中井貴一(C)モデルプレス【モデルプレス=2025/06/07】俳優の中井貴一が6月7日、都内で開催されたパルコ・プロデュース 2025『先生の背中〜ある映画監督の幻影的回想録〜』(6月8日〜29日まで東京・PARCO劇場にて、7月に大阪・福岡・熊本・愛知にて上演)プレスコール及び開幕前会見に出席。自身の名付け親を明かした。
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本作は、小津安二郎監督と親交があった中井家に伝わるエピソードや思い出を織り交ぜ、当時の古き良き映画界への想いを重ね、そこに流れていた豊かな時間を“小津調”で、演劇作品として舞台上に紡ぎ出す。この日は芳根京子、柚希礼音、土居志央梨、藤谷理子、升毅、キムラ緑子、行定勲(演出)も出席した。
「先生」と呼ばれる日本映画界の名匠・小田昌二郎を演じる中井は「映画監督で、この人の一生というか、晩年に最後に1本の映画を撮るときに、いろんな自分の人生と、今のその映画と葛藤しながら、歩んでいく映画監督をやらせていただきます」とコメント。「小津安二郎という人が、一応モデルなんですけれども、今回はフィクションで、小田昌二郎という名前でやらせていただいています」と語った。先生が娘のように可愛がる食堂の看板娘・幸子を演じる芳根は「中井さんのお母様がモデルになっております」と笑顔で明かした。
行定氏からの熱烈オファーについて、中井は「最初は断りました。最初は話がもうちょっと小規模で。うちの母の実家というのが、大船の撮影所の前で『月ヶ瀬』っていう食堂をやっていまして。舞台にしたいんですって持っていらっしゃったタイトルが、『月ヶ瀬食堂』っていうタイトルだった(笑)。『中井さんが生まれるまでをやりたいんです』って言われて。手前の生まれる筋書きに自分が出るのは嫌だって言って、お断りを申し上げて」と回想。
「小津語録とか、そういう小津イズムみたいなものは、うちに古くから残っているものがあって。そういう情報はお伝えしますので、どうか他の方でおやりになってくださいっていう風に申し上げて。お断りを申し上げたんですが、行定監督の、映画人としてそういうものを舞台で残していきたいっていう、その熱意みたいなものに絆(ほだ)されてというか。『天国に行ったときに、小津先生に怒られるのは俺が一番いいんだろうな』という風に思って。お受けすることにしました」と出演の経緯を明かした。
◆中井貴一、名付け親は小津安二郎
小津安二郎を演じるにあたって意識したことを問われた中井は「小津先生が亡くなられたとき、1歳だったんですよ。この貴一っていう名前は小津先生が付けてくださったんですけど…おじいちゃんみたいなんです。僕にとって。なので、特にここをこうしようとか、ああしようっていうことではなくて、育ってくる環境の中で小津安二郎が刷り込まれていったので。それを初めて使う時が来たっていう感じです」とコメント。
「今まで溜まってきたものを、この舞台の上でやらしていただいているっていうのが、今の実際の感覚です」とも語って、天国の小津監督に何と言われると思うか問われると「『俺はあんなんじゃないよ』って言われるんじゃないかな」と笑顔で答えて会場を沸かせた。さらに「こちらに、こんなに美しい女性がたくさんいるんですけど、こんなに赤裸々にされるとは思っていないと思います(笑)。フィクションですけど、それに対してまず文句を言われるだろうなという風には思います」とも話していた。(modelpress編集部)
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