2025年WRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニア セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 6月6日、イタリアのサルディニア島にて、2025年WRC世界ラリー選手権の第6戦『ラリー・イタリア・サルディニア』のデイ1が行われ、スペシャルステージ(SS)6を終えた時点で、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がトップとなった。日本の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手につけている。
地中海に浮かぶリゾートのサルディニア島が舞台となる第6戦。道幅が狭いグラベル(未舗装路)を高速で走らなければならないため、普段以上にミスが許されないラリーだ。この日のSSは全部で6本となり、まずは選手権首位のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)からアタックがスタートした。
■SS2でまさかの3台リタイア
ラリー・イタリア・サルディニアのステージでは、アクセル全開が続く高速域と、中低速コーナーの続くテクニカルな区間が混在しており、リズムが乱れるとクラッシュのリスクがかなり高まる。そして基本的にグラベルラリーでは、1走目は路面に砂が積もっているために出走順が早い選手ほどタイムを出しにくい傾向にあるが、この日もその流れが現れる展開となった。
気温25度、路面温度32度と暑いなか、タイヤはソフトとハードのミックスが基本となり、午前9時からアタックが始まった。この日1走目のエバンスや2走目のカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、各ステージでライバルらよりも約10秒ほど差が開き、徐々にトップから遅れてしまう。
そのなかで、3走目のオジエはSS1でステージウインを飾るなど好走を見せたが、午前中に安定して好タイムを刻んだのはヒョンデ勢となり、オィット・タナックとアドリアン・フルモー(ともにヒョンデi20 Nラリー1)がSS2、SS3とトップタイムをマークして、フルモーが暫定首位で午前の3ステージを終えた。
トヨタとヒョンデがトップ争いを繰り広げる一方、4台のフォード・プーマ・ラリー1を走らせるMスポーツ・フォードWRTは、SS2で3台がアクシデントに見舞われるまさかの事態に。早くもチーム内の半数以上がデイリタイアとなり、残るはジェントルマンドライバーのジョルダン・セルデリディスのみとなってしまった。
■ヌービルが首位浮上後にストップ
迎えた午後も、引き続き日差しが強く暑いコンディションが続く。昼のミッドデイサービスを終えてもヒョンデの好調は続いたが、午後からはトヨタ勢も巻き返しを見せ、その差は一気に縮まった。
まずは午後1本目のSS4でタナック、ヌービルがワン・ツー。ヌービルが総合首位に浮上し、ヒョンデが総合トップ3を占める。しかし、続くSS5では復調のロバンペラがトップタイムを刻み、オジエもヒョンデ勢に割り込むなどペース差は狭まっていく。
さらに、こうした激しいアタック合戦のなかで、ヒョンデ勢ではヌービル、トヨタ勢では勝田貴元をアクシデントが襲う展開に。ヌービルはサスペンションにダメージを負ってマシンを停止し、勝田は小さな急坂を下りながら曲がる交差点で勢い余って横転を喫した様子。勝田は観客らの助けもあってステージを完走したものの、エンジンの冷却水が漏れたのか高温となってストールしたように見受けられ、リエゾンでの対応に追われることとなる。またセルデリディスも同様の横転を喫してしまい、これでMスポーツはまさかの全車がトラブルに見舞われる初日となってしまった。
こうして総合首位はフルモーとなり、タナックが2番手でヒョンデのワン・ツー、僅差の3番手にはオジエが控える展開となる。そんななか迎えたSS6ではオジエがスパートをかけてステージウインを飾り、2.1秒差で総合首位奪還を果たす。その結果、2番手フルモー、3番手タナックのトップ3でデイ1は終了となった。また、勝田はなんとかSS6出走および完走を果たし、トラブルに対処してデイ1を乗り切った。
明日のデイ2からは、出走順が暫定総合順位の降順となる。大会折り返しとなるデイ2は、SS7〜12の計6本(計121.60km)で争われる。
[オートスポーツweb 2025年06月07日]