追い越し禁止を明文化/中山雄一が再登場?/ハイパーポールは2名参加へetc.【ル・マン車検日Topics】

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2025年06月08日 19:00  AUTOSPORT web

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WEC第4戦ル・マン24時間レース 公開車検日の様子
 いよいよ始まる今季2025年のル・マン24時間レース。6月14〜15日に決勝が行われる第93回大会を前にフランス、ル・マンでは6日金曜から二日間にわたる公開車検が実施された。

 ここでは8日日曜のテストデーと、来週の本戦を控えた各チームの気になる情報を【車検日Topics】としてお届けする。

* * * * * * * *


■オランダ→フランス→オランダ

 ル・マンのテストデーと、DTMドイツ・ツーリングカー選手権のザントフォールト・ラウンドが重なったことで、レネ・ラスト(BMW MチームWRT)、ジャック・エイトケン(キャデラック・ウェーレン)、ジュール・グーノン(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)の3名が影響を受けた。この3名は6月6日金曜にそれぞれのチームが公開車検に臨むなか、イベントを欠席した。

 Sportscar365の取材によると、エイトケンとグーノンは土曜日の午後にオランダのサーキットでの第1レースを終えた後、チャーター機でザントフォールトからル・マンへ移動し、8日日曜午前のテストデー・セッション1でサルト・サーキットを周回する。その後、現地時間16時30分に始まるDTMの第2レースに間に合うようにザントフォールトへ戻る予定だ。

 一方、ラストはテストデーを完全に欠席する。2020年以降にル・マンでレースに出場しているドライバーは、参加義務がないためだ。


■ニュル24時間参戦を断念

 コリン・ブラウンは、彼がニールセン・レーシングと契約に至ったのは、チームのテクニカルディレクターであるゲイリー・デイビスの存在が一因だと明かした。デイビスは、デイトナ24時間レース後にIMSAがライアン・マッカーシーに出場停止処分を下した後、2023年にメイヤー・シャンク・レーシングでレースエンジニアとして働いていた。

 ブラウンは次のように語った。「ナヴィーン(・ラオ)とは以前から知り合いだった。そして、2023年GTPのレースエンジニアがゲイリー・デイビスで、彼はニールセンのテクニカルディレクターを務めていた。以前からそういった関係があったので、ゲイリーと僕はとても気が合い、こうして一緒に仕事をすることができている。だから、このチームと契約を結ぶのは簡単な選択だったよ」

 Sportscar365はクラウス・バッハラー、ルーク・ハルトフ、アンタレス・オーが駆る90号車ポルシェ911 GT3 Rの“チップ・ハート・レーシング”カラーリングの詳細が近日中に発表されると理解している。これは、ブラッド・ピット主演の近日公開予定の映画『F1/エフワン』のプロモーションにおける、ポルシェとF1の契約の一環である可能性がある。

 オーはSportscar365に次のように語りった。「主人公はデイトナでポルシェを駆り、好成績を収めた後、F1に進出しました。チップ・ハートが誰なのかは皆議論しているよ。しかし、名前から判断すると、チーム代表ではないかと思う。また、ソニー・ヘイズが誰なのかも話題だ。いま、まさにその疑問が浮上している! 僕たちはいま、心の中のソニー・ヘイズを呼び覚ましているところだ」

 オーは、AsLMSアジアン・ル・マン・シリーズのGTタイトル獲得によりル・マン24時間レースへの自動招待権を獲得した後、今年のニュルブルクリンク24時間レースへの参戦を断念したと明かした。「元々は参戦予定だった。2024年の勝利は現実味を帯びていなかった……9時間で終わったレースは24時間レースではないからね。でも、皆が喜んでいるとはいえ、ル・マン、ニュルブルクリンク、スパ24時間レースを連続で走ることはできない。だから、辞退しなければならなかった」


■H1とH2は別のドライバーが担当

 AWAレーシングのラース・カーン、マット・ベル、オレー・フィダニは、1月のデイトナ24時間レースでGTDクラス優勝を果たし、マービン・キルヒホーファーとともに獲得したロレックス・デイトナの腕時計を身に着け、レパブリック広場に登場した。ベルとカーンはSportscar365に対し、チームのル・マンデビューと北米以外での初のレース参戦を前に、3人のドライバーが意図的に下した決断だったと説明した。

 ルールの明確化により、LMP2車両は、ハイパーカーおよびLMGT3クラスの参戦車両に必須となっている2025年仕様の新型デジタル・ディスプレイ・パネルの使用が不要となることが確認された。LMP2カーは従来のリーダーライト・システムを引き続き採用する。

 今季2025年よりハイパーポールが2ステージ制に変更されたことにともない、参加資格のあるドライバーに関するレギュレーションが変更された。すべてのクラスを対象に、レギュレーション上“H2”と呼ばれるハイパーポールの第2フェーズに参加するドライバーは、第1フェーズ“H1”と同じドライバーであってはならない。

 LMGT3クラスでは、ブロンズドライバーが最初の予選に参加するという通常のルールが適用される一方、上記のルールを遵守する限り、どちらのハイパーポールセッションでも、特定のグレードに縛られることなくドライバーを起用することができる。


