ホンダ陣営のピケJr.がポール奪取も、王者のプジョーと復調リンク&コーが勝負を制す/TCR南米第4戦

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2025年06月05日 19:00  AUTOSPORT web

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予選で躍動したネルソン・ピケJr.(ホンダYPFレーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が自身初のポールポジションを獲得
 アルゼンチン・ツアーの締め括りとして、5月30日〜6月1日にテルマス・デ・リオ・オンドで開催されたTCRサウスアメリカ・シリーズ第4戦は、予選で躍動したネルソン・ピケJr.(ホンダYPFレーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が自身初のポールポジションを獲得し、ここまで続いて来た“アルゼンチン最速記録”を打破することに。

 決勝では、そのピケJr.と同胞対決を繰り広げたディフェンディングチャンピオンのペドロ・カルドゥソ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)がレース1で今季初優勝を飾り、こちらも開幕からの“アルゼンチン無敗記録”が終焉。最終レース2は、リバースポールのファブリツィオ・ペッツィーニ(W2プロGP/クプラ・レオンVZ TCR)が終始ボディワークのルーズさに悩まされるなか、ファイナルラップで緊急事態が発生。最後の大逆転劇でファビアン・シャナントゥオーニ(パラディーニ・レーシング/リンク&コー03 TCR)が勝利を手にしている。

 週末を通じて低気温に見舞われた国際トラックでは、全ドライバーがタイヤを温めるのに苦労しつつも、最初の走り出しからハンコックタイヤが供給したニュータイヤのパフォーマンスにも助けられ、軒並みレコード更新の状況に。

 ここで最速タイムを記録したのはピケJr.で、ようやく19℃まで気温が上昇した午後の予選では1分46秒499とカレンダー最長トラックでの新記録を樹立。チャンピオンシップリーダーの僚友で、南米最高峰のFF“SUV”ツーリングカー選手権TC2000では4度のチャンピオン獲得経験を持つリオネル・ペーニャ(ホンダYPFレーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)を従え、今季アルゼンチン人ドライバーの無敗ポールポジション記録を撃破してみせた。

「何度か接戦を繰り広げて来たが、今年初めて走ったサーキットだ。それがどれだけ影響するかは分からないが、最終的にはプラスに働いたようだね」と安堵の表情を見せたピケJr.だが、同時に次のような懸念と不安要素も覗かせていた。

「ただし悪いことに昨夜は食中毒になってしまい、まだ回復に少し時間が掛かっている。楽な初日ではなかったが、マシンはとても良い状態だった。まずは(所属先の)スクアドラ・マルティーノ、そして懸命に働いてくれたすべてのスタッフに感謝している」

「でも、これからやるべきことがたくさんあるし、非常に重要なレースが2戦残されていてTCRでの初優勝が必要だ。だから明日は楽な一日となるよう、今日はたっぷり休む必要がある。開幕序盤からトラブルが発生し大量ポイント獲得のチャンスを逃してしまったから、できるだけ早くリカバリーしなければならないね」

 明けた日曜は晴れながらも非常に寒いコンディションとなり、レーススタート時の気温がわずか6℃という極寒のなか、ペッツィーニのクプラはフォーメーションラップの終わりにテクニカルトラブルでピットインすることに。

 この条件が災いしたのはフロントロウのFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのふたりで、ともにスローな立ち上がりで後続に飲み込まれ、ペーニャは9番手へ。ポールシッターのピケJr.もカルドゥソの先行を許してしまう。

 ようやく3周目にプジョーをオーバーテイクしてトップに返り咲いたホンダだったが、ここでピケJr.は万全でない体調も影響したか、軽いコースオフを喫して首位争いはサイド・バイ・サイドでの攻防へと転じる。

 お互い接触を繰り返しながら激しいバトルを続けた結果、ピケJr.は8周目にコースアウトを余儀なくされ、ラファエル・レイス(W2プロGP/クプラ・レオンVZ TCR)にもポジションを明け渡す。

 しかし、そのレイスも最終ラップでトラブルに見舞われ順位を落としたため、カルドゥソ、ピケJr.、シャナントゥオーニのトップ3でチェッカーとなった。

「センセーショナルなレースだった。ホンダが我々より速かったのは明らかだった」と明かした王者カルドゥソ。「しかし、トップを維持できるマシンを提供してくれたチームに感謝したいね」

 続くレース2はリバースポールシッター、ペッツィーニがスタートこそ出遅れたものの、すぐさまポジションを取り戻して首位を走行。しかしファン-アンヘル・ロッソ(パラディーニ・レーシング/リンク&コー03 TCR)が12周目にボンネット下から煙を吐きながらピットインすると、ペッツィーニもフロントスプリッターの振動を訴える。

 残り2周で背後にシャナントゥオーニが迫るなか、最終ラップで突然クプラのボンネットが持ち上がり、ペッツィーニは視界が限られたなかで走り続ける事態に。これを好機にオーバーテイクを決めたシャナントゥオーニ、ペーニャ、ピケJr.が棚ぼたのポディウム獲得となり、ペッツィーニは失意の4位フィニッシュとなった。

 これで序盤戦のアルゼンチン・ツアーを終えたTCRサウスアメリカは、ここからウルグアイの地で2連戦へ。続く第5戦は7月12〜13日にアウトドローモ・デ・メルセデスで開催される。

[オートスポーツweb 2025年06月05日]

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