車検2日目の主役はトヨタの特別リバリー「レースでは戦略が重要になる」と平川亮/ル・マン24時間

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2025年06月08日 03:30  AUTOSPORT web

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写真撮影に臨むトヨタGAZOO RacingとアコーディスASPチーム
 6月7日(土)、フランス西部のサルト県ル・マン市内でWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースの公開車検2日目が行われた。この日はフェラーリ499P、ポルシェ963、トヨタGR010ハイブリッドを含む23台が登場。土曜日ということもあり、前日よりも格段に多く詰めかけたファンが熱視線を送った。

 前日に続き車検会場のリパブリック広場は肌寒いコンディションとなったが、降雨は免れた。午前9時、3台のフェラーリ499Pから、車両各部のチェック、参加受付やドライバーの写真撮影、メディアへの取材対応、ステージ上でのトークショー、そして恒例の記念撮影と、公開車検のプログラムは進んでいった。


■フェラーリ296 GT3は「戦えるクルマ」と木村武史

 日本勢ではまず、LMGT3クラスでケッセル・レーシングの57号車フェラーリ296 GT3をドライブする木村武史が姿を見せた。特徴的なイエローのカーガイ・カラーに彩られた57号車は、ローディングエリアでの注目度も抜群だ。

 7度目のル・マン挑戦を迎える木村は、「7回も出るとは、1回目の時には思わなかったですね」と笑った。

「回数を重ねるにつれ、だんだんル・マンのこの大きいコースが自分の中に入ってきたというか、ル・マン全体が見えるようになりました。最初は本当に森の中をさまよっている感じでしたけど、いまはしっかりレース全体が見えてきて、面白さや奥深さが分かってきた感じです」

「今年はドライバーラインアップ(ダニエル・セラ/キャスパー・スティーブンソン)も申し分ないと思っています。去年のレクサスもすごく良かったのですが、今年のフェラーリも充分に期待できる、戦えるクルマだと思っています」

 なお、木村は併催されるリジェ・ヨーロピアン・シリーズにもWエントリーを果たす。リジェのセッションでも走行時間を稼ぐことができる点は、LMGT3にも有効に働きそうだという。

「正直、勝ちたいですね。実力的にも、ベースのペースで言えば充分可能性があるので、あとはもうチーム一丸となって、ミスをしない、チャンスをつかむ。そして、運をつかむという感じじゃないでしょうか」


■平川にアタックの可能性も?

 昼前には、トヨタGAZOO Racingの2台がローディングエリアに降ろされた。1998年のル・マン参戦車であるGT-One(TS020)のオマージュカラーをまとう7号車GR010ハイブリッドは、この日の“主役級”の注目度だった。

 なお、チーム代表と7号車のドライバーを兼ねる小林可夢偉は、ミックスゾーンにてこのオマージュカラーについて触れている。

 一方、8号車をドライブする平川亮は、「明日(テストデー)はまず、クルマが正常かどうかを丁寧に確認していくのが大事かと思いますし、明日はとくにコースが綺麗ではないので、しっかりと確認していきたいです」と地に足をつけて大一番を迎えようとしている。

 今年、ル・マンでは予選のフォーマットが変わり、『予選』『ハイパーポール1』『ハイパーポール2』という3セッションのノックダウン式になった。このうち、『ハイパーポール2』では『ハイパーポール1』とは異なるドライバーがアタックを担当する必要がある。つまり、予選最終ステージに残った陣営では、少なくともふたりのドライバーがアタッカーを務めることになる。

 昨年の富士、そして今年のイモラでアタッカーを務めた平川は、シミュレーターではアタックシミュレーションもしてきているといい、その感触は非常に良かったそうだ。

 なお、公開車検までは肌寒かったル・マンだが、来週のレースウイークには30度前後の高温予報の日もある。「過去、あまり似たコンディションは経験してないですね。とくに去年(の決勝)は僕、9割5分くらい雨だったので……」と言う平川は、ドライとなればタイヤマネジメントがカギを握る可能性もあると見ている。

「ル・マンは基本的にタイヤのデグ(ラデーション)はないのですが、そこも慎重にテストしていきたいと思います。レースではどちらかというと、戦略が重要かなと思っています。いつピットインするか、遅らせるか早くするか、ちょっと給油量を減らした短いストップで前に行くか……そういったあたりの戦いになる気がしています」

 また、車検場に姿を見せたTGR-Eの中嶋一貴副会長は、「自分たちがコントロールできること以外の外敵要因に関しては、変なストレスがなく、フェアな状況で臨めると思います」と、ル・マン向けのBoP(性能調整)が違和感のないものであることを示唆した上で、「あとは本当に自分たちのクルマ、ドライバー含め、“チーム”の勝負だと思っているので、思い切ってやるだけ。走ってみないと戦力差は分かりませんが、すごく僅差になるとは思います」と走行開始に向けた展望を語った。

 この日のマシンの主役が7号車トヨタなら、ドライバーの主役は欧州で抜群の人気を誇る元2輪世界王者のバレンティーノ・ロッシ(チームWRT/46号車BMW M4 GT3)。多くのファンやメディアが、その行く先を追いかけていた。

 車検プログラム終了間際には、来季よりハイパーカークラスに新規参入するジェネシス・マグマ・レーシングが準備を兼ねて参戦をサポートするLMP2のIDECスポールが登場。昨年までポルシェのファクトリードライバーを務めていたアンドレ・ロッテラーは、多くのメディアに取り囲まれていた。

 公開車検の終了後には、市内の公道で参戦車両によるパレードも行われた。マシンたちはその後サーキットへと戻され、8日(日)に予定されているテストデーのふたつのセッションで、1年ぶりにサルト・サーキットを走行することになる。

 以下、公開車検2日目の様子を、写真でお伝えする。

[オートスポーツweb 2025年06月08日]

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