ケビン・マグヌッセンのファンと本人が記念撮影 2025年WEC第4戦ル・マン24時間 フランス、ル・マンのサルト・サーキットで、6月14〜15日に決勝レースが行われる『第93回ル・マン24時間レース』。前日10日月曜に続きテストデー後の休息日となった火曜日のパドックから、同レースにまつわる最新情報をお届けする。
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火曜日のサルト・サーキットは、WEC世界耐久選手権第4戦『ル・マン24時間レース』のトラック・アクティビティはなかったものの、サイン会や今年で4回目となるピットストップチャレンジを観戦するために多くのファンが来場した。
後者のイベントでは、93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)のメカニックたちがピットストップチャレンジで8.830秒のタイムを叩き出し、2位の50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)コンマ2秒ほど上回るタイムで優勝した。3位は51号車フェラーリ499Pだ。アクション・エクスプレス・レーシング(AXR)が運営する311号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ウェーレン)がこれに続く4位となり、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権勢の最上位となっている。
AXRチームマネージャーであるクリス・ミッチャムは次のように語った。「メカニックたちのパフォーマンスは素晴らしかったと思う。我々はしっかりと準備してきたからこそ、良い結果を出すことができた。1週間前のデトロイトでのIMSAレースからここに来るまでの間に(ピット作業の)スタイルを変え、ここで良いパフォーマンスが出せたことは、レースへの準備が整っていることを示している」
マンタイ・レーシングが運営する85号車ポルシェ911 GT3 R(アイアン・デイムズ)のクルーは、LMGT3クラス最速となる9.530秒を記録。また、LMP2クラスでは183号車オレカ07・ギブソン(AFコルセ)のメカニックが10.440秒のタイムをマークしてトップとなった。
■どちらもスペイン・ラウンドが重複
マカオで開催されたFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)の後、火曜日にF1およびフォーミュラEの2026年シーズンカレンダーが発表された。
6月12日〜14日に開催されるバルセロナ・カタルーニャGPは、来年のル・マン24時間レースの暫定日程と重なる。また、フォーミュラEのハラマ・サーキットでの初開催イベントは、カタールで行われるWECの公式プレシーズンテスト“プロローグ”と同じ週末に予定されている。
WECの2026年のレースカレンダーは、金曜日のACOカンファレンスで発表される予定だ。
WMSCの公報には、FIA初の液化水素燃料車向け安全規則の承認も含まれていた。この規則は、WECの将来の水素クラスに適用されるもので、さまざまな分野の業界専門家の協力を得て策定された。
公報には次のように書かれている。「この新しい枠組みは、車両の統合、貯蔵システム、そして燃料補給手順について厳格な基準を定めています。主要な安全対策には、圧力テスト済みのコンパートメント、マルチアラートによる水素漏れ検知システム、そして沸騰限界値が含まれます」
■音量ダウンも「仕様は変わっていない」
水曜日のフリープラクティス開始前に、競技参加者がBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)の改訂版に直面するかどうかは不透明だ。Sportscar365は、火曜日の朝にキャデラックのホスピタリティ・コンプレックスでメーカー会議が開かれた理解しているが、BoPの変更に関する結果は火曜日の夜時点では明らかになっていない。
ハート・オブ・レーシング・チーム(HoR)代表のイアン・ジェームスはSportscar365に対し、ル・マンでのアストンマーティン・ヴァルキリーのサウンドリミッター仕様が、最近のラウンドと比べて明らかに静音化されているにもかかわらず、変更されていないと述べた。同氏は、V型12気筒自然吸気エンジンを搭載するマシンが、イモラとスパでのWEC6時間レースと「同じ仕様」であると改めて強調した。
