では「要約力」を高めるChatGPTの使い方や、読書感想文でChatGPTを使う際の注意点などが記されています。
ChatGPTが使い方次第で中学の学習にこれほど役立つとは驚きです。しかし、だからといって同書はけっして「AIに任せれば勉強はしなくてもよい」と考えているわけではありません。
「考えて答えを出すのはあくまでも自分。ChatGPTは、あくまでも『自分で答えを出すためのツール』として使わなければならない」(同書より)
同書はChatGPT初心者の入門書として有用ですが、AIは質問の意図を正確に汲み取って判断することはできず、誤った回答をする可能性もあります。そのため、人間の知識や経験は今後も重要であり、私たちは学び続ける必要があります。
[文・鷺ノ宮やよい]
『ぼくたちはChatGPTをどう使うか: 14歳から考えるAI時代の学び (単行本)』
著者:東大カルぺ・ディエム,西岡壱誠
出版社:三笠書房
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