■追い越し禁止を明文化

 補足規則に追加された注目すべき追加事項は、ピットレーン内のいわゆる“ブレンディングレーン”をオーバーテイクに使用することを明確に禁止することだ。これは、前回のWECスパ・ラウンドでフェラーリがブレンディングレーンを利用してピットレーン内の車両を入れ替え、勝利を収めたにもかかわらず、警告処分のみを受けたという論争を受けてのものと考えられている。

 規則全文は次のとおり。「特別な状況または適用規則に別段の定めがある場合を除き、ピットレーンは、完全な安全性を確保したうえで、車両が専用の停止エリアに停止できるようにするためにのみ使用されなければならない。とくに、ピットレーンをオーバーテイク目的で使用したり、専用の停止エリア以外の場所に停止したりすることは許可されない」違反に対するペナルティは、スチュワードの裁量に委ねられるとされた。

 この他、ドライバー補正重量バラストのルールが変更され、78kgの基準重量が予選と決勝の両方に適用される。先月のスパでは、この基準重量は決勝のみに適用されていた。LMGT3クラスでは82kgの基準重量が、すべてのセッションで引き続き使用される。


■いまのところ出る幕なし

 車検終了後、ル・マン市内中心部で恒例となったルーラージュ・パレードが開催され、19台のマシンがジャコバン広場を起点と終点とする環状コースを2周した。ハイパーカーとLMGT3の各メーカーは1台ずつ参加し、さらにLMP2クラスから2台が参加している。

 BMWの広報担当者は、来週のレースでは、マルコ・ウィットマンがリザーブドライバーとして待機していることを確認した。また、テストデーに参加し、MハイブリッドV8の両マシンのエントリーリストに記載されているフィリップ・エングも同様だ。

 トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのテクニカルディレクター、デイビッド・フルーリーは、日曜日のテストデーでホセ-マリア・ロペスがGR010ハイブリッドをドライブするかどうか疑問視している。ロペスは、トヨタ・ハイパーカーのリザーブドライバーとしての任務と、87号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)のフルタイムドライバーとしての任務を兼任している。

 フルーリーはSportscar365に対し、「現時点では、彼はレクサスGT3にも集中しなければならないため、どのように対応していくかを決める必要がある」と語った。「彼はリザーブドライバーだが、我々は彼の準備を台無しにしたくない。また、6人のレースドライバーがここにいて、全員体調も良好だ。だから、いまのところロペスが必要になる可能性はほとんどないと言えるだろう」


■中山かマッソンか

 同氏によると、ベン・バーニコートはマウンテンバイク事故による怪我からの回復を目指すなかで、サルトで78号車レクサスをドライブすることができない期限が走行日をわずかに過ぎたという。「数週間前、ル・マンのラインアップを決める期限があったが、残念ながらその時は医師の許可が出ず、今回も同じ状況だ」と彼は説明した。「少し残念ですが、ベンにはこれからもっと多くのル・マンでの活躍が待っていると確信している」

 フルーリーは、次戦サンパウロで開催されるWEC第5戦でバーニコートの代役を務めるドライバーが決定したと述べ、今年初めに彼の代打を務めたドライバー(エステバン・マッソンまたは中山雄一)のいずれかが指名される「可能性が高い」とだけ述べた。

 先月のスパ・ラウンドでWECデビューを果たした中山は、トヨタ・ハイパーカー・チームでロペスが必要になった場合に備えて、ASPのレクサス・チームの代役を務めるために待機していると、フルーリーは認めた。


■ピットが隣で好都合

 アルピーヌのスポーティングディレクターであるニコラ・ラピエールは、AFコルセのLMP2ドライバー、マシュー・バキシビエールが3月にアラゴンで行われた24時間シミュレーションテストに参加し、チームのル・マン準備にひと役買っていると述べた。ラピエールは「彼はいつでも呼び出しに応じられる」と語った。

 ラピエールは、自身がチーム代表を務めるCLXモータースポーツ(旧クール・レーシング)がLMP2クラスに参戦する間も、アルピーヌでの任務に全力で取り組むと付け加えた。「でも、隣のボックスだから、ちょっと確認しに行くにはかなり都合がいいんだ!」とジョークを飛ばした。

 キャデラック・ウェーレンを運営するアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)のフレデリック・ベスティは、今年始めて公開車検に参加した。彼は昨年、ル・マンデビューを前に、カナダGPでメルセデスF1のリザーブドライバーとして待機するため、セレモニーを欠席していた。

 ベスティはSportscar365に次のように語った。「昨年はカナダからテストデー当日の朝にパリに到着し、基本的に電車を降りてすぐにマシンに乗り込んだ。でも、昨年そのような経験をしたことが本当に役に立っている。とくに、いまはトップクラスにいるからね。よりリラックスして何が起こっているかを把握でき、プレッシャーも少なく、より良いパフォーマンスを発揮できると信じている」

[オートスポーツweb 2025年06月08日]

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