アメリカ・ロサンゼルスで起きた不法移民への一斉摘発に対する抗議活動。6日から続いていますが、路上の車が燃やされるなど一部が暴徒化しました。トランプ大統領は州兵の投入を指示しましたが、反発はさらにエスカレートしています。
【写真でみる】取材中の記者に…治安部隊がゴム弾を発砲した瞬間
抗議デモが暴徒化 黒煙上がりゴム弾も…記者
「抗議デモが起きている場所は、大谷選手の壁画から近い場所でもあります。周辺では抗議をするプラカードを持っている方たちが歩いています」
衝突が起きたのは、日本人にも“なじみ”となった場所からほど近い、アメリカ・ロサンゼルスの市庁舎周辺です。
記者
「道路の奥では、炎が上がり黒煙が立ち上っているのが見えます」
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ロサンゼルスでは6日、移民・税関当局が不法移民の一斉摘発を行ったのをきっかけに、抗議デモが発生。一部が暴徒化しました。中には警察車両に向け、キックスケーターを投げ落とす参加者も。治安部隊はゴム弾などで応戦します。ゴム弾は、現地を取材していた記者にも。催涙弾も使われ、ペットボトルの水で目を洗う人の姿も確認できます。こうした事態に、カリフォルニア州とロサンゼルスは、警察官を投入し収束を図ろうとしましたが…
アメリカ トランプ大統領 SNS(7日)
「知事と市長が職務を果たせないなら、連邦政府が介入し暴動と略奪を解決する」
トランプ大統領はSNSでこう述べ、2000人の州兵を投入する大統領覚書に署名。その一部が8日、デモの現場に派遣されました。
トランプ氏が州兵派遣 反発もデモ参加者
「あなたたちは誰を守っているの？」
デモ隊
「下がれ！」
デモ参加者
「移民や有色人種を悪者にして、警察や州兵を連邦の工作員のように動員している」
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「ワシントン・ポスト」によると、知事の同意を得ずに大統領が州兵の派遣を決めたのは60年ぶり。異例の事態にカリフォルニア州知事は、州兵の派遣の撤回を求めました。
カリフォルニア州 ニューサム知事(7日)
「州兵の派遣は、警察の不足が原因ではなく、単に見せ物にしたいだけ」
さらにロサンゼルス市長も…
ロサンゼルス バス市長
「ロサンゼルスでの混乱は、政権によって引き起こされたものです」
ただ、トランプ大統領は事態の推移によっては、海兵隊の動員も辞さない構えです。
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アメリカ トランプ大統領
「どこにでも兵士を配備する。この国で暴動は許さない」
暴動への対応をめぐり知事・市長と対立するトランプ氏ですが、先週には別の人物との対立が決定的に。トランプ政権で歳出削減に、切り込んできた実業家のイーロン・マスク氏です。
イーロン・マスク氏(5月)
「私は今後もホワイトハウスを訪れ、大統領の友人・アドバイザーであり続けます」
これまで2人は“蜜月”とされてきましたが先月、マスク氏が政権から離脱すると…
アメリカ トランプ大統領(5日)
「イーロンにはかなり失望した。たくさん助けてきたのに」
一転、マスク氏を非難。原因は、トランプ氏肝いりの減税法案について、マスク氏がSNS上で「うんざりするほど忌まわしい」と批判したことだと見られます。EV・電気自動車大手、テスラ社のCEOであるマスク氏。トランプ氏が「法案にEVへの支援策削減が含まれているから、怒っているのだろう」と指摘すると、SNS上での口論はさらにヒートアップしました。
イーロン・マスク氏のSNS
「私がいなければ、トランプは選挙に負けていた。なんて恩知らずだ」
アメリカ トランプ大統領のSNS
「イーロンは狂ってしまった」
「政府予算を何十億ドルも節約する最も簡単な方法は、イーロンへの政府補助金と契約を打ち切ることだ」
次々と周りを“敵に回す”トランプ氏。その思惑はどこにあるのでしょうか？
なぜ強硬に不法移民対策を推し進める？小川彩佳キャスター：
市民の抗議に対して兵士を向けるという今のアメリカの事態、どうご覧になりますか。
文芸評論家 三宅香帆さん：
トランプ大統領は州兵を投入するというのを、「国を守るためだ」というふうに強調しています。このニュースを見ていると、連邦政府がやったことに対してデモが起こり、それに対して政府が州兵を出している。自分で火種を作って、自分で鎮圧するというように感じる。「自作自演」をやっているという感じの印象を受けます。
小川彩佳キャスター：
自ら舞台をセットしている。そして、トランプ氏の動きにブレーキをかけるような側近が現政権内にいないというのも、事態をエスカレートさせているようにも思います。トランプ大統領は、なぜ強硬に不法移民対策を進めるのでしょうか？
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん：
1つは、トランプ大統領が行う関税の問題があると思います。この関税が、裁判所から「法律違反だ」と言われたり、インフレに繋がっているということで、評判が悪い。
さらに、イーロン・マスク氏との喧嘩などで、政権が求心力を失っていることもあり、国民から比較的支持が高い“不法移民対策”に、政権の重点を移そうという狙いだと思います。知事と市長も民主党系のため、「弱腰だ」という批判もできるということです。
政権の都合で、政策の転換をやっている。来週のG7サミットでは、日米首脳会談があり、「かなり無茶なことをやってくる大統領と向き合わなければいけない」ということを、石破総理は肝に銘じる必要があると思います。
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＜プロフィール＞
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
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