柔道男子100kg級・ウルフアロンが引退会見「悔いは全くない」今後は「自分自身が表に立ちたい気持ちが強い」

柔道・男子100kg級のウルフ・アロン（29、パーク24）が10日、都内で引退会見を行った。

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黒のスーツ姿にワインレッドのネクタイで登壇したウルフは冒頭、「改めて先日の全日本実業柔道団体対抗大会をもちまして、現役生活に終止符を打つことを報告させていただきます」と報告。「悔いは全くないですね、パリオリンピックが終わった段階で、自分としてはもうほとんど燃え尽きたような、もうやりきったような気持ちだったので」と心境を語った。

引退を決意したのは2024年2月のグランドスラムパリで復活の優勝を遂げ、パリオリンピック™の代表内定が確実になった頃だという。「東京五輪が終わってからパリ五輪に、もう一度出たいという気持ちで自分自身、鞭を打っていましたが、パリの先の4年後を想像したときに、パリで結果を残すためには、4年後を考えずにパリで終わりって決めなければ、自分自身頑張れないと思いました」と引退に至った経緯を明かした。

8日に札幌で行われた「全日本実業柔道団体対抗大会」をもって現役引退の意向をすでに示していたウルフ。現役最終戦は、3回戦で敗退し、有終の美を飾れなかったが、「本当にたくさんの方たちに応援していただき、僕自身の柔道人生は全うされたなと感じることができました」と振り返った。

一番心に残る試合には東京五輪の決勝戦を挙げたウルフ。「東京五輪でまずは優勝するためだけに柔道を続けてきたところがありましたし、心身ともにスタミナの部分でも、技術の部分でも、パワーの部分でも、誰にも負けないだけの準備をして、それを試合で全て出し切ることができた決勝戦はこれから先も忘れることはない」と日本に21年ぶりの金メダルをもたらした一戦を回顧した。

今後については、「人に対して、自分自身を見せることも、また見られることも本当に好きなので、そういったこと全てが僕の中の選択肢にはなるとは思ってる」。五輪金メダリストなだけに指導者の期待もかかるが、「今のところ指導者になる気持ちはない」と話す。

「今まで僕が柔道をやってきた中で、携わってくれた指導者の方たちが誰かに対して熱くなれる人たちが全員だったので、誰かに対して、本当に葛藤し、チームに勝ってほしいって思えるような感情にならないと、僕はまだ指導者にはなれないのかなと思います。やっぱり僕はまだ自分自身が表に立ちたいっていう気持ちが強いので」とメディアに多く出演することで、自分のありたい姿を見つけたウルフ。続けて、「指導者になるときはそういった感情が出てきたときにまた考えるんじゃないかなと思います。これから可能性としてはゼロではないかなというふうには思ってます」と述べた。

■ウルフ・アロン
1996年2月25日生まれ、東京都葛飾区出身。身長181cm・100キロ級。パーク24所属。祖父の勧めにより、講道館にある春日柔道クラブで6歳の時に柔道を始める。2017年には全日本選抜体重別選手権で二連覇を飾り、世界選手権も優勝。2019年に全日本選手権を制し、2021年には東京五輪100キロ級で日本に21年ぶりの金メダルをもたらす。合わせて史上八人目の柔道三冠（世界選手権、オリンピック、全日本選手権）を達成。2024年に行われたパリ五輪では個人戦は7位に終わるも、混合団体で銀メダルを獲得した。