アレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)/2025MotoGP第8戦アラゴンGP 決勝 6月8日、2025年MotoGP第8戦アラゴンGP MotoGPクラスの決勝レースがスペインのモーターランド・アラゴンで行われ、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのアレックス・リンスは11位、ファビオ・クアルタラロはリタイアで終えている。
決勝日も朝から晴天と初日から天候に恵まれた。10分間のウォームアップでは、両ライダーとも前後ミディアムタイヤでコースイン。セッション開始後、リンスは2周したところでマシントラブルにより3コーナーでマシンを止めた。クアルタラロは決勝に向けてチェック走行を行い、1分47秒845で14番手となった。
迎えた決勝レースは、気温が26度、路面温度においては50度を超える高温のコンディションとなった。タイヤはふたりともにほとんどのライダーと同じく前後ミディアムを選択した。クアルタラロは前戦イギリスGPで投入された新型のエアロセットを装備。リンスを含め、それ以外のヤマハ勢は従来のエアロを引き続き使用している。
クアルタラロは、スタートで1つポジションを上げて8番手となるも、14コーナーでファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)に先行を許し、9番手で2周目に入る。序盤はドゥカティ勢のディ・ジャンアントニオに食いついていくも、一時1分48秒516と前後のライダーより約0.5秒ほど遅いラップになるなどレースペースで苦戦。8周目にジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)、翌9周目にマーベリック・ビニャーレス(レッドブルKTMテック3)に抜かれて11番手に後退する。
折り返しの11周目、クアルタラロは1分47秒台とペースを取り戻す。そして、1秒ほどに広がった前方とのギャップを縮めようとした矢先、13周目の1コーナーで転倒。レースへ復帰できずリタイアとなった。
一方、15番グリッドからスタートしたリンスは、オープニングラップで14番手に上げる。しかし、序盤からレースペースが上がらず、2周目に15番手に下げ、5周目には2台に立て続けに先行を許して17番手にポジションを落としてしまう。
入賞圏外に後退したリンスだが、クアルタラロと同じく突然ペースが良くなった。10周目からそれまでより約0.4〜0.5秒速い1分47秒台のラップタイムで周回を重ねる。上位ライダーの転倒も相次いだため、13周目には14番手に浮上する。
レースが進むにつれてレースペースは落ちるどころか徐々に良くなっていき、17周目にジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)、翌18周目にはエネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)をオーバーテイク。さらに残り4周でビニャーレスが転倒したことにより11番手まで順位を上げた。
前方を走るラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)は、バスティアニーニを抜いた時点で2秒以上離れていたものの、リンスは残り2周までにその差を1秒未満に追い詰める。しかし、最終的にオーバーテイクには至らず、11位でチェッカーを受けた。
ヤマハ勢は、プリマ・プラマック・ヤマハMotoGPのミラーが14位、ミゲール・オリベイラが15位とダブル入賞を果たした。ワイルドカード参戦のアウグスト・フェルナンデス(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)は13位でフィニッシュし、代役参戦のアメリカズGP以来、今季2度目のポイント獲得となった。
前半の周りよりも悪いレースペースから一転し、後半から大幅に改善したリンス。クアルタラロもクラッシュ直前にペースも上げており、転倒が無ければ上位フィニッシュの可能性もあっただろう。月曜日のアラゴン公式テストを経て、次戦のイタリアGPではイギリスGPまでの勢いを取り戻すことができるのか、ヤマハの走りに期待したい。
アレックス・リンス(決勝:11位)
「最初の10〜12周はとても苦戦していたけど、そこから先は突然1分47秒台前半から中盤のタイムで走れるようになった。レース後半はかなり速く走れていたと思う。これを改善して、序盤からもっと速く走れるよう取り組む必要があるよ」
「僕たちは明日のテストのためにいくつかのパーツを持ち込んでいて、アウグストは今日試していたね。月曜日のテストは重要なものとなるだろう」
ファビオ・クアルタラロ(決勝:リタイア)
「昨日と同じ問題が現れた。路面にラバーが乗ってきて周回ごとにグリップは良くなっていたけども、ほんの少しプッシュしただけでフロントを失ってしまった。なぜこうなったのかを理解しなければいけない」
「明日はここでテストがある。今日の走りでまだ改善する必要があると分かったよ。でも、ムジェロ(第9戦イタリアGP)とアッセン(第10戦オランダGP)ではもっと速く走れると思うよ」
[オートスポーツweb 2025年06月09日]