東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審判決後、「不当判決」と書かれた紙を掲げる原告団ら=6日午前、東京都千代田区 午前11時、東京高裁の101号法廷。木納敏和裁判長が株主側の逆転敗訴を言い渡すと、法廷に「えーっ」とどよめきが響いた。約30分にわたって判決理由が読み上げられると、ほぼ満席の傍聴席からは「責任は誰が取るんだ」「おかしいだろ」と怒号が飛んだ。
閉廷後、硬い表情の原告らが高裁前で「不当判決」の紙を掲げると、集まった支援者らからは「悔しい」「ひどい判決だ」と声が上がった。原告の木村結さん(72)は「福島の人たちに申し訳ない。なぜ誰一人責任がなかったという判決が書けるのか。許せない思いだ」と憤った。
原告側代理人の河合弘之弁護士は記者会見で、「地震は全部不意打ち。切迫した危険性が予測されなければ、役員は何もしなくていいという内容で、的外れな判決だ」と批判した。
原告で福島原発告訴団団長の武藤類子さん(71)=福島県三春町=は「なぜこういう判決なのか怒りが湧いた。結論ありきで、(旧経営陣の)責任を認めさせないため、ねじ曲げた判決だったのではないか。認めるわけにはいかない」と語気を強めた。
原告側弁護団は声明で「判決は原発事故の責任は原子力事業者の経営陣が負うべきだという当然のことを認めず、危険が切迫していない限り安全対策をしない甘い経営判断を許容するものだ」と批判。上告する方針を示した。

東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審判決後、記者会見する原告ら=6日午後、東京都千代田区