ケッセル・レーシングで、木村武史、キャスパー・スティーブンソンと57号車フェラーリ296 GT3をシェアするダニエル・セラは、先週末ブラジルで開催されたストックカー・プロ・シリーズのベロパーク・ラウンドに出場したため、ル・マンのパドックに遅れて到着した。また、レネ・ラストも火曜日にBMW MチームWRTで目撃された。彼は先週末、ザントフォールトで開催されたDTMドイツ・ツーリングカー選手権第3戦のレース2で勝利を収めたばかりだ。
先月、アメリカ・インディアナ州の州都インディアナポリスとフランス・サルト県の県庁所在地であるル・マン市は、モータースポーツの伝統を称えあい、正式に姉妹都市となった。ル・マン市のソフィー・モワジー副市長は、インディアナポリスのジョセフ・ホグセット市長とともに、インディアナポリス500を前に、ル・マンとインディアナポリスの提携を正式に発表した。
全長13.626kmのル・マン24時間サーキット(サルト・サーキット)でもっとも有名なコーナーのひとつは、元々はレンガ舗装だったインディアナポリスだ。
■ほぼ全員左利き
ジャック・エイトケン、フレデリック・ベスティ、フェリペ・ドルゴビッチの3名からなる311号車キャデラックのメンバーは、今年のハイパーカークラスでドライバーラインアップの平均年齢(25.7歳)がもっとも若い。ノースカロライナ州を拠点とするこのチームは、ル・マンに3年連続で出場している。
キャデラックのファクトリードライバー5名は、ハーツ・チーム・JOTAの38号車を駆るジェンソン・バトン、アール・バンバー、セバスチャン・ブルデーを含め全員が左利きだ。例外はウィル・スティーブンス、アレックス・リンと12号車キャデラックをシェアするノーマン・ナト。
コルベット・レーシングは、昨年のGT3カスタマープログラム開始以来、これまでに17台のシボレー・コルベットZ06 GT3.Rを販売しており、そのうち13台が世界中のレースシリーズにフルタイム参戦している。
コルベット・レーシングのプログラム・マネージャーであるジェス・デインは次のように語った。「シボレーとプラット・ミラー、GMモータースポーツを含むコルベット・レーシングの全員が、チームの素晴らしい活躍を目の当たりにし、大変うれしく思っている。私たちはカスタマーとつねにコミュニケーションを取り、コルベットでの体験をより良く、より充実したものにするために何ができるかを考えている」
■IMSAチームを同門がサポート
AWAレーシングのル・マン初参戦は、同じLMGT3のフィールドで戦うTFスポーツの支援のうえに成り立っている。WECで2台のコルベットZ06 GT3.Rをフルタイムで走らせているTFスポーツはAWAに機材を提供し、ル・マンの1週間後にワトキンス・グレンで開催されるウェザーテック選手権第6戦に、カナダチームが参戦することを可能にした。
またイギリスに拠点を置く同チームは、チームのナンバー1メカニックであるソフィー・ブルをAWAにアドバイザーとして派遣し、サルト・サーキットでのレースのニュアンスやWECルールの下でのレースの微妙な違いにカナダのチームが適応できるように支援している。
プジョーのミケル・イェンセンはSportscar365に対し、カナディアンタイヤ・モータースポーツ・パーク(モスポート)で行われるIMSAウェザーテック選手権の第7戦とWECのサンパウロ・ラウンドと重なるため、彼に代わってハンター・マクレアがTDSレーシングの11号車オレカ07・ギブソンをドライブすることを認めた。マクレアは同チームの2025年ミシュラン・エンデュランス・カップドライバーであり、イェンセンとスティーブン・トーマスによる2024年の耐久カップタイトル獲得に貢献した。
ル・マン24時間レースのフリープラクティス1回目は11日水曜日の現地14時(日本時間21時)に開始され、その後LMP2とLMGT3の予選が18時45分(日本時間12日1時45分)から、ハイパーカー予選は19時30分(日本時間12日2時30分)から実施される。予選後のFP2開始時刻は22時(日本時間12日5時)の予定だ。
[オートスポーツweb 2025年06月11日]