プジョーのスパでの速さに「満足」も、ル・マンは別とデュバル。「ゼロから始める必要がある」

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2025年06月08日 14:40  AUTOSPORT web

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ロイック・デュバル(プジョー・トタルエナジーズ/94号車プジョー9X8) 2025年WEC第4戦ル・マン24時間
 プジョー・トタルエナジーズのドライバーであるロイック・デュバルは、プジョー9X8が先月のWEC世界耐久選手権スパ・ラウンドで見せた強力なパフォーマンスを、来週末のル・マン24時間レースでも再現できるかどうか「確信が持てない」と認めた。

 プジョー・ハイパーカーの改良型は、ベルギーで行われたル・マンの“前哨戦”においてこれまででもっとも好調な走りを見せ、93号車と94号車の両マシンがトップ5圏内で戦える可能性を示した。

 しかし、デュバル、ストフェル・バンドーン、マルテ・ヤコブセンの3名がドライブする94号車は、ヤコブセンの搭乗中、ロビン・フラインス駆るBMWとの接触によって、サスペンションに致命的なダメージを負ったためリタイアを余儀なくされた。一方、姉妹車である93号車は、テクニカルディレクターのオリバー・ジャンソニが「腹立たしい」と評した戦略的なミスにより、ポイントを獲得することができなかった。

 デュバルは、プジョーにとってスパでのレースは大きなモチベーションアップになったと認めたものの、サルト・サーキットを走ったとき、純粋なペースという点で9X8がふたたび力強いパフォーマンスを発揮すると盲信するのは現実的ではないと考えている。

「スパ・フランコルシャンでのペースには本当に満足している」とデュバルはSportscar365に語った。「ドライバーをはじめ、チーム全員がレースに参加できたのは本当に素晴らしい経験だった。チャンピオンシップでは、週末ごとにさまざまなことが起こり得ることを理解している」

「だから、スパと同じペースをル・マンでも得られるとは確信していない。それでも、正しいやり方で臨めば良い結果を出すことは可能だと考えている」

「スパではとても楽しかったし、皆を奮い立たせることができて良かったが、これからはまたゼロから始める必要がある」


■ル・マンでのパワーは全車中最低に

 プジョーは第3戦スパをレギュレーション上の最低重量である1030kg、最高出力となる520kWで走行した。

 しかし、ル・マンのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)を確認すると、9X8はパワーゲインしきい値を下回る領域でのベースパワーが507kWで全8車種中、最低の設定に(※最高はトヨタの520kW)。

 また、車重は1039kgでBMWやアルピーヌと同一。最軽量1030kgのアストンマーティンと1037kgのキャデラックに続くかたちとなり、最高のBoPを受け取ったスパ・ラウンドと比較した場合、ル・マンでのそれはフランスのメーカーに不利な方向に働きパフォーマンスが低下する可能性がある。

「スパと同じペースを維持できればいいのだが、率直に言ってそれは難しいと思う」とデュバルは続けた。

「トヨタやフェラーリをオーバーテイクできるペースは、純粋なスピードという点で言えば、ここでは正直なところ無理だと思う。だが、僕たちには他にも活用すべき強みがある。それは戦略であり、そして寒さ、暑さ、日中、夜間、雨天時など、どんなコンディションでも安定した走りを維持することだ」

「コースも少し再舗装された。僕たちのクルマがスパで好ペースを見せることができた理由のひとつは、(最近の部分的な再舗装おかげで)コースがよりフラットになったことだ」

「まだ少し不透明な部分もあるが、まずはテストデーを走ってみて様子を見てみよう」


■低迷続くプログラムへのプレッシャー

 チームメイトのバンドーンは、プジョーのスパでのパフォーマンスを「期待できる」と評し、2024年型9X8で蓄積してきた経験が1年前のル・マンよりも役立つことを期待している。

 現行の改良型9X8は昨季2024年の第2戦イモラで登場し、プジョーはわずか2レースの走行経験だけで伝統の24時間レースに臨むこととなった。

「僕たちはこのクルマについて、そしてどこに置くべきかについて、昨年よりはるかに多くの経験を持っている」とバンドーンはSportscar365に語った。

「昨年から大きく進化してきたクルマのセットアップで、よりハッピーな場所にいることができると感じている。今年はもう少し多くのレースに参加できることを願っているよ」

「ふたたびトップ5を目指して戦えることを願っているが、ル・マンは難しいレースだ。まずは生き残らなければならず、最後まで残ってチャンスを掴む必要がある。そこでは何が起こるか分からない」

 バンドーンはまた、9X8プログラム開始から3周年が迫るなか、プジョーにはプレッシャーが掛かっていることを認めた。

「もちろん、結果を出したいし、出さなければならない」と彼は述べた。「とにかく、近いうちに良い結果を出す必要がある。それに適さないタイミングはひとつもない」

「僕たちはここにくるまでに可能な限りの準備をしてきました。それが僕たちにできる唯一のことだ」

[オートスポーツweb 2025年06月08日]

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