芳根京子、20代後半になり生まれた変化「この1〜2年友達の存在に支えてもらっている」

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2025年06月05日 09:10  クランクイン!

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クランクイン!

芳根京子  クランクイン! 写真:高野広美
 ドラマ、映画とさまざまな作品で確かな演技力を発揮し、可憐に作品を彩る芳根京子。『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系/毎週木曜22時)も好評を集める中、6年ぶりの舞台出演となる『先生の背中〜ある映画監督の幻影的回想録〜』の開幕を間近に控える。「今年上半期は令和にはいない」と笑う芳根に、久しぶりに臨む舞台への思いや、多忙を極める中でのプライベートの楽しみなど、“素顔の芳根京子”を語ってもらった。

【写真】芳根京子、キュートさと美しさがあふれるインタビュー撮りおろしショット

◆6年ぶりの舞台出演 キムラ緑子の存在が心の支えに

 映画監督・行定勲が、中井貴一に「ぜひ、小津安二郎監督の、昭和の映画界の話を演劇作品にしたい」と熱烈オファーを出したところから始まった本企画は、名匠・小津安二郎監督や小津監督作品へオマージュをささげるフィクション作品。小津監督とは家族のような親交があった中井家に伝わるエピソードや思い出を織り交ぜ、当時の古き良き映画界への思いを重ね、そこに流れていた豊かな時間を“小津調”で、演劇作品として舞台上に紡ぎ出す。

 中井貴一が小津監督をモデルとした映画監督・小田を演じ、小田を取り巻く5人の女に芳根、柚希礼音、土居志央梨、藤谷理子、キムラ緑子と多彩なキャストが顔をそろえる点にも注目だ。

――6年ぶりの舞台ご出演。前作(『母と惑星について、および自転する女たちの記録』)を拝見して、舞台作品で芳根さんをもっと観たい!と思っていたのでうれしいです。

芳根:前回やらせていただいた舞台がとても濃密で、「やりきりました!」みたいな気持ちが大きく、「しばらく舞台は…」という心境でいました。でも、まだ舞台というものが得意か不得意かを理解しているわけでもない中で、経験していないことにチャレンジすることは経験値がとても上がるという感覚が心のどこかに残っていました。今回、中井さんが主演で行定さんが演出。なにより、前回の舞台でお世話になった緑子さんがいらっしゃると伺ったときに、安心して飛び込めると思ったので、「やらせていただきたいです!」とお返事しました。

――今回演じられる幸子はどのようなキャラクターですか?

芳根:とにかく明るいハキハキした女の子なので、その点においては不安はないかなと思っています。今やらせていただいているドラマも昭和のお話なので、「上半期は令和にはいないわ」って思ったのですが、昭和という時代を目いっぱい楽しむ機会にしたいなと思っています。

――台本を読まれての印象はいかがですか?

芳根:中井さんと2人のシーンもたくさんあるのでとにかく楽しみですし、タイプが違う5人の女性が出てくるので、どういう場面になるのかなとワクワクしています。本で読むよりももっともっと広がっていく世界があると思うので、どんな作品になるか本当に楽しみです。

――中井さんとは初共演です。

芳根:ちょうどお互いのドラマのスタジオが近くだったのでご挨拶させていただいた時に、「体調に気をつけてね。体が本当に大切だからね」と気にかけてくださり、とても嬉しかったです。

――演じられる幸子は、中井さんのお母様がモデルの役ですね。

芳根:30分くらい前に知って、「えーーー!? そうだったの!?」ってなりました(笑)。中井さんが嫌な気持ちにならないように精一杯務めなきゃとプレッシャーです。きっと中井さんにいろいろお伺いすることもあると思うんですけど、中井さんに答えをもらうよりも、まず自分が幸子というキャラクターからすくいあげて役作りできたらいいなと思っています。お稽古期間を通して、まずは自分で考えて作ってみようかなと思います。

――演出の行定監督とも初顔合わせです。監督にはどんな印象をお持ちでしたか?

芳根:いろいろな作品を拝見していますが、女性が美しく描かれている作品が多い印象があります。今回は舞台で、どういう演出をされるのか楽しみです。今ドラマでご一緒している高橋努さんから「(行定監督と)作品はやったことはないけど、よく一緒に呑むんだよ。すごく優しい方だよ」と伺ったので、安心しています(笑)。

お稽古中は、どうやって腑に落とせばいいんだろうとモヤモヤを残さないように、分からないことはたくさん聞きに行きたいと思っています。私は自分のことをそんなに器用なタイプではないと思っていて、それを理解してくれていると安心なんですね。そのためには作品以外のお話も大切というか、自分がどういうタイプかを知ってもらえていると心強い。自分のことを知ってもらうコミュニケーションはうれしいし楽しいし、監督のことも知れたらより一層演出されたときに、これはどういう意味なんだろうというのが察しやすくなる。監督に限らず、共演の皆さんとたくさんコミュニケーションを取りたいと思っています。

◆ベテラン揃いの稽古場で「甘えさせてもらいながら楽しく過ごしたい」


――小田を取り巻く女性陣の皆さんの印象はいかがですか?

