「Branded shorts of the Year 2025」ナショナル部門受賞『男子校のオレが共学に!?異世界転校生ココロ』 世界の動画マーケターが注目する、ブランド価値を伝えるショートフィルムの祭典「BRANDED SHORTS 2025」の授賞式が4日、東京都内で開催された。アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2025(SSFF & ASIA)」内で設けられた同部門は、今年で10周年を迎える。
【写真】風刺とユーモアを交えた『ネット論争』 今年は世界各地から661作品の応募があり、そこから計30本にノミネート作品をしぼり、審査員6人が「必然性」「認識変化力」「シェアラブル」「メッセージ力」「視聴維持力」「オリジナリティ」「時代性」「想起力」の8項目を基準に選考を行い、「Branded Shorts of the Year 2025」が決定した。
ナショナル部門(ノミネート13作品)では、大塚食品の『男子校のオレが共学に!?異世界転校生ココロ』が受賞。寺田心が演じる主人公・ココロが飲料「マッチ」をきっかけに“共学”の世界へ異世界転生。共学での青春を全速力で駆け抜ける一方、元いた世界「男子校」のかけがえのない青春にも気づいていく物語。
審査員長の高崎卓馬氏(クリエイティブ・ディレクター/代表作:映画『PERFECT DAYS』など)は、「バランスが絶妙で、企画の“ズレ”もユニークに作用していて面白い。そして何より、隙がまったくない。クライアント、制作チーム、出演者――関わる全員が心から楽しんで作っているのが、最後の最後まで微塵も漏れることなく詰まっていて、観る側としても自然と楽しくなる。全員一致で選出させていただきました」とコメントした。
インターナショナル部門(ノミネート12作品)は、オーストラリアのMeat & Livestock Australiaによる『ネット論争(原題:The Comments Section)』が受賞。ネット上の攻撃的なコメントが社会を分断する様子を描きつつ、最後に登場する「ラム肉」が人々を笑顔に変える展開が、風刺とユーモアを交えたメッセージ性で審査員の心をつかんだ。
また、観光映像大賞(ノミネート5作品)の観光庁長官賞には、山形県金山町の『金山の道、百年の光。』が選ばれた。特別賞は大阪府堺市の『3rd Destination 堺−日本らしさを、自分らしく味わおう』、熊本県の『ハコフグとみなまたの海』が受賞した。
10周年を迎えた今年は新たな試みとして、SNS発の個人ブランディングに焦点を当てた「パーソナルブランディングアワード」も新設。第1回の受賞者には、あきとんとん、ガダバウツ、Cyber Bunnyの3組が選ばれた。
あきとんとんは、京都大学大学院在学中から、勉強が苦手・嫌いな人のために授業形式の動画をYouTubeに投稿し続ける教育系クリエイター。そのユニークな切り口とキャッチーな語り口が若年層を中心に人気を博している。
ガダバウツは和歌山県すさみ町を拠点に活動する動画クリエイターユニット。商品撮影の裏側と完成したCM風動画を組み合わせて発信するスタイルで注目を集めており、地域発の新たなマーケティングの可能性を示している。
Cyber Bunnyはハワイ出身の日系アメリカ人。SNSを通じ、日本の文化や言葉について、日本語と英語の両方を駆使しながらコミカルに発信する動画が話題となり、アメリカの『フォーブス』誌が選ぶ「世界を変える30歳未満の30人(30 UNDER 30)」にも選出されている。
SSFF & ASIA代表で俳優の別所哲也は、映像を取り巻く現代の状況に触れつつ、次のように語った。「映像が氾濫する時代において、私たちは『良質な物語とは何か』を問い続けていかなければならない。人間には物語が必要であり、“祭り”が必要だ」と述べ、「スマートフォン一つで、あらゆる映像を手軽に視聴できる時代です。“良いもの”ばかりでなく、フェイクや情報過多といった課題もある中で、私たちは『本当に良質な物語とは何か』という問いと向き合わなくてはなりません。人間は“物語る存在”であると強く感じています。そして、人間には“祭り”が必要です。映画という祭りの場をこうして提供できることに、深い意義を感じています」とし、「BRANDED SHORTS」が10周年を迎えたことを喜んだ。
さらに、「テクノロジーとクリエイティビティが、AIなどと融合しながら進化し続ける未来に、人が集まり、語り合うことがどんな意味を持つのか――映画祭という場を通じて、人間の本質を探求し続けていきたい」と語り、さらなる飛躍にも期待を寄せた。
■審査員
高崎卓馬(クリエイティブ・ディレクター)※審査員長
奥山大史(映画監督、SIX inc. / CMディレクター)
木村健太郎(博報堂執行役員インターナショナルチーフクリエイティブオフィサー博報堂ケトルファウンダー)
森下郁恵(株式会社宣伝会議「ブレーン」編集長)
山戸結希(映画監督)
余頃沙貴(ワンメディア株式会社取締役COO)