芳根:緑子さんがいらっしゃることがとにかくうれしくって! 前回の舞台ではとても怖いお母さん役だったので、また違う世界線でご一緒できることがすごくうれしいです。前回は私と緑子さん、そして田畑智子さん、鈴木杏さんが家族の役で、いまだに交流があるんですが、智さんや杏さんも「緑子さんがいるなら安心だ」と言ってくださって、本当の家族のようなんです。

今回緑子さん、升毅さん以外の方とははじめましてなので、人見知りな私としては緊張もしているのですが、初心を忘れずに最後までしっかり先輩たちの背中を追いかけたいですね。

映像作品では年齢的に真ん中になることも増えていたので、今回は年少組なことにちょっとホッとしてるというか。どんどん年下の方が増えてきて、頑張んなきゃ!とちょっと力が入っていたところもあったんですね。今回は先輩たちにたくさん甘えさせてもらいながら楽しく過ごしたいなと思っています。

――本作を通して楽しみにされていることはどんなことでしょう。

芳根:皆さんとお稽古を重ねる中で、どういう風に自分の心が動くのかなというのもそうだし、お稽古から本番とそれが1ヵ月2ヵ月と続いていく中での自分の心の変化もすごく楽しみですね。実はちょうど今南部鉄器にハマっていて(笑)。南部鉄器ってどんどん色が変わっていくので、使っていくうちの変化の楽しさみたいなものを感じているんですけど、たぶん舞台もそういうことなんだろうなってふと思ったりしています。この作品の中で生まれる変化を大切に育てていけたらなと思っています。

あとは淡々と過ごすのではなく、その日起きたことから刺激を受ける毎日でありたいですね。前回はそれを楽しむ余裕がまったくなく、とにかくセリフを間違えない、毎日やりきるということが目標になっていたんですけど、今回は心に余裕を持って、とにかく楽しみたいです。前回からちゃんと成長していたいなと思います。

◆20代後半になっての変化「この1〜2年は友達の存在が支えに」


――幸子にとって、小田は“恩人”とも呼べる存在ですが、芳根さんにとってそんな方はいらっしゃいますか?

芳根:私にとっての恩人は、デビューの時からついてくれていたマネージャーさんですね。7年間一緒にいて、すごい大げんかもしました。当時マネージャーさんは30代半ば。自分が大人になるにつれて、怒るってすごくエネルギーを使うな、目をつむったほうが楽だって瞬間が多いなって思うようになったのですが、でも当時マネージャーさんは本気で怒ってくれた。当時はわからなかったけど時間が経った今、あの時めちゃくちゃ厳しく指導してもらったおかげで、人としてのベースやちょっとやそっとじゃへこたれないメンタルなどを作ってもらえたなと感じています。そんな風に思える人が人生で一人いるというのはすごくありがたいことだなと大人になった今すごく感謝しています。

――先日28歳になられましたが、20代のうちにチャレンジしておきたい役どころなどはありますか?

芳根:役に関してはご縁だなと思っているので、あと2年でどういう役と出会えるかなという楽しみが強いです。どういう役を…っていうのはなく、どんな役でもチャレンジしたいですね。今ドラマでやらせていただいている役も今じゃなきゃできない役だと思いますし、30代になったらまた新しい世界も開けると思うんですね。それぞれの時期のめぐり合わせを大切にしたいなって思っています。

――今年は映画『雪の花−ともに在りて−』が1月に公開され、連続ドラマも『まどか26歳、研修医やってます!』『波うららかに、めおと日和』と2クール連続で主演。さらに本作と大活躍ですが、プライベートで楽しみにされていることはありますか?

芳根:時間ができれば、百田夏菜子ちゃんとよくUNOをしています(笑)。「UNOがやりたい!」と連絡をして付き合ってもらっていますね。夏菜子ちゃんは「本当にきょんちゃんはすごいよ!」って言ってくれるのですが、私にとっては「夏菜子ちゃんはすごい!」とリスペクトする存在。「いつでも連絡して!UNOやろう!」って言ってくれているので、「この日頑張って台本をここまで覚えれば、一緒にUNOできるな」と思ったり(笑)。

ちょっとした時間でも会おうって言ってくれる友達がいるのはすごくうれしいなって思いますね。生田絵梨花ちゃんも「ちょっとでも時間が空いたらいつでも連絡してね」と言ってくれるので一緒にご飯に行ったり。どうしても、時にライバルになってしまう瞬間を、これまで感じることが多かったんですけど、20代後半になって、そういうことではない友達が増えたことがすごくうれしくって。友達に支えてもらえているなってこの1〜2年すごく感じています。

(取材・文:田中ハルマ 撮影:高野広美)

 パルコ・プロデュース 2025『先生の背中〜ある映画監督の幻影的回想録〜』は、東京・PARCO劇場にて6月8〜29日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて7月5〜7日、福岡・J:COM 北九州芸術劇場 大ホールにて7月11・12日、熊本・市民会館シアーズホーム 夢ホールにて7月15日、愛知・東海市芸術劇場 大ホールにて7月19・20日上演。
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